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〈書く事〉考

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ひろい集めて筏をつくる。
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#日記

日記で保つ

日記で保つ

水を取り替えた黄色い山吹の花弁が床に落ちた。窓辺に花瓶を戻す。振り返ると台所の所々に黄色い染みの様に花が足跡を残している。

萎れているけれど綺麗だ。世の中がモノトーンでなくて良かった。犬は世界が白黒に見えていると言われて可哀想に思った。「うそだぁ」とも思った。しばらくしてどうやら犬の世界にも色があるらしいと新聞か何かで読んで安心した。

いつも朝に日記を書くことが多い。日記といってもメモの様なも

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私は文章を製造する工場

私は文章を製造する工場

これまで作家・ライターとして文章を書く仕事をしてくる中で、自分が執筆にどれくらい時間をかけるのかを徹底的に把握してきた。

今では必要な文章の長さが分かれば、執筆にどれくらい時間を要するかをほぼ正確に予想することもできる。

クライアントから「5000文字の記事を5記事」と言われたらいつ納品できるかを即答できるし、物語の骨組みさえ固まればいつ完成させられるかも答えられる。

私の時間あたりの作業量

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小説が進まないときは「とにかく書け」ということ

先日、こんな生放送を見ました。

「これからのウェブと創作」というハッシュタグの通り、3人の小説家の方が対談形式で「ウェブを使った創作の場はこれからどうなっていくのか?」「どうやってウェブという場を使っているか」をお話されています。

率直な感想は「創作家たちの雑談、面白い!!!!!!!」
実際に同人活動もされているそうで、プロアマチュア関係なしに参考になるエピソードが飛び出します。
プロの方の書

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なぜ文芸メディアじゃないWEBメディアで「文学」をするのか?──多数派じゃないと生きられないわたしたち

なぜ文芸メディアじゃないWEBメディアで「文学」をするのか?──多数派じゃないと生きられないわたしたち

 ライターを職業としてはじめてまだ日は浅いけれど、そのなかで痛感したことがある。それは、「WEBを主戦場とするライター」は文章そのものだけで業界を生き抜いているというひとがまずいないということだった。
 もちろん、文章のクオリティは技術だけじゃなく経験や感覚に裏付けられるところもあるけれど、ぼくが言いたいのはそういうことじゃない。書き手を効果的にキャラクター化するプロモーション力とか、そういう文章

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