見出し画像

【ミカタをつくる広報の力学】 #35 有識者をミカタにしよう

前回のエビデンスの話で「有識者の証言」について触れましたが、今回はもう少し掘り下げて「有識者の活用」について書きたいと思います。
知見だけでない協力関係についても書いていきます。


※初めての方は、「#00 イントロダクション」をお読みいただくと、コンセプトがわかりやすいかと思います。


有識者が有効なケースとは

有識者の協力でニュースバリューが向上するケースには様々なものがあります。

まずは前回ご紹介したような「データを使用するケース」

プレスリリースやファクトブックにデータやグラフを載せる場合には、当たり前の話ですが、データの元となる実験や検証が必要になります。

企業内研究所があるような大企業ならともかく、一般的な企業の場合は実験施設なんてそうそう無いと思います。そんなときに頼れるのが外部の研究機関や実験施設で、企業の代わりに実験をしてくれるのです。
もちろん有料ですが、専門の研究機関が出した実験データが得られ、出所表示ができます。

次に「アドバイザーが必要なケース」

PRでプロジェクトやイベントを立ち上げる場合も少なくないと思いますが、知見を持っている有識者にアドバイザーとして協力してもらう場合が往々にしてあります。中には、コンテストを開催する際の審査員やイベントのご意見番として参加してもらうケースも。
有識者の紹介で後援団体や参加者を募ることも少なくないですね。

最後に「箔をつけるケース」

タレント起用と同様に、有識者の名前を冠してイメージアップを図るケースです。「○○教授監修」や「○○教授推奨」というようなフレーズを見たことがあると思います。
このケースは使い方を間違えるとステルスマーケティングと叩かれてしまうこともあるのでご注意を。


有識者に頼るのは「説得力」

上記にご紹介したようなケースは、いずれも有識者の知見を頼って、事業やプロジェクトに協力してもらうケースです。
ではどのような頼り方が効果的でしょうか。

製品の開発途中、イベントの企画段階、プロジェクトの立ち上げ段階など、プロットは固まったけれど確証が得られない、と思ったタイミングが有識者の出番です

ここで言う「確証」とは、消費者やメディアに対する「説得力」と考えていただければ良いでしょう。つまり「何を担保できれば説得力があるのか」を考えて、有識者のキャスティングを行うことになります。

上記のコンテスト審査員の場合。
イラストコンテストであれば、開催企業の社員よりも美大の教授や漫画家の方が説得力があります。
発明コンテストであれば、工業大学の教授や科学雑誌の編集長等が良いかもしれません。

同様に、製品の機能性における説得力やプロジェクトの成功を感じさせる説得力は誰が付加できるのか。
この「誰」に当てはまる有識者の協力を得ることになります。

私自身は、かつて出張授業を実施した際に、教育系の教授に協力してもらった経験がありますが、その教授自身がメディアとつながっていたので大きな露出を獲得できました。

PRの場合は、メディアへの影響力も重要な要素の一つです。


有識者を巻き込むには

最後に、有識者の協力を得る際の「巻き込み方」について書きます。

協力を得る最も簡単な方法は、有識者のキャスティングをしている企業に有償で依頼することですが、PRの場合は事業開発よりも予算的にシビアな場合が多いので、素直に頼み込んでみましょう。

協力を頼むときは、現在進めている企画の内容や協力を得たい知見の内容を説明することはもちろんですが、その企画にかける思いや、協力によって企画の魅力が増すことも説明しましょう。
自分の知見を求めてくれている人には協力してくれると思いますし、熱い思いにも応えてくれると思います。

その際、有識者の過去の実績には概ね目を通しておくことをお勧めします。

実績を熟知していないと、何に知見があるのか、どこを頼れば良いのかも分かりませんし、相手との会話が弾まないと協力を得るのが難しくなりますので、共感ポイントはできるだけ多く準備しましょう。

アプローチに関して。
企業や団体に所属している有識者の場合は直接連絡するしかないと思いますが、大学や研究機関の場合は学会やシンポジウムでも出会うことができます。科学技術振興機構のJ-STAGEでは多くの学術論文を無料で閲覧することもできますので、様々な観点からアプローチしてみると良いかと思います。


おわりに

今回は前回に続き、有識者の知見と説得力について解説しました。

新聞などでは確かに有識者や研究機関のエビデンスがある記事が多く見られますので、100%ではありませんが、少しでも露出の可能性を上げられる手段かと思います。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
共感してもらえましたら、スキやフォローをいただけると励みになります。

ではまた次回お会いしましょう。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?