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【前編】南極から見る、有人宇宙開発の将来。(サイエンス・日本の南極観測)


日本から、14,000km。

氷に閉ざされた、極限環境。

「宇宙よりも遠い場所。」


そんな南極は、将来の宇宙の姿かもしれません。JAXAも南極の特異性に目をつけ、月基地でも使える建築手法の研究を行っています。さらに、日本の南極基地「昭和基地」は小さな宇宙基地と模されることも多くあります。


私は、アカデミックナ内容ではなく、あえて南極の「ビジネス」という視点から南極と宇宙を関係づけたいと思います。それは後編へ⇒


今回はひとまず、南極の環境、昭和基地などのアカデミックな内容から。

1.南極と宇宙の環境的類似

まずは、南極と宇宙の環境を比べてみましょう。

南極の一番の特徴は、極夜/白夜があること。宇宙に行くと、私達が普段味わっている一日周期はほぼないので、体内時計が狂います。そこで起きる身体的諸問題は、今後長い宇宙ミッションを大規模で行うときに、必ずぶつかる問題です。

一般には、南極の極低温環境がイメージしやすいと思います。しかし、月は大気がないためにそれを遙かに超える極低温です。火星の気温は南極に近いかもしれません。やっぱり宇宙過酷です。

さらに「有人」をキーワードにすると、南極の「放射線が少ない」ことが宇宙と比較して大きなアドバンテージになります。今の宇宙船では、火星に行くまでに放射線被曝により命の危険が高いのです。

他には、液体の淡水が存在しないことも挙げられます。
本州にいるとなかなか気づきませんが、氷しかない!となると、生活のあらゆる場面が困難になります。水を作るには溶かす必要があります。さらなる低温環境では、液体を使用するあらゆる作業が難しくなります。

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さらに南極では、宇宙同様に、国家間の争いを避けるために、南極条約が締結されています。

南極では、領土も、資源も、軍事利用も、核も使えません(タテマエ)

タテマエなので、実際は争いがあり、たびたび問題になっています。

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2.日本の南極観測


ビジネスの内容に入る前に、アカデミアの内容も見ておきましょう。

日本は複数の基地を所有しており、年間を通じて人が滞在するのが昭和基地。そこでは60年もの間コンスタントに人が滞在し、研究しています。

温度や大気などの定常観測の他に、電離層の観測、隕石採取による宇宙科学への貢献、生物の研究など多岐にわたります。地球のみならず宇宙を科学する環境が南極にはあります。

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隕石が多く見つかる理由は、南極の氷の動きによって、氷上に落下した隕石が一か所に集められるから。「はやぶさ」が持ち帰った微量のサンプルよりも、はるかに多い量のサンプルを南極が生産しています。

そんな凄そうな南極研究。予算を調べてみると、JAXAと比べてJAREははるかに少ない予算でやりくりしていることが分かりました。それだけ宇宙が厳しい環境だということを実感します。(JARE 60、JAMSTEC 350、JAXA 2800億円)

さらに、国際比較をするとこんな感じ。

アメリカが圧倒的ですよね。アメリカに行くしかない”!

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2.1.昭和基地での暮らし。

最後に、宇宙基地に例えられる「昭和基地」での暮らしぶりを見てみましょう。

極夜期は、真っ暗闇のブリザードの危険性から外出できません。さらに白夜期も、たくさんの仕事があり、息抜きできる遊び場なんてありません。そのため、南極観測隊唯一の楽しみは「食事」

隊員の健康だけでなく、メンタルもかかっているので、南極の食事は、「本気」です。さらに、季節感が無く娯楽が少ない南極では、季節ごとのメニューも充実させています。意識的に季節感を出すことで、メンタルにもいい影響を与えているようです。

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これらの食材の多くは、冷凍状態で日本やオ―ストラリアなどから「しらせ」で運搬されます。そのため、トレンドの「持続可能性」に加えて、「生野菜」というメリットを考えて、野菜の栽培が始められています。

ISSでの野菜栽培は、無重力の影響を多く受けるために、また一段階難しいのですが、こんな感じで物質的にも、精神的にも持続可能な宇宙基地が作れたらいいなぁーと思います。

※キョクナンのシースーの写真は、Youtuber「南極おじさん」から。今は、チャンネルが無くなってしまいましたが、一番わかりやすくて、本当に好きでした。更新しなくていいので、動画だけ残してくれないですかね....資料価値も高いのです。

南極の医療設備もこんな感じで揃っています。急病になってもすぐには日本に帰れないので、最低限の手術はできるようになっています。将来の月基地でも必ず発生する医療問題。ロボットを使用したリモートの治療など、医療分野の発展も宇宙開発には欠かせないものになります。マジで。

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南極素人の南極オタクが語ってみました。なにか間違いや意見等ありましたらコメント頂けますと嬉しいです。


さて、南極・宇宙ビジネスとはどんなものか?後編をお楽しみください!

後編はこちら⇒



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