UAE建国53年を祝して UAEと日本の関係と真の『敬意』について 元上場企業社長コラムVo.3
2024年12月2日、アラブ首長国連邦(UAE)は建国53年を迎えた。半世紀を超える歴史の中で、UAEは中東の中でも特に経済的・文化的発展を遂げた国の一つとして知られている。
UAEは日本との深い関係を持ち、互いに尊敬と敬意を基盤にした特別な絆を育んできた歴史がある。日本にとって欠かせない存在であるUAEとの関係性を紐解きながら、UAEへの敬意を表すと同時に、今日本人が知るべき他国への『真の敬意』についてお伝えしたい。
UAE国民の日本への敬意
UAEでは、日本国、そして日本人そのものが高く評価されている。タクシーは全てトヨタ車、ハイヤーはレクサス車。もちろんそれだけではない。日本人だと伝えると、嬉しそうに日本の魅力を伝えられ、様々なお褒めの言葉を頂く。
時には役所での行列中に、先頭に誘導され数時間待ちを覚悟した手続きを優先してもらったことすらある。
UAE国民の間では、日本人の礼儀正しさ、時間厳守、仕事に対する姿勢が賞賛されている。
文化や宗教の違いを超えて、日本人に対する深い敬意が存在しており、「日本人は信頼できる」「日本は尊敬すべき国」との声が多く聞かれる。
偉大な日本の先人達のお陰ではあるが、すごく嬉しい気持ちになると同時に、非常に複雑な気持ちに苛まれる。
UAEに対する日本人の評価
その理由として、日本国内でのUAEへの認識にやや懸念を抱かざるを得ない。ネットニュースやSNSに掲載されるUAE関連の話題に対するコメント欄を見ると、否定的な意見や事実誤認に基づく批判的な発言が目立つ。批判内容は割愛するが、UAEの文化や政策について深く理解せず、表面的な情報だけで判断し誤った批判を繰り返す。どの立場で何を目的としての発言なのか、意味が全く理解できない。
UAEは情報統制や厳格な言論規制があることで他国を否定的に扱うことはないが、それだけでなくUAE国民の間には、日本や日本人に対する否定的な感情はほぼ存在しない。彼らの中には、日本への尊敬を語る人が多く、日本文化を取り入れようとする動きすら見られる。
翻訳技術の発展と情報の透明性
現代では、翻訳技術が発展し言語の壁は以前ほど高くない。インターネット上のコメントや投稿が容易に翻訳される時代において、日本国内で発信された否定的な意見が海外の人々に届く可能性は極めて高い。仮にUAEの人々が、日本国内で自国について書かれた否定的なコメントを目にした場合、彼らはどのように感じるだろうか。
UAE国民にとって、日本への旅行やビジネスは喜びや誇りを伴うもので、訪日中に否定的なコメントを目にすれば、確実に失望や悲しみを生むことになる。情報が容易に共有される今、我々日本人は、自らの発言が持つ影響力と責任を改めて考える必要があると切に感じる。
もちろん『何に対しても偉そうに批判を繰り返す人種』がある一定数存在することは理解している。がしかし、その一定層のおかげで他国の人が悲しい気持ちになることだけは避けなければならない。情報が瞬時に共有され、言葉が国境を越える時代において、この言葉の責任はこれまで以上に重い。
ネガティブな意見の波及効果
否定的なコメントや批判的な発言がもたらす影響は、単に特定の国や文化に対する誤解や偏見を助長するだけにとどまらない。国同士の信頼関係や友好関係に亀裂を生じさせる可能性もある。たとえその発言が一部の無知や悪意によるものであったとしても、受け取る側にとっては「日本全体の意見」として捉えられることがある。
他国文化への敬意と未来への希望
UAEをはじめとする他国の人々が、日本に対して感じる『敬意』を日本人が壊してしまうことがあってはならない。むしろ、彼らが日本に対して抱く『敬意』以上に、他国の文化や価値観に対する理解を深め、良さを知り『他国への敬意』という価値観を共有し、尊敬し合える関係が理想的ではないだろうか。
常に優しい気持ちと、真の敬意を持ち『宇宙にある地球』そして『地球にある日本』という広い視野で物事を判断することで、否定や批判等の言葉を無くすことができるはずである。
UAEに限らず全ての諸外国に敬意を表し、日本人であることに誇りを持ち続けられるような世の中になって欲しいと切に願う。
そしてここから、本来否定や批判をすることができない、日本の豊かな生活に大きく関わるUAEと日本の歴史ある関係について解説したい。
UAEとの歴史ある関係概要
UAE(アラブ首長国連邦)は、1971年にUAEが建国されて以降、日本の歴史的な関係は本格的に築かれた。しかし、その前の時代から貿易やエネルギー資源を通じた間接的なつながりが存在している。
1.建国以前のつながり
真珠貿易時代(19世紀~20世紀初頭)
日本の真珠養殖技術が普及する以前、アラビア湾の真珠産業は世界で非常に高い評価を受けていた。この時代、日本とペルシャ湾地域(現在のUAE含む)との間接的な関係が、真珠取引を通じて存在した。
貿易関係の萌芽
第二次世界大戦以前、日本製品(陶磁器や繊維など)が中東地域に輸出されており、その流れでUAE地域にも届いていたとされている。
2.建国後(1971年~1980年代)
国交樹立(1971年)
UAEの建国と同時に、日本はすぐにUAEを承認し、正式に外交関係を樹立。これにより、両国の経済・政治的なつながりが本格化する。
エネルギー協力の拡大
1970年代のオイルショック後、日本はUAEを重要なエネルギー供給源として位置づけ、原油や天然ガスの輸入を拡大。同時に、日本企業がUAEでの石油開発プロジェクトに参加する。
ODA(政府開発援助)の提供
日本はUAEに対して、インフラ整備や技術支援の形でODAを通じた協力を行う。これにより、UAEの近代化プロジェクトに日本の技術が活用される。
3.関係の深化(1990年代~2000年代)
貿易拡大
1990年代には、日本からの自動車、電子機器、産業機械などの輸出が大幅に増加し、UAE市場における日本製品の存在感が強まる。同時に、UAEからの石油輸出も安定供給が続くようになる。
文化交流の活発化
両国間で文化的な交流が増え、日本のアニメやマンガ、伝統文化(例えば茶道や武道)がUAEで人気を博す。これに伴い、UAEの学生が日本への留学を選ぶケースが増加。
4. 現代(2010年代~現在)
経済連携の強化
日本とUAEはエネルギー分野だけでなく、再生可能エネルギー、宇宙開発、医療、スタートアップ支援など多分野で協力を進めている。
ドバイ万博(2020年)
日本はドバイ万博において大規模な展示を行い、両国のさらなる交流促進を図る。この万博でUAEと日本がともに未来志向の協力関係を強化する契機となる。
宇宙開発の協力
日本はUAEの宇宙計画において重要なパートナーであり、UAEの火星探査機「ホープ(Hope)」を日本のH-IIAロケットで打ち上げるなどの技術支援を行っている。
5. 主な協力分野の変遷
時期 主な協力分野
1970年代 エネルギー(石油・ガス)
1980年代 インフラ整備、技術支援
1990年代 貿易拡大、自動車・電子機器の普及
2000年代 文化交流、観光産業
2010年代以降 再生可能エネルギー、宇宙開発、スタートアップ支援
日本が輸入する92.5%の石油は中東から
ロシアの戦争からさらに拡大する輸入量
UAEは、単なる石油供給国以上の役割を担い、日本のエネルギー、安全保障、経済にとって不可欠な存在である。特に、2022年に勃発したロシアのウクライナ侵攻以降、UAEの重要性はかつてないほど高まっている。この戦争が引き起こした国際エネルギー市場の混乱や地政学的リスクの増大を背景に、UAEの安定性と信頼性が日本にとっての生命線となっている。
代替供給源としての役割
日本はロシア産エネルギーへの依存度を減らすため、中東地域、特にUAEからの原油輸入を強化した。2021年度時点で、UAEからの原油供給は日本の輸入量全体の30%近くを占めており、この割合は戦争以降さらに増加している。
エネルギー以外の経済協力の強化
UAEと日本の関係は、石油やガスといったエネルギー分野だけでない。UAEは再生可能エネルギーや水素エネルギーの開発に力を入れており、日本も脱炭素化を目指す中で、UAEとの協力を強化し、クリーンエネルギーの分野での連携を進めている。水素やアンモニアといった次世代エネルギーの供給において、UAEは重要なパートナーとなっている。
新興分野での連携
そして更にUAEは、人工知能(AI)、スマートシティ、宇宙開発といった新興分野で積極的な投資を行っている。これらの分野で日本企業がUAEと協力する機会が増加しており、戦争後の国際社会における競争力を高めるための重要な連携先となる。
地政学的安定性がもたらす安心感
ロシアの戦争後エネルギー市場や国際貿易は地政学的リスクにより不安定化している。この中で、UAEの安定した政治体制と中立的な外交政策は日本にとって安心して協力できる国である。
日本がUAEに敬意を示すべき理由
UAEの存在は、日本のエネルギー安全保障だけでなく、経済全体にわたる安定と発展に直結している。そのため、日本がUAEに敬意を示し、より強固な関係を築くことは、至極当然のことである。単なるエネルギー供給国ではなく、日本の信頼できるパートナーであり、日本がUAEに対して感謝と敬意を示すことで、長期的な友好関係を維持することができることを忘れてはならない。
日本がUAEを尊重し、協力を深めることは双方にとって明るい未来を築く鍵となる。UAEへの敬意と感謝を示しつつ、この重要なパートナーシップをさらに発展させることが、国際社会における日本の地位を高めることに繋がる。
おわりに
2024年12月2日、UAEは建国53年を迎えた。
この歴史的な節目に、私たち日本人はUAEとの長年にわたる友好関係を改めて振り返り、その重要性を再確認したい。
UAEは、単なる石油供給国ではなく、日本の経済とエネルギー安全保障を支える柱として、また、文化や技術の交流を通じて相互発展を目指す信頼できるパートナーである。
UAEはこれまで安定したエネルギー供給を日本に提供し、日本の産業基盤を支える重要な役割を担ってきた。このようなUAEの尽力に対し、日本は感謝の気持ちを示し、共に未来を切り拓くパートナーシップをさらに強化する必要がある。
建国53年という節目に敬意を表しながら、私たちはUAEと日本の絆をさらに深め、国際社会の模範となる関係を構築していく未来を願いたい。
BITEXについて
BITEX REAL ESTATE BROKERAGE L.L.C(バイテックス)は、日系企業で唯一のアブダビ不動産会社です。不動産事業の他に、市場進出と業務サポート(事業テナント紹介・法人設立・市場分析、財務計画、戦略立案・ビザ申請・口座開設等)を行っております。
中東の持つ深い品格と、静かなる美徳を尊重し、厳格なガバナンス構造を導入した、透明性、責任、公正性を重んじた取引を行うことで、中東の魅力を世界中の人々につなげる役割を担っています。
アブダビ不動産市場での新たな価値提供
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この提携により、BITEX社はアブダビおよびUAE全体の日本人投資家や企業に対して、信頼性の高い不動産サービスを提供し、UAE不動産市場へのアクセスを容易にしています。
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アルダーとの提携により、一般には公開されない希少なキャンセル物件や投資物件の情報を優先的に提供します。
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UAEの不動産市場における最新のトレンドや投資リスクを把握し、投資家にとって最適な物件選定や購入タイミングをアドバイスします。
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アブダビ市場への影響と今後の展望
アブダビの不動産市場は、非石油セクターの経済成長とともに急速に拡大しており、特に外国人投資家にとって魅力的な投資先となっています。アルダーとBITEX社の提携は、日系企業や日本人投資家にとって、これまで以上に不動産市場へのアクセスを容易にし、投資の幅を広げる大きなチャンスです。
ステークホルダーの皆様へ
アブダビの経済と文化の中心にバイテックス(BITEX)社が誕生しました。その背景には、日本の上場会社の社長を辞任し、アブダビに移住した代表上野の強い意志があります。企業のリーダーとしての長年の経験と、4,000億以上の取引実績に於いて、独特のビジョンを生かしてアブダビにおける新たな事業の礎を築くべく展望を掲げています。
そして、日本最大手の美容整形クリニックの総医院長が取締役として加わり、その事業に対する専門知識と顧客ファーストである精神、ビジネスセンスを結集させています。
この企業設立の背後には、抱いていたアブダビへの深い魅力があります。アブダビは、経済的な豊かさはもちろん、文化的な多様性、品格のある街並み、国際的な美術館や文化施設の存在など、多面的な魅力を持つ都市です。
それらの魅力に加え、人々の暖かさや、未来に向けた可能性も心を動かしました。これらの要素が融合するアブダビこそが、新たな事業を始めるにふさわしい場所だと確信しました。
バイテックス社のメイン事業は不動産売買ですが、その活動範囲はそれに留まりません。日本から進出する企業や、さらには日本以外の国々からの企業に対しても、アブダビでの事業展開を全面的にサポートしています。事業計画の立案から、フィージビリティスタディの策定、予算組みまで、幅広いサービスを提供しています。
バイテックスは、アブダビでの事業展開を通じて、新たな価値を創造し、多様性と包摂性を重んじる社会の構築に貢献して参ります。
アラブ首長国連邦(UAE)は、ドバイをはじめとするその輝かしい都市群で世界的に知られています。これらの都市は、まばゆいばかりの豪華さと先進的な都市構造で、多くの人々を魅了してきました。
しかしながら、私たちバイテックスは、そのような華やかさを前面に押し出すことなく、むしろUAEの持つ深い品格と、静かなる美徳を尊重し、それを世界に伝えることを心掛けています。派手さを追求することなく、ガバナンスが確立され、組織の持続可能性に貢献する運営を目指しており、この姿勢は日本企業での長年の経験から培われたものです。
UAEの真の魅力は、その煌びやかな外観だけにあるのではなく、その土地が持つ歴史的背景、文化的多様性、そして人々の暖かさに深く根ざしています。これらは、一見すると目立たないかもしれませんが、長期にわたって持続可能な関係を築いていく上で、はるかに重要な価値を持っています。
厳格なガバナンス構造を導入し、透明性、責任、公正性を重んじます。これらの原則は、私たちの事業活動全般において、絶対的な指針となります。さらに、社員一人ひとりがこれらの価値を内面化し、日々の業務に反映させることで、企業文化として定着させています。
単に事業の成功を収めることだけではなく、UAEの真の品格のある魅力を世界に伝え、相互理解と尊重に基づく関係を築いていくことを最大の喜びとし、使命を果たして参ります。
皆様の信頼とサポートに心から感謝申し上げます。