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情報戦は始まっています  新見正則

映画 『イミテーションゲーム』

この映画は、アラン・チューリングの半生を描いています。第2次世界大戦中にドイツの暗号であるエニグマの解読をした人物です。

第2次世界大戦後、国際連合が発足し、戦勝国5ヵ国が常任理事国になりました。アメリカ、イギリス、フランス、中国、ロシアです。まさかこの国連安全保障理事会で拒否権を持つ常任理事国のひとつが実際に他国を武力で侵略するとは、多くの人が驚きました。

日本でも防衛費が増額され、国防という大義のもと、政府が動き出しています。自衛隊は違憲で不要だという極端な「平和ボケ」した議論はほとんど影を潜めました。他国から侵略されない最低限度の武力を有することを僕は否定しません。その最低限度の線引きは時の政府の主導で、国民の意向を反映して(つまり国会の了解を得て)進められるべきでしょう。

情報戦を制する者が勝利する

この映画「イミテーションゲーム」では、情報戦が極めて重要なものとして描かれています。当時、ドイツの作戦命令はエニグマで暗号化されてドイツ軍部隊に配信されていました。暗号を解読できれば、イギリスやその他の連合国は損失を相当抑えることができ、戦況が有利になります。

映画ではアラン・チューリングという天才数学者が暗号を解読し、連合国が勝利に近づくというストーリーでした。

日本の自衛隊がどこまでの実行戦力や弾薬などの消耗品を備蓄しているかは知る由もありません。日米安全保障条約があれば、中立を維持して独自で実行戦力や消耗品を有するより防衛費が安上がりであることは自明の理です。

現代の情報戦では、暗号解読もさることながら、通信衛星から得られる情報の分析や、地上からの情報を正確に分析システムなどが加わります。
情報戦が戦況を、国の存続を左右する時代です。

知らなかったでいいの?

中国と北朝鮮に加えて、ついにロシアも現実的な仮想敵国になりました。北朝鮮の武力を軽んじている風潮が日本にはありますが、ほぼすべての知財と資金を軍備に政府の強制力で充当している北朝鮮は実は相当手強いと思っています。ロシアのウクライナ侵略で戦争が自分事に近づいた日本で、国民の命が、特に若い人の命が、犠牲にならないように、しっかりした情報戦の準備を願っています。

 ChatGPTの登場で情報戦が激化

コンピューターの進化は凄まじいです。主人公の名前を冠したチューリングテストは以前は頻繁に語られていましたが、ChatGPTの登場でほぼ耳にしなくなりました。チューリングテストとはコンピューターの能力の指標で、人間が答えたか、コンピューターの返答かを判別できるかどうかというものです。最近は、ChatGPTが人間以上に流暢な文章を叩き出したので、チューリングテストを超えたということなのです。


映画の最後にアラン・チューリングが自分で命を絶ちます。享年41歳でした。当時は同性間の性行為は違法でした。多数決で決める民主主義では少数派を抹殺することは簡単です。多数派が少数派を認めない限り多様性がある世の中は生まれません。




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