見出し画像

ブレイク候補・藤谷洸介

ホームランバッターの少なさ、そもそもの若手打者の少なさが目立つ阪神の二軍において、高卒ルーキーの井上に負けじと奮闘している藤谷を今回はピックアップします。

1.プロフィール

出身地:山口県周南市
生年月日:1996年2月12日(24歳)
身長・体重:194cm87kg
投打:右投右打
守備位置:三塁、一塁
経歴:周防大島高→パナソニック→阪神(2016年ドラフト8位)

藤谷は2016年のドラフト8位で阪神に入団しました。ドラフト同期には大山、糸原らがおり、世代としては馬場や高橋遥らと同じになります。元々は投手を務め、140キロ台前半〜中盤のストレートとスローカーブなどの変化球を武器としていましたが、二軍では1年半が経っても勝利を挙げられず、防御率も5点台にとどまっていました。そんな藤谷を見た当時二軍監督の矢野燿大が藤谷の体格と身体能力の高さを見て野手転向を勧め、2018年8月末から野手登録となりました。
2020年現在、藤谷はNPBの日本人野手では最高身長であり、その体格を活かしたダイナミックなプレーや高々と描かれる放物線が魅力の選手です。背番号125の育成選手であり、ここまで一軍出場経験はありません。

2.野手・藤谷の軌跡

2018年
10試合 (6―1).167 0本1打点 出塁率.143 長打率.333 OPS.476 三振率.667 失策1

野手転向が8月末とあって二軍の残り試合数そのものが少なく、公式戦では7打席のみに終わりました。練習試合では積極的に起用され、野手転向後すぐに本塁打を記録するなどパワーを見せつけました。

2019年
65試合 (156―29).186 5本20打点 出塁率.287 長打率.340 OPS.627 三振率.436 失策8

野手転向2年目の2019年は特にシーズン終盤にかけて「9番サード」でのスタメン起用が増え、本塁打も5本記録するなど持ち前のパワーを発揮しましたが、一方でほぼ2打席に1回近いペースで三振を記録したり、守備でも8失策を喫するなど攻守に粗さが目立つ1年となりました。
オフのフェニックスリーグでは4番を務めるなど高い期待を受けていました。

2020年(8/19現在)
19試合 (53―16).302 3本6打点 出塁率.351 長打率.509 OPS.860 三振率.338 失策1

野手転向3年目の今季は開幕こそケガで出遅れたものの、復帰すると数少ない出場機会で結果を残し、8月からはほぼスタメンで起用されています。ここまで打率は2割台後半〜3割をキープし、本塁打も約20打席に1本ペースとペースアップしています。三振率は依然として3割と高くはなっていますが、昨年は4割を軽く超えていたことを考えると良化といえるでしょう。
今までは振り回すような打撃が目立っていましたが、今季はインサイドを上手く捌いたり、際どい球を見送ったり、ボール球に手を出してもついていけることが増えたりと打席内容にも成長が見られます。
また、サードの守備面でも安定感が増しています。

3.今後の可能性と課題

藤谷は現在育成選手であるため、一軍の試合に出場することはできません。それもあってか二軍での序列も低く、スタメン出場は勝ち取っているものの打順は8番もしくは9番の下位を打つことがほとんどです。そのため、現在の好成績を継続して支配下復帰をすることが出発点となります。
現在、阪神は68人の支配下選手を保有しており、育成選手は藤谷含め6人となっています。今シーズンは既に外国人選手が8人いることや社会情勢を鑑みると外国人の途中補強という可能性はかなり薄く、支配下枠を空け続ける意味はあまりないと言えます。よって今後誰か支配下登録する可能性は高いと考えられますが、ここまでの二軍成績を見るとかつてのドラ1横山か育成3年目の左腕リリーフ石井、そして藤谷の3人から選ばれることになるでしょう。いずれの選手もチームにとっては手薄な左腕、右のパワーヒッターを埋められる存在であり、支配下登録する価値はあるため、二軍成績は大きな判断材料となりそうです。今季は支配下登録期限が9月30日まで延長されているため、今後もこれを巡った争いは続いていくでしょう。
そして藤谷がこの争いを勝ち抜くためには今後も今以上の成績を残すことが必要だと言えます。そのためにはよりコンタクト率を高めることが必要となります。上に貼った動画を見てもわかる通り、タイミングの取り方は年々良化してきています。現在はストライクゾーン近辺で動くような小さな変化を仕留めきれない、空振りをしてしまうというレベルにまで到達してきているため、この対処までできるようになるといよいよ一軍が見えてくるように思います。

4.おわりに

藤谷は阪神では特に貴重な若い右のパワーヒッターであり、チームでは他に大山、マルテ、陽川しかいないくらい数少ない本職のサードです。また、野手転向後順調に成績を伸ばしてきており、非常に楽しみな存在です。そしてドラフト8位入団から野手転向という異色の経歴、体格の良さと身体能力の高さは見る者全てをワクワクさせてくれます。そんなロマン溢れるプレイヤーである藤谷に今後も注目したいと思います。

最後まで見てくださった皆さん、ありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?