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名言のシェアよりも響く言葉


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一年間会話するよりも
一時間一緒に遊んだ方が
相手をよく知ることができる
(プラトン)

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一時期こういった「名言」にはまっていました。

いい言葉を見つけてはそのとおり! とふがふが興奮してメモして友人知人に教えていました。
するとあるとき知人から言われたのです。

「誰かの言葉より、しんがきさんの言葉で伝えるほうが素敵ですよ。
そのほうが伝わる」


誰かの言葉を自分の考えに同化させ、鼻の穴をふくらませて話す自分に気づいて急に恥ずかしくなりました。
不相応の高級ブランドバッグを持っているような。
トラの威を借るキツネのような。
自分なりの考えもなく浅い共感「ほんとそう!」で思考停止していた自分。恥ずかしい。それで名言をシェアするのはやめました。あのとき率直に伝えてくれた知人に感謝しています。


とはいえ「言葉フェチ」なのも名言好きなのも変わりません。
最近TVerで『問題のあるレストラン』再放送を見ては坂元さんの言葉が夢にまで出ます。

男の人って自分より頭いい女の人見つけるとすぐ「女は怖い」で片付けますもんね〜♪ 

とか。心にメモするにとどめています。あの高畑充希さんすごく好きです。


名言はわかりやすく力のある言葉です。
でもしょせん「誰かの言葉」です。誰かの一連の会話対話のなかで、ある部分が抽出されたもの。
なので、文脈や経緯とはぶっつり分断されています。編集がかかってます。
前後のやりとりや発言の背景などの繊細な情報がカットされているので、発言した人の真意とは違う意味にも「こしらえ直せ」ます。
言葉の編集をしはじめてから、前より名言の取り扱いに気をくばるようになりました。
正論ぽいのも多いから、悪意なき剣と化した名言をぶんまわすと血をみます。ブーメランにもなるよ。

名言を引き合いにだすなら「自分の考えや思い」を添えないとただのシェア(共有)。シェアそのものは否定しません。なんらかの感情を誰かと分かち合いたい気持ちは自然なものだ。
でもあなたが誰かの文章をシェアやリツイートばかりしていたら「あなたの考え」を知りたい人にとってはどう感じるでしょうか。

「いい言葉だ、それで【あなたは】どう思う?」

と、もどかしさを感じるかもしれません。

「あなたはどう思う?」と問われてパッと答えられる人は、普段から「自分を知る」ことに関心がある人でしょう。

届いた情報をまるのみせず、「私はどう思う?」と自らに眼差しをむけつづける自問自答筋がついている人。

もし何も感想も浮かばず「うーん、なんとなく?」「あんまり考えてなかった」と思ったとしても大丈夫。
自分の考えをもつには「自分を知る」時間が必要。
ならば、その時間を意識してみるだけでいいと思います。


「自分を知る」のは洞窟探検に似ています。

洞窟の前に、いま、あなたが立っています。
あなたの名前が彫られた不思議な洞窟の奥は、まっくらで何も見えません。


こわいけど、何があるか、気になる。

ここで、洞窟の手前で引き返さず思い切って奥へ進むと、昨日のあなたが知りえなかった奥に眠る水晶に出合えるかもしれません。

「あなたの考え」なる水晶は、誰かの名言と同じくらい輝きを放っているはずです。


誰かの名言や誰かのすごい記事のシェアよりも「あなたの考え」を知りたい人は、きっといます。

勇気をだして、洞窟の奥へ足を進めてみる。じゃり。砂利。ドキドキする。

なにより「あなたの考え」を聞きたい人は、あなた自身ではないでしょうか。


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