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弱者にやさしい世界  新見正則

僕がレディファースト?

レディーファーストが身についていない僕が、
レディーファーストの国で突然勉強を始めました。
1993年の夏、いまから四半世紀以上前のことです。

33歳での初留学。
成人を過ぎるまで「どもり」があり、語学は苦手でした。
話すこと自体が特に苦手でした。
オックスフォード大学博士課程で学ぶには、
IELTSという4技能試験で7.0が必要でした(満点は9.0)。
今もオックスフォードでの勉強には同じ点数が必要とされています。

4つの技能とは、読む、聞く、書く、話すの英語能力です。
当時は水戸に住んでいて、東京の飯田橋にあるブリティッシュカウンシルへ
はるばる受験に行きました。
その試験を最初に受験したときは、まったく7.0には届きませんでした。
必死に努力して、その後数回IELTSを受験したのですが、
結局は7.0には届かず、3ヵ月前からオックスフォードの語学学校で
英語の勉強をするということで、なんとか入学が決まりました。

憧れのオックスフォード、憧れのピーター・モリス

当時、僕は社会人になって約10年目、外科医としてなんとか独り立ちしました。
特別な存在になりたいと思って
臨床医で、基礎医学も専門にしていた移植外科医であった
ピーター・モリス(Sir Peter J Morris)に憧れて、彼の教室を選びました。
ピーターが奥さんとわが家にディナーに来たこともあります。
わが家で行ったラボのパーティーにも来てくれました。

レディファーストにしなさい

ある日、僕が家内よりさきにエレベーターを下りたのを見て、
ピーターに「レディーファーストにしなさい」と言われました。
僕にとっては特段の意図があった訳ではないので、ちょっとビックリしました。
でも、女性を先に通すことは、確かにほとんどのイギリス人が行っていました。

まわりはみんなレディーファースト

レストランでも、案内係が先導するときは、当然に女性が先。
椅子に座るときも女性が先。
イギリスでは「レディーファーストは習慣」と理解すると
自然とできるようになりました。
その習慣は日本でも続き、もはや自然なレディーファーストです。

本当に女性は弱いのか?

ただ、なんとなく不自然さは感じています。
女性は弱者だから助けるつもりで行うものと理解していました。
でも、僕も還暦を過ぎ、僕よりも肉体的に強い女性はたくさんいますよ。
精神的に強い女性も多いと思います。

誰のためのレディーファースト?

そう考えると、実際はただの建前のように感じなくもありません。
とりあえず面倒ではないので続けていますよ。
僕のちょっとした振る舞いもジェントルマンに映るでしょ。

世界のエリートのハンサムな会話は心遣いから

イギリスでは家内を同伴してパーティーにいくと、
彼女にも理解できる英語で、共通の話題で楽しめるように接してくれます。

オックスフォードには世界中のエリートが集まっています。
海外のエリートは女性を気遣ったスマートな振る舞いが本当に上手です。

みんな本当にハンサム(すべてができるという意味合いです)でした。
仕草が格好良いのです。
頭脳も明晰ですが、それ以上に振る舞いがすべて超一流で
本当に勉強になりました(もちろん例外もどこにでもいますよ)。

本当は弱者ファースト

彼らの振る舞いを見ていると、それは女性だけに限ったことではなく、
弱者を気遣う習慣が根付いていることに気がつきました。

彼らにとってレディーファーストは弱者を守ろうとする1つの表現で、
根底にあるのは「弱者ファースト」なのです。

日本に帰国し、家内を仕事の集まりなどに連れて行っても、
残念ながら家内を中心に会話が進むことはまずありません。

ピーター・モリスは組織のトップとして絶大な権力を持っていましたが、
本当に家内に気を配ってくれました。

国際学会の懇親会にも家内を同伴しましたが、
他の国のエリートもピーター・モリスと同じように家内と話してくれました。
ただ、日本のトップの先生方で、
当時のピーター・モリスのような振る舞いができる人は
残念ながらほとんどいません。

みんながハンサムな時代に!


弱者を気遣う姿勢こそがレディーファーストです。
レディーファーストでもてなされる女性も自然と弱者ファーストになりますよ。

これからの時代、弱者ファーストを実践できるといいですね。


レディーファーストの漢方薬!


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