【物語】星のごちそうタマゴ #4 異星
「オヤッサマ、この度はご契約ありがとうございます。」
目を覚ますと、見たこともない姿の生物が話しかけてきた。手足はあるが、瞬きはしないし、口も動いていない。
「へぇ?あんたは何者で、ここはいったい・・・」
オヤッサンは、漫画で記憶喪失の人が言いがちな第一声を発した。
「ほんとに給料の百倍くれるらしいよ!」
どこからともなく娘がオヤッサンの視界にフレームインしてきた。目を輝かせてこちらを見ている。
「申し遅れました、私はおそらく”イセイジン”です。そして、ここは地球外にあるヤシス星と言います。ムスメサマには、お話ししましたが、私があの時の”客”です。その節はありがとうございました。」
オヤッサンは、聞きたいことはいろいろあるはずなのだが、頭の中で理解が追い付かず、口をパクパクしていた。そして、だいぶ間が開いた後「契約したつもりはないぞ!」と言った。
すると、イセイジンは「おかしいですね。私は心を読み取ったつもりなのですが…たしか、お店から家に帰る途中に”百倍もの給料がもらえるなら契約してもいいかもな。へへへ”とおっしゃっていたものですから、てっきり。」
オヤッサンは、耳を赤くしながら「それは気の迷いというものだ!」と慌てて弁解した。
「へ~おとうさんも野心があったんだ!ウケる~」と娘が茶化した。
「それではどうなさいます?あなた達を地球に戻す事もできますが、その場合一切の記憶を消させていただくことになります。まずは、お仕事の内容やここでの暮らしの事などをご案内させていただきますので、それから検討していただくということもできますよ。私としては、あなたの力が必要で、適任と感じておりますので、是非ともお受けしていただきたく思うのですが…」
オヤッサンは大きく息を吐くと、近くにある岩に腰を下ろした。
「では、一から説明してくれ」