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詩の場所

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小山伸二の詩の置き場所です。
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2018年2月の記事一覧

冬の旅から

冬の旅から


猟犬の遠吠えが山彦になって
尾のながい小鳥のさえずり
向日葵の種がならぶ切り株
空は夜の支度をはじめて
気のはやい星々がちらちらとひかりだす
頬をなでる風のつめたさ
からだのなかを流れる
血液のせせらぎの音が聴こえる気がする
遠い村

どこまでも広がる
深い谷と聳えあがる崖を眺めていると
何万年ものときを刻んだ
この星を抱きしめたい
生まれきて
潰えた命を

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