専門性で分ける4種類のプロダクトマネージャーとそれぞれの役割を解説してみた
プロダクトマネージャー(以下、PM)と呼ばれるポジションの仕事内容は滝に渡ります。最も有名なのがプロダクトマネジメント・トライアングルですが、このスキルを1人で全て身に付けている人はほとんど存在しないでしょう。私自身、せいぜい3つのうち2つくらいだろうという自覚もあります
しかし、アメリカではプロダクトマネージャーには専門性ごとに違いがあり、呼称も区別されているのが一般的になっていています。これは日本ではあまり知られていないのですが、PMは万能選手ではなく専門性ごとに分けることでより効率よく仕事ができるようになります。
そこで今回は、プロダクトマネージャーを専門性ごとに区別し、それぞれの違いを解説してみます。通常のプロダクトマネージャーの仕事に専門性を加えるとどのようなキャリアになるのか、の参考になれば幸いです!
プロダクトマネージャーの種類
まず最初に、まとめると以下4つの種類に分けられます。
1. 技術が強い「テクニカル・プロダクトマネージャー」
プロダクトマネージャーにはエンジニアリングの理解が求められる場合も多いですが、コードを書けるプロダクトマネージャーが多いかと言うと全体の5%ほどしかいません。技術に理解があることと、コードを書けることはまた異なるスキルなのです。
そんな中でテクニカル・プロダクトマネージャーはより技術に特化したプロダクトマネージャーと理解すると理解が早いでしょう。強い技術的背景を持って通常プロダクトマネージャーだけでは対応できない技術的専門領域でのプロダクト品質維持を担います。
(事例)マネーフォワードさんの募集要項
マネーフォワードさんはテクニカル・プロダクトマネージャーを募集しており、その仕事内容はこのように書かれています。システム移行など技術的な判断を多く求められる場合など、テクニカル・プロダクトマネージャーが最も価値を発揮できることが分かります。
2. データ分析が強い「アナリティクス・プロダクトマネージャー」
アナリティクスという言葉の通り、データを元に意思決定をしてプロダクトを改善する役割を担う人のことを指します。例えば、プロダクトが成長するにつれてデータの問題は「過去○ヶ月のコンバージョンはどうだったか」など過去のファクトの分析だけでなく「来月に解約する顧客は誰か」など、未来のデータ予測まで含まれる場合が増えてきます。
このレベルでデータ分析をする場合、一般的な知識だけのプロダクトマネージャーでは対応しきれないことが多いでしょう。そこでアナリティクス・プロダクトマネージャーの出番というわけです。主にデータサイエンティストやアナリスト経験のあるプロダクトマネージャーに多い印象です。
データを元に改善する。そういう当たり前のことも、高い専門性を求められる場合はそれ専門にプロダクトマネージャーを採用する場合が多いのです
(事例)米Vodafoneの募集要項
一般的なプロダクトマネージャーの役割に加えてデータ分析もやるというかなり難易度の高い募集内容という印象です。
3. 売り方を考える「プロダクト・マーケティング・マネージャー」
こちらはマーケティングという言葉が付いていますが、マーケティングというよりはセールスとマーケティング両方の要素を持った役割です。
通常、プロダクトマネージャーはプロダクトの方向性を決める役割で、「なぜ」「何を」「いつ」作るのかを考えることがメインのお仕事です。「なぜ」「何を」「いつ」作るのか決まった内容を元に、プロダクトマーケティングマネージャーはそれを元に「何を売るか」「どう売るか」を考えることが主な仕事です。
要するにまとめると、
今のプロダクトを「誰にどう売るか」を考える
他のセールス部署などと連動し助ける
マーケティング活動をし普及させる
お客様からのフィードバックを収集しプロダクト開発につなげる
という流れになります。主にこういったマーケティング要素のある業務もユーザーヒアリングなどで通常のプロダクトマネージャーがやることが多いのですが、プロダクトが大きくなると1人で全てやりきることが難しくなり、またマーケティングの専門性も求められるので違う役割として独立したものになります。
(事例)マイクロソフトの募集要項
4. グロースハックが強い「グロース・プロダクトマネージャー」
過去5年で検索数が5倍以上になっているなどアメリカでは一般的になりつつある職種です。
グロースプロダクトマネージャーは企業の事業フェーズによって、その責任や組織内での位置づけが大きく異なります。その中でも共通点として、データ分析から改善内容の企画・実行をするというミッションを担っています。データを元にするという意味ではアナリティクス・プロダクトマネージャーと近いところもありますが、グロースハック・プロダクトマネージャーはより企画側のスキルを求められるイメージです。
特にこの仕事はPLG(Product Lead Growth)のトレンド隆盛と共に人気になってきており、オーガニックでもプロダクトが成長できるようにする。確かにグロース・プロダクトマネージャーが活きそうな領域ですね。
昔グロースハックという言葉がブームになりましたが、グロースハックのスキルを持ったプロダクトマネージャーという認識でもあながち間違いではないでしょう。
(事例)Adobeの募集要項
主に数値が大きく上向くような施策を考え実行することがメインの仕事内容になっています。
おまけ:同じ種類のプロダクトマネージャーでも階級があるのがアメリカでは一般的
最後に、プロダクトマネージャーがアメリカの有名テック企業ではそれぞれどんなキャリアパスがあるのかを添えておきます。日本だとプロダクトマネージャーは1つだけのロールの印象を持たれますが、プロダクトマネージャーも練度によって階級があるのがアメリカでは一般的です。
一般的なプロダクトマネージャーの階級
Associate Product Manager
Product Manager
Senior Product Manager
Director of Product
VP of Product
CPO
Googleのプロダクトマネージャーの階級
Senior PM
Group PM
Director of PM
Sr. Director of PM
VP of PM
Facebookのプロダクトマネージャーの階級
PM
Director of PM
VP of PM
Microsoftのプロダクトマネージャーの階級
Senior Program Manager Lead
Principal Program Manager Lead
Principal Group Program Manager
Director, Program Management
このように、同じプロダクトマネージャーという仕事でもかなり階級が会社ごとに違うのが分かります。特にMicrosoftはプロダクトマネージャーではなく「プログラム」マネージャーである点など呼称も異なります。
アメリカでも統一された定義が認知されているわけではないので、就職したい企業の募集要項をよく確認することをおすすめします。
おわりに
スタートアップなど小さい組織では1人のプロダクトマネージャーがいることでうまくプロダクト開発が機能することも多いですが、組織が大規模になるにつれ1人だけが全ての役割を担うのは実質不可能になります。そうなった時、自社に必要な専門性を持ったプロダクトマネージャーを採用できると事業成長が加速していくでしょう。
また、プロダクトマネージャーの人であれば、全てを1人でやるのではなく、自分の強みから逆算してどういう理想のプロダクトマネージャーになっていくのか、を考えると楽しいキャリアプランを描けるのではないでしょうか。
実はプロダクトマネージャーの専門性はもっと細分化して書けるのですが、きりがないのでいったん今回はこの辺で。ご意見などあればTwitterでツイート、フォローなどしていただけると嬉しいです!
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