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都市のコードを書き換える-COVID-19と都市計画 その1

 COVID-19によって、社会や都市のあれこれが変革を迫られている、という感じの議論がだんだん本格化してきました。都市計画の方法や、空間のあり方がどういうふうに変わっていくのかについて、このnoteに書き留めていきたいと思います。
 依然として医療現場を中心として、懸命な努力が続けられています。都市の全体に緊張を強いる地震などの災害と違って、COVID-19のあらわれかたは、ごく一部の大変に緊張したコアと、大部分のゆっくりとした緊張感のある外周という形であらわれるようです。たった今も奮闘しているキーワーカーさんたちに心からの敬意を払いつつ(手伝うことすら出来ないでごめんなさいと、こういう時はいつも後ろめたく思います)、それが都市をどのように変えてしまうと考えられるのかを、ゆっくりとした緊張感の中で考えていきたいと思います。できれは3日に一つくらいのペースでメモを上げることができるように。(写真は4月14日の多摩ニュータウン。人が少ないのはいつもとそれほど変わらないです)
 希望的な観測としては、こんなメモを書いていたことを「あの時は熱くなっちゃったけど、大したことなかったね」と振り返る日がくればいいと思うので、これが役に立たないメモになることを祈りつつ、とりあえず書いておこうという気持ちです。

 さて、都市の空間の変化はとても遅く、かつもともとあった空間に強く規定されます。密度を下げるんじゃ、だからタワマンを壊せ!、空間を大胆に間引け!なんてことを私も若かったら言ってしまったかもしれないのですが、複雑な権利の塊になっているタワマンを1年くらいで壊せるわけはないです。もちろん空間の変化を早回しにしよう、もとある空間をチャラにしようという立場もアリだと思いますが、そんなことを言えるほどもう若くもないので、私がこれから考えていくのは、見た目がほとんど変化することのない都市空間の「コード」を書き換えていくような作業なんだろうなあと思っています。
 そもそもCOVID-19は、物的に都市を破壊し、物的に都市をつくりなおすことを要請する災害にくらべて、はるかにコードを書き換えろ、ということを要請していると思います。建物を壊さず、作らず、そこでどうやって生き延び、暮らしと仕事を成立させ、成長を止めないか、ということです。オレたちはどこでも入り込むから、空間をつくっても無駄だよ、ということかもしれません。
 通常でも都市の空間をつくり、使う様々なコードが都市に埋め込まれています。法の形で明文化されているものもあれば、暗黙のルールのようになっているものもあります。それはもうお互いに複雑に依存しあう面倒なものになっているわけですが、それらを少しずつ取り出して整理して、再び埋め込んでいく、都市にCOVID-19に対応する優れたコードをどれくらい埋め込めるのか、ということが問われているのだと思います。
 未来は今日と地続きなので、今ある都市を使い、それを少しずつ変えていくことでしかCOVID-19の問題を解くことはできません。このnoteではそんなことを考えていきたいと思います。

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