バズったツイートにめっちゃリプをしたくなる心理
恋人同士の会話もそうだけれど、人は自分の価値観を話せると会話を楽しく感じる。
逆に面接みたいに、事実を淡々と一問一答でやり取りする人に対しては、モテなさそうだなと感じるわけだし。
しかし、その恋愛系YouTuberも紹介しそうなテクニックを聞いて「はい、いまから貴方の価値観を好きなだけ話してね!いくらでも聞いてあげるから!」と言われても話すことが出てこない。
村上春樹が『1Q84』のなかで、青豆の口を借りて小説の書き方について語る場面がある。
「小説の中で銃が出てきたら、それは撃たれないといけない」
伏線を回収することの大切さについて述べるシーンだ。逆にいうと、良質な小説だと、何かのクライマックスは、必ずその前に伏線が敷かれている。
なお、カミュの『異邦人』は良質な小説でありながら、「日差しが眩しかったから」という理由で殺人をする主人公が登場するし、だからこそ本作は不条理小説というジャンルとして括られることが多いが、今回は例外として話を進めたい。
伏線を張る。
すなわち、会話も何かきっかけがないと弾まない。
きっかけとは、価値観に立ち入るような的確な質問だ。
質問を投げられた人が「え!考えたことなかったけど、それについて話したい!」と思わず思うような質問を投げ込むのが上手い人を、我々は人たらしと呼んでいる。
そして、それにはタイミングも重要だ。
初対面の人に、一言目から価値観について聞かれても戸惑うだろう。
ある恋愛テクニックで登録者が16万人いるYouTuberは以下のように質問を展開することを推奨していた。
たしかに、これは「当たり障りないけれど話しやすい話」から「その人自身の価値観」に、自然に移行して会話を進める質問の展開として綺麗に計算されている。
この、恋愛系のYouTuberの場合は、ゴールが恋愛関係になる事だから、恋愛についての価値観を当たり合うことが着地点になっているのである。
仕事仲間や初対面の人とは、恋愛ではなくそれぞれなりたい関係性についての価値観を着地点にすると、あなたも気がついたら人たらしと呼ばれるようになっている。
例えば、仕事仲間との飲みなら仕事で重視していることだったり、初対面の人なら人生で大切にしていることだったり。
では、価値観について聞く時に
筋のいい質問とはなにか?
イメージとしてはバズったツイートを想像すると上手くいく。
バズったツイートには、たくさんのリプがぶら下がっている。
これは逆に考えると、バズるツイートとは、そのことについて「一言物申したくなる」ようなことを呟いているから、その発言についてたくさんの人が反応してバズるわけである。
会社の会議で、難しい数学理論を駆使した統計の結果について意思決定するよりも、会社に自転車置き場を設置するかどうかについての議論の方が活性化する現象に、「自転車置き場問題」という名前がついている。
本当に重要な難しい問題よりも、
重要ではないけれど誰でも意見を言いやすいテーマが白熱する、ということを揶揄した表現である。
バズるツイートとは、その難易度設定が上手くいったものだし、人たらしとはバズるツイートみたいにリプをしやすいし何か言いたくなる質問を息をするように投げる人である。
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