ヨヨギマック引退に際しての引き取りに関する揉め事について

昨日12月4日、非常に残念な出来事があり、私自身余りの悔しさに寝付けず、この件に関して努めて冷静に思考を重ね、考え悩みましたが、至った結論が「このまま黙っているのもおかしな話だ」というものでしたので、掲題の件に関して少しばかりのご報告と私見を述べたいと思います。

余り気分の良い話ではなく、また、地全協・地方競馬教養センターへの批判を含む内容になっております。興味のない方はお読みになる必要性がありません。

さて、事の経緯は、こうです。我々が所有するヨヨギマックも明け9歳馬という高齢になり、近走の成績からしても上がり目は見込めないという事で引退後の処遇を決める必要性がありました。

折しも、地全協の一組織である地方競馬教養センターが、ジョッキーの卵達を乗せるための研修馬を募集しているという案内を全国の地方競馬に所属する調教師あてに出しており、私は「これは渡りに船」とばかり先方へ問い合わせを行いました。

これが11月18日の事です。

電話での問い合わせ内容は、「屈腱炎など脚元に問題を抱えている馬は駄目」、「騎手候補生もまだ未熟なので暴れるような馬は駄目」といったものでしたが、ヨヨギマックはそういった馬ではないので、宜しくお願いしますという話になりました。

ただ馬の引き取りに関しては、地方競馬教育センターが馬主と直接やり取りをするわけではなく、その馬が所属する調教師が窓口になるという話も合わせてありました。

そして、「研修生は今現在那須にはいないが、12月の半ば頃に戻ってきて、その頃には必ず研修馬が必要になる。なので、その時期に。」という話が先方よりありました。

電話での問い合わせを終え、私はヨヨギマックの引退後に関するプランを彼が所属する園田・田村師に伝え、その田村調教師からも「那須の地方競馬教養センターで研修馬として引き取りと先方との話はすみましたので」と報告を受け安心する事になります。

ここまで順調に話が進んだのに、どうして揉め事になったのかと言いますと、引退レースを終えた昨日になって地方競馬教養センターより、「ヨヨギマックの受け入れに関する件はお断りとさせていただきます」という連絡が田村師宛てにあったのですね。

地方競馬教養センターの言い分はこうです。

「ヨヨギマックは以前にも、そして引退レースでも心房細動を発症している。そのような馬を研修馬として受け入れて、もし研修中に倒れるような事があると、騎手候補生が怪我をするかもしれない。ですので、お断りします」

私の言い分はこうです。

「そちらが12月の半ばにとおっしゃるので、こちらはもう一度レースを使うスケジュールになったのです。こんな話になるのなら、レースには使わなかった。またこの判断ミスのせいで、馬の引退後に関して生命の危機に繋がる恐れもある事態になっている。ここまで手順を踏んで段階的にちゃんと話を進めたのに、引き取り時に急遽キャンセルなんて通るのか?」

そして、私が心底悔しかったのが「騎手候補生にケガをさせることになるかもしれない馬は要らない」という先方の言葉です。

ヨヨギマックは確かにレース中に心房細動を起こした事がありますが、競走中止にはなっていません。そのレースを終えた際の苦しそうな姿も現地で見ましたが、完走はしています。ましてや、騎手を降り落としたりもしていません。この言葉は、ヨヨギマックを冒涜していると私は感じました。

ヨヨギマックは所作も紳士的で元中央オープン馬です。そういった馬を騎手候補生の将来のためにと考え、寄贈しようとする馬主側の善意と好意を踏みにじる発言であるとも思います。

また、私達と同じように引退後に、「ここならすぐに肉屋には売られないだろう」と思い、この研修馬への道を模索する馬主陣営も数多いと想像するのですが、こんな場当たり的で、何かの基準やルールなしで、現場の裁量だけで好き勝手できるのなら、他の馬に割り込みをされただけであっても、こちらは分からないという危惧もあります。

単純に受け入れを断るにしても、11月18日の問い合わせから数日内に断りの連絡がないと話のスジとしても通らない。

そもそも、仕事におよそ「人の心」が通っていない。馬への愛情も敬意もない。あるのは、目の前の仕事を効率良くこなそうというだけの無機質なロボットがする作業です。

地方競馬教養センターと呼称していますが、こういった仕事をする組織に「教養」などという言葉を付け加えるのはおこがましいというものでしょう。

私達に一番馴染みがあって、最もふさわしいと思われる呼称は、「地方競馬お役所仕事センター」ぐらいではないでしょうか。長ければ「地方競馬官僚センター」ぐらいが一番マッチしてそうです。

まー、馬の福祉に関して心あるホースマンがいくら一生懸命に活動しても、おそらく中央省庁からのキャリア組で幹部が構成されているであろう地全協の人間からして、こんな感じなのですから、それはもう救われないという他ありませんね。

地全協が掲げる「馬事振興」という大義名分も曇るというものです。

狭い人間関係の中でのみ通じるそのお役所の論法は、多くの馬主や競馬ファンにも通じるのだろうか?私は「ノー」ではないかと思っています。

大体、研修馬であっても、獣医の世話にならない馬なんているわけがないのですから。多少何かあっても「こちらで治療しますね」が本来あるべき姿ではないかと考えます。

また、「心房細動を発症した馬は危険なので研修には使えない」というのであれば、「心房細動を発症した事のある競走馬が地方競馬場が主催するお金がかけられた実際のレースに出てきて、当然騎手が騎乗している」という現状をどういった説明なら肯定できるのか私には見当がつきません。

馬券が売れて儲かりだすと、こんなもんなのだなとも思います。全国の地方競馬場で廃止騒動が頻発していた時代には、私も多少なりとも地方競馬のためにと善処しましたが、今は失望を禁じ得ない気持ちです。

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