マガジンのカバー画像

#野生の月評

54
「月評」スピンオフ企画。新建築社刊行の雑誌『新建築』『住宅特集』などの掲載作品・論文にまつわる感想などの記事をまとめていきます。「#野生の月評」とつけてご投稿いただけると嬉しいで… もっと読む
運営しているクリエイター

2019年4月の記事一覧

勝手に月評 新建築2019年4月号

・趣旨 まず先にこの勝手に月評の趣旨を書きます. まず第1にあったのは,「建築雑誌をもっと読み込もう」という意思です.今まで研究室などに新建築などの雑誌は置いてありましたが,なんとなく流し読みをしていたような気がします.作品だけ何となくチェックして,表面上から読み取れる潮流だけを掬い取って自分のボキャブラリーにしようとする考えが,中々危ないんじゃないかと思い始めたのもきっかけの1つです. 次に今私にはすごく時間があります.ゼネコン設計部勤務1年目であり、さらに現在は現場

有り触れたもの と 有り触れないこと                                                      -(仮称)古澤邸の場合-

『(仮称)古澤邸』(設計:リライト_D +日本大学理工学部古澤研究室,2019年竣工)について、そこでの体験と建築家・古澤大輔氏により執筆され、2018年度に発表された博士論文「再生建築における <転用> の建築論的分析及び実践的検証」を通して、実際の建築と手立ての建築(創作論)について幾ばくかの読み解きを試みたい。 幽体離脱した建築 唐突な比喩であるが『(仮称)古澤邸』を訪れてみて最初に思い浮かんだ言葉は、[幽体離脱]であった。 幽体離脱-生きている人間の肉体から、霊魂