メンテナンスレジリエンスTOKYO2024にトヨタ自動車さんと共同出展
7/24〜26に東京ビッグサイトで開催された、メンテナンスレジリエンスTOKYO2024にトヨタ自動車さんと共同出展させていただきました!
何を出展したのか?なぜトヨタ自動車がインフラ?共同出展ってどういうこと?などについて、お伝えできればと思います。
なぜトヨタ自動車がインフラ業界に!?
トヨタ自動車にとって、車が走るためには、インフラ(道路)が必要不可欠です。
その中でインフラの老朽化問題に着目され、色々とリサーチしていくと、実際に点検している点検作業員がとても大変なのでは?ということに気づかれました。
しかしトヨタ自動車では点検はできないので、なんとかインフラ点検業界を盛り上げたい、なにか支援がしたいとの思いから、活動をスタートされます。
そこから色んな会社や発注者にヒアリングする中で、現場の点検作業員が少しでも楽になるにはどうしたらいいかと試行錯誤され、点検業務の効率化、調書作成の効率化をするためのカメラを開発されました。
こんなニッチな業界に目をつけてくれるなんて、一体どんな稀有な人なのか。
トヨタ自動車先進プロジェクト推進部 の生田さん、北本さん、安藤さんのお三方です。
最初はそれぞれ別々の部署におられて、本業もお忙しい中、合間の時間をつかって、インフラ業界のために活動されていた素晴らしい方々です。
その活動が認められて、今は先進プロジェクト推進部として3人で東奔西走されています。
神輝興産との出会い
全国の点検会社に現状についてのヒアリングをされた中で、そのうちの1社に神輝興産が入っていたのがご縁です。
たしか100社以上にヒアリングされたと聞いております。
最初、ヒアリングの連絡があったときは、世界のトヨタさんが点検業界に!?と半信半疑でした。
ところがお話を伺っているうちに、まったく業界外の方々なのに、インフラや橋梁点検のことにとても詳しくて、すごく勉強されているんだなという印象を受けました。
しかも、ただ興味本位でヒアリングされているだけでなく、点検員の方が大変だから、なんとか支援したいという思いがひしひしと伝わってきました。
わたしも同じ思いだったので、意気投合しまして、自社や業界の課題についてわたしが感じていることをお伝えし、トヨタさんが開発しているカメラについての意見交換などもさせていただきました。
このときお話していたころから考えると、まさか一緒に展示会出展するようになるなんて思いもしませんでした。
実証実験
そして、昨年の夏にiMec(舞鶴高専)さんのご協力のもと、実証実験を行いました。
なぜか弊社も一員に選んでいただけたので、一緒に実証実験に参加させてもらい、実際に開発中のカメラを使って点検を行いました。
その際にもいろんな気づきがありました。
「点検を楽に早く」というコンセプトで、開発されていたのですが、
「点検を楽に」という視点がわれわれにはそもそも抜けていたことに気付かされました。
トヨタさんの社内ではエルゴ評価という、作業姿勢による身体への負担を数値化している指標があり、それを用いて点検作業の負担についても数値化されていました。
実際にトヨタさんのカメラを使うと、姿勢が改善され楽に作業ができます。
わたしは橋梁点検とはしんどいものだから仕方ないと思っていたので目からウロコでした。
点検を早くという効率化についても、写真撮影1枚につき、何秒削減できるかという観点で考えられており、その積み重ねがとても大きなものになるというのが、さすがカイゼンのトヨタさんだなと感心いたしました。
後日、実証実験の結果についてまとめたものをご報告いただき、負担軽減の面でも、効率化の面でも効果があったことが理解できました。
その際に、神輝興産でもっと詳細に実証実験を行いたいというご要望をいただいたので、現場から内業まで点検のプロセスをすべて見てもらうことになりました。
1週間、神戸に滞在してもらい、弊社スタッフと一緒に現場に行ったり、調書作成の手順を見てもらったりと濃密な時間を一緒に過ごしました。
その中でトヨタ式カイゼンの極意もご教示いただきました。
弊社にとっても、学び多き時間となりました。
神輝興産のシステム開発
時同じくして、神輝興産の社内でも内業を少しでも効率的にこなすために自社の調書作成システムの開発に取り組んでおりました。
ずっと前から構想はあったのですが、システムを外注しても良いものが作れる気がしなくて、なかなか一歩踏み出せていませんでした。
それが昨年今年と立て続けに素敵なご縁があり、社内にシステムエンジニアの方に2名入ってもらうことができたので、開発をスタートすることを決めました。
こんなものが作りたい!というわたしの理想をお伝えし、「実現可能でしょうか?」と聞くと、「すべて可能です!」と自信を持って言ってもらえたので、安心してお任せすることができました。
もちろんシステム開発なんて初めてのことなので、右も左もわかりません。
そんな中、外部からプロジェクトマネジメントの方にも参画してもらい、たくさんの苦労の末、なんとかβ版をリリースできるところまで進めてきました。
このシステムが完成すれば、調書作成が30〜40%は効率化されるのではないかと期待しています。
なぜ共同出展!?
先ほど、トヨタ式カイゼンの極意と書いたのですが、
生田さんが神戸に1週間滞在している間に、なんと!弊社の点検業務に関する業務プロセスを事細かに分解してくれました。
そして、どこに時間がかかっているのか、どこがボトルネックになってるのかなどを、詳細に説明していただきました。
開発されたカメラシステムはもちろんですが、このトヨタ式業務カイゼンによるコンサルティングというか、伴走プロセスこそが最も価値のあることかもしれません。
世界のトヨタの凄さを感じた瞬間でした。
例えば調書作成時に、写真を選ぶ作業に思ったよりも多くの時間がかかっているとか、画面の切り替えが多すぎるとか、今まで全く気にもしてなかった点をご指摘いただきました。
この視点は点検業界にどっぷり浸かってる自分たちには見えません。それが当たり前であり日常になってしまってるので。
この盲点に気づかせてくれて、とてもありがたかったです。
そして、その話を聞いていた時に、ふと閃きまして。
トヨタさんが開発されたカメラシステムと、弊社が開発している調書作成システムを組み合わせたら、さらなる効率化が可能なんじゃないか!と。
もしこの組み合わせがスムーズにつながったとしたら!
当初30-40%の削減できればと想定していましたが、その倍の70-80%ぐらいまで削減できるのではないか!と感じました。
これに閃いたときはシビれました!
すぐに生田さんにご相談して、一度名古屋にお邪魔させてもらい、開発チームの皆さんとお話がしたいとお伝えしました。
そこでもし可能性を感じていただけるなら、今後どんな形になるかはわかりませんが、一緒にトライしていきたいし、展示会などにも一緒に出展できればという話をしました。
その結果、7/24-26に共同出展という形を取らせてもらうことになりました。
共同出展と言いながら、トヨタさんのブースを間借りし、パネル1枚だけ弊社のパネルを展示させてもらっただけなんですが…
出展してどうだったか
前日の準備から最終日の片付けまで、全てが初めてだったので、良い体験をさせていただきました。ブースを組み立てる、そして取り壊す仕事ってこんなにあるんだなとびっくりしましたし、やっぱ東京ビッグサイトは規模が違うなと改めてすげえなと、感心しっぱなしでした。
初めて展示会に出展する立場での参加でしたが、あっという間に時間が過ぎていきました。
なんでトヨタがインフラ??と思った多くの方々が、ブースに足を運んでくれたおかげで、私たちの調書作成システムもたくさんの方々に見てもらい、説明させていただく機会をいただきました。
特に実際に点検をしている点検会社さんには、すこぶる好評をいただきました。
やはりどこの点検会社さんも困っているところは一緒なんだなと改めて実感。
少しでもみなさんの業務効率化につながり、働きやすい業界にしていきたいなと思いました。
展示会中には、昔お世話になった方に約10年ぶりに再会したり、今まで名前だけ聞いてお会いしたことのなかった会社さんとも会えたりと、素敵な出会いがたくさんありました。
この3日間は、貴重な体験ばかりのありがたい時間でした。
これから
展示会でいろんな方に説明していると、⚪︎⚪︎という機能はないんですか?とか、このCADには対応していませんか?など要望をたくさんいただきました。
今後それらに1つずつ対応していこうと思っております。
ありがたいことにトヨタさんとセットでデモを希望される会社さんもあり、即対応していきたいのですが、あいにくリソースが限られていることもあり、順次できる範囲で対応していくとしか言えない状況です。
いろんなブースを見たり、新しい技術を知れば知るほど、未来を夢想する時間が多くなりました。こんなこともできるんじゃないか、これとあれを組み合わせたらなどと、気がつくと考えてしまっています。
私が未来志向なので、ついつい開発メンバーとこうなったらすごいねって話で、盛り上がってしまい、気持ちがそっちに持っていかれがちです。
もちろん未来のことも大事なのですが、そもそものミッションだった点検作業が楽になるように、内業作業が少しでも効率化できるようにすることを忘れてはいけません。
まずは自社のスタッフがいかに楽になるか、喜んでくれるかを第一に開発を進めていければと思います。
自社のスタッフが喜んでくれるものを作り上げれば、結果的に業界の皆さんが喜んでくれるものになると信じています。
今回お世話になったみなさんに感謝を申し上げるとともに、引き続きこれからもよろしくお願いいたします。