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女流新棋戦創設ーヒューリック杯白玲戦・女流順位戦についての私見ー

本日、日本将棋連盟よりヒューリック杯白玲戦・女流順位戦の新創設、第3期より大成建設杯清麗戦への変更が発表された。

昨今、女流棋士界について思う所もあり、また昨日、第70期王将戦挑戦者決定リーグ戦にて藤井聡太二冠が負け、タイトル挑戦に赤信号となって気落ちしていた事もあり、このニュースは大いにテンションを上げてくれた。大変嬉しかったのは、何といっても女流順位戦である。以前は女流名人戦にてA・B級リーグが存在していたが、今はもはやなく20年以上ぶりに女流界でも順位戦が復活したことである。しかもA~D級を設定し、全女流棋士が順位戦を経験できる。これは女流棋士界にとっても大いなる発展であると思う。

第1期は8名一組とする8組に分かれての総当たりリーグ戦とのこと、また毎日新聞・将棋のTwittterによれば「第1期白玲戦は、女流棋士63人に女流3冠の西山朋佳奨励会三段を加えた64人が参加」とある。現行、LPSA・フリーを含め女流棋士は65人だが早水千紗三段・山田朱未二段が来年の3月まで休場なので63人、それに西山朋佳奨励会三段を加えて64人となるのであろう。

この数字は日本将棋連盟の棋士の人数と比べると半分にも満たない。では棋士ではいつ頃の数字かというと、1960年頃まで遡る。つまり人数だけでいえば、女流棋士界は60年も遅れている事になる。女流棋士が誕生してから40年以上経過し、当初は6人だったところが現在は10倍以上にもなり着実に人数は増加しているが、棋士の人数と比べるとまだまだと言ってよいだろう。勿論、無碍に人数を増やせばいいというわけでもないし、また女流棋士の規定は棋士に比べると差が大きいことは否めない。女流棋士界の発展は、裾野の拡大と女流棋士の強化の二枚看板で推し進めていく事になると考える。

そのための一翼として女流順位戦によって女流棋士も対局が増え、公に見られることは願ってもない事である。第2期以降は第1期で各組同順位者による順位決定戦を行い、「順位決定リーグ戦の各組1位が白玲のタイトル並びに来期の1~7位、各組2位が8~15位となり、上位からA~B級(各10人)、C級(20人)、D級に分かれ、A・Bは総当たり、C・Dは8回戦」(毎日新聞・将棋のTwitterより改編)とあるが、昇級者人数や降級点、フリー規定などを含め詰めていくことは多くあり、今後の発表を待ちたい。また、タイトル戦七番勝負を9~11月に設定していることから、 リコー杯女流王座戦・霧島酒造杯女流王将戦・倉敷藤花戦と時期が重なる。つまり秋のシーズンに4つのタイトル戦が重なり、これらを複数冠保持している場合は日程過多になる恐れもあるので、タイトル戦の時期移動も考える案件なのかなと思う。

ともかくこれで、女流棋士のタイトル戦も8大タイトルとなり、棋士のタイトル戦と同じ数になった。一昨年のヒューリック杯清麗戦といい、女流棋士界は大きく前進している。ただし私見ではあるが、女流タイトルを獲得しているのが現在、里見香奈女流四冠・西山朋佳奨励会三段(女流三冠)である。他にタイトルを獲得できそうな女流棋士といえば、加藤桃子女流三段・伊藤沙恵女流三段の計4人ぐらいなのかなと思っている。棋士でいえば、渡辺明名人(棋王・王将)・豊島将之竜王(叡王)・藤井聡太二冠・永瀬拓矢王座の4人が牛耳るように、あえて人数を合わせれば女流棋士は上記の4人になるであろう。無論、里見香奈女流四冠の最多タイトル数更新や八冠同時保持はみたいが、女流棋士界の活性には他者の台頭が必要になると思われる。これからの女流棋士界も大いに期待したい。

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