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【ミカタをつくる広報の力学】 #10 ブランディングは「らしさ」の表現

今回は記念すべき#10ということで、ブランディングについて話したいと思います。

「ブランディング」とひと口に言っても、概念のようで作業のようで、とても曖昧な意味合いを持つワードですが、広報・PRにおいて、ブランディングの役割はとても重要と考えていますので、大枠だけでも捉えていただければと思います。


※初めての方は、「#00 イントロダクション」をお読みいただくと、コンセプトがわかりやすいかと思います。

※このコラムでは、複雑なイメージの表現例として一部「色」を使用しています。


ブランドって何?

ブランドと聞くと、バッグやアクセサリーの高級ブランドを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、ここで言う「ブランド」は少し意味合いが違います。高級ブランドも庶民派のものも含めて、すべての「銘柄」のことを指します。

元々は自分の牧場が所有している証として、家畜に押した「焼印」のことを指す言葉だったそうですが、そこから企業ごとの製品の識別を示すようになり、現在に至ります。

当時の焼印と同様に、今でも企業の製品には識別記号としてブランドロゴが付されています。

ロゴ以外にも、統一感のある色展開やデザイン、CMではサウンドロゴ、従業員のユニフォームというように、識別記号はCI(コーポレートアイデンティティ)・VI(ヴィジュアルアイデンティティ)となって発展していきます。

ホームページやメルマガなどのオウンドメディア、消費者とコミュニケーションが取れるSNSに「中の人」。社外向けに限らず、社内報などのインターナルコミュニケーションにも。
目に見えるVIは無くても、目に見えない識別記号、つまり「らしさ」が息づいています。

この状態はすでに、「製品に接触した人がブランドを識別するため」ではなく、企業側からの積極的な「ブランド認知を高めるため」に行っている「ブランディング」であるといえます。


「らしさ」は意外と難しい

先程、目に見えない識別記号を「らしさ」と表現しました。
ざっくり言ってしまえば、「らしさを表現すること」を「ブランディング」と呼ぶのですが、これがなかなか難しい作業なのです。

まず、「らしさ」は特徴とは少し違うという点。

例えば、あなたは電化製品を特徴で選んでいますか?
電化製品の特徴というと機能やデザインのことを指しますが、スマホや冷蔵庫などはブランドで選んでいる人も多いのではないでしょうか。

技術が成熟化して機能の差別化が難しくなった製品ほど、ブランドで選ばれることが多いのです。

そして、「らしさ」は曖昧なイメージである点。

ブランドロゴは目に見えますが、ブランドの「らしさ」は目に見えるものとは違います。例えば、ブランドロゴの書体が細い企業は「細い会社」ではなく、「頭の良さそうな会社」だったりします。

目に見えるデザインを使って、目に見えないイメージを伝えようとしているわけです。

特徴のように明確ではないから見付けるのが難しく、目に見えないものだから伝えるのも難しい。

これだけ難しいものを表現しなくてならないのは、パーセプションを形成したいからなのです。


イメージとパーセプション

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これを見た人は、この色をどのように認識するでしょうか。

赤、紫、赤紫、青っぽい赤、ピンク、ワインレッド、大人っぽい色、くすんだ色・・・

この色ひとつで様々な要素が混在しているので、イメージの捉え方も人それぞれだと思います。

一方でブランディングは、「消費者からどのように認識されるか」という課題、つまりパーセプションの形成が目的です。

例えるなら、上の色を見た多くの人に同じイメージを持ってもらいたい、ということです。

これが唇の形になると、もう少しイメージが固定されて、「口紅の色」という認識になるでしょう。

これがパーセプションの形成された状態です。


ブランディングとは

ブランドの「らしさ」は、その企業や製品に内在しているものです。

経営者の理念、開発者の設計、メディアが伝える情報、消費者の利用シーンなど、様々な要素が混ざり合うことで自ずと醸成されるものなので、無理矢理つくろうとすると歪みが出てきます。

ロゴやイメージだけカッコよくしても、行動が伴っていないと炎上してしまいます。

CIやVIなどのクリエイティブがブランディングと呼ばれた時代から数十年経ち、SNSやマーケットでのリアルな活動こそがブランディングを意味するようになったのです。

CSRで社会課題と向き合うときも、ブランドの「らしさ」とマッチしているかが重要で、あまり関係ない課題を扱うと、「ウォッシュ」だと揶揄されてしまう可能性もあります。

だから、ブランディングは重要なのです。

時間をかけて構築されたブランドイメージは、「このブランドは○○だ」というタグラインになるので、広告やマーケティングだけでなく、社会や社内など全方位のコミュニケーションに活用できます。


おわりに

ブランドは様々な人や要素が混ざり合って醸成されると書きましたが、歴史が無くても理念があれば、ブランドの「らしさ」は滲み出てくるものだと思っています。

強い思想を持っているスタートアップは、立ち上げ当初から存在感も勢いもありますよね。ブランディングが濃いと、PRの発信力も伸びそうな気がします。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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ではまた次回お会いしましょう。

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