見出し画像

福屋粧子─大阪芸術大学 アートサイエンス学科棟/渋谷ストリーム/おしか番屋

福屋粧子|AL建築設計事務所/東北工業大学(宮城県)

***

2010年代後半の作品から3つを選んだ。
建築は見に行かないと分からない。一方、建築に関する情報は、今や雑誌だけでなくwebメディアや個人のSNSの毎日の更新を通じて、常に実物よりも多くの情報が出回っている。行かなくとも、行ったような気分になれるものさえある。
ほんとうに、そうだろうか?メディア上の建築の姿と、訪問したときの体験は一致するのだろうか?

「家で学ぶ、現代建築」を推薦するにあたっては、その疑問を体感するのに最適の作品、「中に入ってみる」ことではじめて読み解きが始められ、加えて建築の輪郭を曖昧にする設計が意図的に行われている作品を選んだ。
「中に入ってみる」ことは、状況を外側から見るのとは、異なる体験だ。2カ月前から私たちの生活に大きな影響を及ぼしている、コロナウイルス感染による社会隔離についても、頭の中のシミュレーションと、実際その状況のただ中にいることは別のことだと、誰もが実感しているだろう。

建築も外だけから、メディアだけからみていてもわからない。どこからどこまでが「中」で「建築作品」なのか分からない、シームレスに繋がっていく姿が見えにくい作品もある。建築の中から外を見ることを通じて、加えてもういちど記事を読むことで、どのように設計されたのか、想像してみてほしい。
また、ほんの少し意地悪な視点で、メディア上の建築の姿と、自分が訪問した体験がどう違うのか検証することも、雑誌を読む楽しみとしておすすめしたい。

大阪芸術大学 アートサイエンス学科棟|妹島和世建築設計事務所

渋谷ストリーム|東急設計コンサルタント 小嶋一浩+赤松佳珠子/CAt(デザイン・アーキテクト)

おしか番屋|萬代基介建築設計事務所


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?