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インフレ徴税から逃れる場所はない~「マネーを生みだす怪物」を広めたい理由 0章

こんにちは、癌と金の真説を紹介しているシン・説です。
日本人の0.01%も気付いていませんが、これから予定される増税メガネによる大増税、来年7月の改札、いわゆる新しい紙幣の流通を前に日本人が絶対に知っておかなければならないことを明らかにします。
それは「インフレは政治家と銀行家による徴税システムで、最終的には納税者に付け回される無限の財源である」です。

G・エドワード・グリフィン氏が書いた「ザ・クリーチャー・フロム・ジキル・アイランド(当欄では2010年第5刷を使います)」という本は、壮大な犯人捜しの犯罪小説とも言えます。怪物はタイトルの通り、ジキル島で生まれたクリーチャー、つまり怪物に例えられたアメリカの連邦準備制度を代表とする中央銀行です。しかし、怪物が主犯ではありません。主犯は怪物をつくったものたちです。
捜し出したいのは、隠れている主犯たちであり、共犯者たちであり、巧妙極まりない手口です。
手口について簡単に言いますと、金属に換えることができない不換紙幣を濫発し、借金をマネー化して、お金の価値を低めていきます。
本来、労働やサービスなどの対価は真の価値を持たなければなりません
お金の価値を低めるとは、対価を貴金属の裏付けのない紙幣に強制的に交換されることです。また、お金の価値を低めるとは、こうも言えます。私たちの購買力を中央政府が奪うということです。
 
この世紀の大発見をしたのは、アメリカの作家G・エドワード・グリフィンによる、原書は初刷が1994年の「ザ・クリーチャー・フロム・ジキル・アイランド(ジキル島で生まれた怪物)」、和訳本は「マネーを生みだす怪物」(2005年第1刷草思社、吉田利子訳)です。
翻訳本は、蔵書としている図書館は少なくありませんが、古本市場では高額で購入しなければなりません。洋書も時間をかけて取り寄せる必要があります。
ですからおせっかいにも、原書にある26章ごとの要約を中心に紹介しようと考えました。
600ページを超す大書です。
ほかにも、関連する和訳本「アイアンマウンテン報告」や米連邦準備制度の中心人物が本音を漏らした専門誌への寄稿文なども紹介していきます。
 
本書序文に連邦準備制度を廃止すべき理由を7つ挙げています。
・同制度は言明していた目的を達成することができない
・同制度は公共の利益に反するカルテルである
・同制度は高利貸しの最高の道具である
・同制度は私たちの最も不当な税金を生み出す
・同制度は戦争を助長する
・同制度は経済を不安定にする
・同制度は全体主義の道具である

110年前に法制化された連邦準備制度の米ドルによって、七つの理由が全世界で推進されてきましたが、不換紙幣を発行する中央銀行を持つ国にも当てはまります。中央銀行が国立であろうと民間であろうと関係ありません。独占的通貨発行権をてこ(創出紙幣は何度でも担保にして何倍もの借金マネーを生み出す銀行の仕組みがあります)にして、借金マネーを増発し続ける行為そのものが、七つの理由を生み出すのです。
戦争を助長し、経済を不安定にするのは歴史が証明しています。付け加えれば戦費に困りませんから、他国への紛争介入の誘惑も抑えきれなくなります。
連邦準備制度ができた翌年1914年に第一次世界大戦が勃発、1917年ロシア革命、1929年米国大恐慌からの世界大恐慌、1939年第二次世界大戦勃発、そして、1944年ブレトンウッズ会議で決まった世界の中央銀行たる国際通貨基金(IMF)と、その融資部門たる世界銀行を頂点とする世界中央銀行システムは、世界社会主義を強力に推進しています。
 
そして繰り返しますが、G・エドワード・グリフィンが極めて簡潔なことばで教えてくれました。何度も書きます。
インフレは政治家と銀行家による徴税システムで、最終的には納税者に付け回される無限の財源である
何のことだかわからない人も本書を読み進めれば、財政出動云々以前の金融自由化政策で徴税のお膳立てが整うことを納得できるでしょう。私たちがすでに不換紙幣の奴隷であることを知り慄然とするかもしれません。
 
昨年まで「30年デフレ下にある日本」とよく言いましたが、日本人の平均年収で金がどれだけ買えるかを調べると、日本円の時価がずっと下がっていることがはっきり出てきます。

黄棒線が年収で買えた金の量(グラム)、緑折れ線が平均年収(千円)、青折れ線が年次金価格平均(1グラムあたり円) 公開データをもとにシン・説が作成


まったく上下に動いていない緑色の折れ線が国税庁の平均年収の推移、急騰しているように見える青色の折れ線が田中貴金属の年次平均金価格の推移、2006年ごろから著しく減っているのが、私が手計算した年収で買える金の量です。
ご覧の通り、これはデフレの時代と単純に片付けられません。
日本円はずっと通貨が購買力を失うインフレを起こし続けています。
一番右端の黄棒線はとても低い棒線ですが、それでも2021年です。今年2023年は1グラムあたり1万円を突破しています。このまま推移すれば、とんでもないグラフになるでしょう。
いや、それでも「金が高騰したのだ」と言えますか? 有事の金だから? 一時は有事の円とも言われましたが、今はウクライナ有事でも特に対米ドルで円安ですね。海底火山から金が噴出したのであれば、金価格は急落します。もちろんそんなことはなく、逆に産出された金が減ってもいません。金の方には特段の事情はないのです。格段の事情があったのは、通貨の方です。
注目すべきは、1990年代から加速し続けている金融自由化によって貴金属と交換できない日本円の供給量が増えたという事情です。これは単純に紙幣のことだけを言いません。さまざまな債務がマネー化されていったことが重要なのです。
 
もちろん日本円でなく、本書の主題は、基軸通貨たる米ドルの価値が著しく低下したことです。
連邦準備制度が始まった1913年から77年たった1990年には平均年収が32倍になった一方で、その年収で買える金の量は7割増えた(※金なら年に1%しかインフレしていないことも示しています)に過ぎません。米ドルの凄まじいインフレぶりがわかります。
本書には「第一次世界大戦のコストの70%は税ではなくてインフレでまかなわれたが、この操作をしたのがFRSだった」という記述もあります。

借金マネーがあふれれば、タンス預金のお金も、将来もらう年金も現在・過去・未来すべてのお金の価値が徐々に奪われていきます。毎日、毎月、毎年のことですから、特に古い貯金は吸い尽くされてしまいます。ハイパーインフレに見舞われた国では、分あるいは秒単位で価値がなくなっていきます。貯金税、資産税、人頭税そんなもの(一般的にはひどい税金の代表ですが)とは比べ物にならない略奪が可能な徴税システムがインフレなのです。
不換紙幣を発行する中央銀行を何度も設立しようとするグローバル勢力と必死に抵抗したアメリカ市民と一部の建国の父や議員との戦いを通して、インフレがなぜ徴税なのかという疑問が少しずつ解消することと思います。
是非お付き合いください。次回は1章要約です。

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