雑記 9月27日~

9月27日

 しばらく前にアマゾンマケプレで激安だったというだけの理由でウディ・アレンの伝記(『ウディ・アレン バイオグラフィー』)を買ったのだけれど、そもそもウディ・アレンの映画って『SEXのすべて』くらいしか観たことがない。せっかくだからなにか観てみようと思い、前から持っていた『マンハッタン』を再生してみたのだが、あまり面白さがわからない。

 ニューヨークのスノッブなインテリなんてぼくには縁のない人々だし、彼らの苦悩なんてどうでもいいよ、という気分になってしまう。まあ、アメコミヒーローの苦悩だって自分には無縁なのに、そっちはウハウハ喜びながら読んでいるわけで、筋が通らない気もするけど、この映画は登場人物の行動がおおむね予想の範疇を出ない感じがする。ぼくの鑑賞眼に問題があるのかもしれないが、どっちみち面白くないことにはかわりないので観るのをやめた。またいつか再挑戦するかも。

9月28日

 『バットマン:アースワン』読了。面白いので続きも翻訳してほしい。バットマンが弱っちい凡人だという前評判を聞いて、凡人ヒーローの話ならキックアスがあるし、わざわざバットマンでやらなくてもなあ……とか思っていたのだが大きなかんちがいだった。よく考えてみれば超人ヒーローの話だっていろいろあるんだから、凡人ヒーローってだけで同一視するのもおかしい。

 アキ・カウリスマキ『街のあかり』鑑賞。警備員が主人公なので感情移入度合いが上がり、ついつい観続けてしまう。しかしへんな映画だな。なぜ主人公はソーセージ屋の姉ちゃんを拒否し続けるのか。最初はあほだから彼女の思いに気づかないのかと思ったが、わざわざ手紙破ったりしてるし。ようするに好みじゃないのだろうか。

 途中からはとにかくソーセージ姉ちゃんの恋心を応援しながら観ていた。話の内容的にブレッソンの『ラルジャン』を思わせるところがあるだけに、いろいろ不安になりもしたけど、最後はハッピーエンドっぽい。あと、トレーラーハウスでソーセージを売る姉ちゃんの姿をみて、『インフェルノ』のホットドッグ屋をちょっと思い出した。

9月29日

 『虐殺器官』の絡みでまたRFIDについて書いていた。めんどくさいので省こうと思っていた、商品のトレーサビリティとRFIDの話も結局とりあげることにする。昨日、商品の流通履歴を「メタヒストリー」と呼ぶ理由が能登だでぃ子氏などの助言で判明したことが大きい。

 最近、ツイッター上で、技術の話題にくわしい人たちからいろいろ話を聞かせてもらっている。技術開発ってポジショントークだらけなんだな。企業が株価を維持するために、先端技術に挑んでます!といって、実際は成功のみこみもない開発を一応やらせてたり、そういう話もいろいろあるみたい。

 まだ実験段階のほにゃららメカを使用する!みたいな展開がアニメによくあるけど、あれも予算確保や株価維持のために成功の可能性があることにしてるだけのメカだったりしたらえらいことだ。理論上はうまくいくが実戦はまだの兵器なんてのも、公的資金つぎ込んじゃったので失敗しましたとはいえず、理論上はうまくいきますという報告書提出して終らせた兵器だったりするんじゃないのか。もうアニメ安心して観れない。

 新しいガン治療法の研究が成果を挙げました!みたいなニュースが、しばらくすると音沙汰なくなったりするのも、同じような事情があるんだろうか。ガンをヘルペスウイルスが食べてくれるとか、抗がん剤をナノマシンでガン細胞にだけ届けるとか、いろいろ読んだことがある。ああいうの実現してほしいものだけれど。

9月30日

 論じている文章の解釈が微妙にずれていたことに気づく。どう書き直そう。ストレスがたまる一方。

 現実逃避に辻邦生「春の戴冠」を読んでいた。面白い。

 『虐殺器官』を制作していたアニメ会社が倒産したらしい。スタッフに給料もふりこまれていないとか。映画どうなるんですかね。

10月2日

 なにはともあれブレンディですよ。2分30秒の間に、我々がいるのとはズレた世界が描かれ、ズレはしだいに大きくなってディストピアが姿をあらわにし、この冷酷な世界で主人公の運命は!とサスペンスが盛り上がり、結末ですべてはカフェオレのCMだったことが明らかになる。すごい急展開。

https://www.youtube.com/watch?v=rUWutkifbI0

 ひいい!なんて冷酷な選別システムなんだ!と思っていたら、こうして選ばれた特別な牛乳がブレンディの……という宣伝に決着する衝撃。卒業証書にブレンディって書いてあるのが見えた時点で爆笑必至。これに一番近い衝撃は、殺した相手の死体を解体する陰惨な犯罪小説が豚肉料理のレシピになってしまう、筒井康隆先生の『亭主調理法』ではないかと思う。

 ただ、あれはネタだとすぐわかるけれど、ブレンディは自虐的ブラックユーモアなのか、ガチで感動モノのつもりで作ってるのか、作り手の意図が読めないあたりがなおさら居心地悪くて、作品としてはともかく事件としては面白い。ほんとなに考えて作ったんだろう。

 

 

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