200228_記事ヘッダ_013

わが名はマーケター。われら多きが故なり

怖がらせるマーケティング

なんか一時期、AIがいろんな仕事を無にする! おまえもおまえも失業だ!! 荷物をまとめてさっさとでていけ!!! みたいな論調がはやったじゃないですか。

ぢごくのまーけたー、しんいつです。

これね、似たようなことは何度も言われてる。ぼくやあなたがプリティベイビーだったころから手をかえ品をかえ、ずっと言われてる。たぶん古代エジプトのころからずっと言われた。横顔しか描けなかったころから言われている。

ロボットが人類を労働から解放する! すべての仕事をコンピュータが代替する! インターネットがすべてのビジネスを変革する!

たぶん、蒸気機関が発明されたときもそう言われたと思うんです。水車のときも言われただろうし、車輪のときも言われただろうし、もしかしたら火を集落にもちかえったネアンデルタール人も言ってたかもしれない。「火というイノベーションが、われわれの食と生活を不可逆に変えるうほうほ!」って

なんなんでしょうね、これは。

わかりますか? これがマーケティングってやつなんですよ!!!

納得させるマーケティング

とはいえ、時代の変化、技術の進歩、情報の拡散によって、労働や仕事がかわっていくのもまちがいない。

完全な自動運転技術が普及すれば、タクシーやバスの運転手はごく一部をのぞき、職をうしなうだろう。さすがに皇族のパレードは自動運転ではなく人間が運転するんではなかろうか。いま馬車がつかわれる程度にはのこる。

となると、運転手を養成するスクールとか、そもそも運転免許制度自体も縮小していく。スポーツや趣味以外ではだれも自分で自動車を運転しなくなる。自動車教習所、教員もやばい。交通安全なんとかみたいな巨大な天下り機構も存続はむずかしい。あれはあれでおそらくべつの食い扶持をなんとかするだろうが。

そういう職業や業界自体のON/OFFだけではない。仕事の概念自体もかわる。

たとえば賛否両論毀誉褒貶あるものの、ランサーズやクラウドワークスのようなクラウドソーシングも、インターネットとPCやスマホがなければなりたたない仕事のありかたではある。むかしながらの内職ではないか、マッチ棒を箱につめるかわりに、政権与党を擁護するツイートをコピペしているだけのちがいではないか、という意見もある。仕事の内容や報酬制度、時間の自由さなどはそうだが、「場所に制約されない」というのはおおきな違いだ。クラウドソーシングで日銭をかせぎながらバックパッカーとして世界を旅しているひともけっこういる。

「仕事といえば、親からうけつぐものだ」「仕事というのは、どこかの会社で一生かけてつとめあげるものだ」みたいな仕事観のほうがいまでは圧倒的に少数派だ。テレビをつけても、電車にのっても、ネットをひらいても、転職サービスの広告だらけだ。やれ理想の仕事に出会えるだの、年収をあげろだの、自分らしく輝くだの。ぼくもやってるんだけどそれはまあおいておいて。

そういう転職サービスもそのうち消えていくだろう。「仕事とは会社に所属すること」「職をかえるとは、所属する会社をかえること」という概念自体が古くなる。クライドソーシングが主流になるのか、副業・複業があたりまえになるのか、あるいは案件単位のマッチングになるのか、そのへんはまだ見えない。いずれにせよ仕事の概念がもっとこまかく分解され、それにあったサービスにきりかわっていくだろう。

消えゆくマーケティング

さて、ではわれらが愛するマーケターという職業はどうなっていくのだろうか。タクシードライバーのように職業として消えゆくのだろうか。あるいは、マーケティングという概念がばらばらにされて時間単位でやりとりされるようになるのか。

ぼくは両方だと思う。

たぶんマーケティングを専門でおこなう人間=専業マーケターというのは、プロのレーシングドライバーなみの貴重職種になるだろう。黒ずくめの無免許医のようにさっそうとあらわれて企業のピンチを解決し、巨額の報酬をふんだくっていくような職業になるのではなかろうか。

その他のマーケターは、概念としてうすくひろく、あらゆるひとに拡散する。そもそもマーケターは特殊な訓練や機材が必要な職業ではない。だれでもやろうと思えばできる。そして会社組織やプロジェクトがあいまいになるにつれ、職責や職分もあいまいになる。

よく「仕事はかけ算でやれ」といわれる。たったひとつの分野でプロフェッショナルになるには相当がんばる必要がある。たとえばマーケターで日本一になるのは、なにをもって日本一かという定義はともかく、かなりしんどい。なぜなら日本一はひとりしかいないから。しかし「チューブワームにめちゃめちゃくわしいマーケター、チューブワームxマーケター」ならいけるかもしれない。それでもきびしいならもう1つかけたらよい。「有機リン化合物xチューブワームxマーケター」とか。10個くらいかけたら、たぶんオンリーワンのナンバーワンになれる。需要と供給はおいておけ。

そんな感じで、かけ算の要素としてはマーケティングは確実にのこる。それも、かなりの重要パーツとしてのこるだろう。

だから安心してほしい。マーケティングの本質さえつかんでおけば、AIが人類抹殺のために未来から大量のターミネーターを送りこんだ未来になっても、きっと生き残れる。レジスタンスのサブリーダーぐらいにはなれる。きたえるんだ。筋肉は裏切らない。

マーケティングの本質13

筋肉は裏切らない

次回予告

リモートワークマーケター

悪いことは言わない。やめておけ!