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写真展「どこまでも」 16年続けた中での小さな気づき②

今年は残念ながら中止の写真展。
本来なら今日が写真展の最終日だったので、今回も写真について書いてみようと思う。

「どこまでも12」(2015年)

12年目、12回目の展示。この年は、長崎にある池島という島の写真を展示した。
池島」は、「九州最後の炭鉱」と呼ばれる島で、炭鉱が閉山したのが2001年。
軍艦島が1974年に廃坑しているので、その後かなり最近まで稼働していた炭鉱の島で、わずかながらまだ人が住んでいる。
ただ、かつて7000人以上が暮らしていた団地群はほぼ無人になっていて、草木が建物を飲みこんで、リアルタイムで損壊が進んでいる場所になっている。
島には1日に6便しかないフェリーで行けるのだけど、フェリー乗り場まで町からはバスで2時間半かかる。
調べたら朝5時のバスに乗って、少しでも遅れたらフェリーに乗れないギリギリのスケジュール。
しかも行く日は朝から大雨でバスが遅れる可能性があり、さらにフェリーも出るかどうか分からないという悪条件。
問い合わせてもどうなるかわからないとのことで、とりあえず行くだけ行ってみた。
バスは雨のために遅れてしまい、フェリー乗り場に着いたときにはもうフェリーが出航する時間を過ぎていて、出航が遅れてくれたおかげで、何とか滑り込みで乗り込むことができた。乗れなかったら半日以上そこで無駄に時間をつぶすハメになるところだ。
そして島に着いた瞬間、その何とも言えない光景に圧倒された。
人生で行ったあらゆる場所の中で、こんなにテンションが上がったのは始めてだった。
映画の中の世界にいるような感じ。まるで「サイレントヒル」のような世界だった。
朝からの大雨があがって、島中に霧が立ちこめて、そのおかげでなんとも言えない幻想的な風景が作り出されていたのだ。
行く手を阻んだ、大雨に感謝。
歩けば、はじからはじまで2時間かからないような小さな島だったけど、まる1日、夢中で写真を撮りまくった。
写真を撮るのがこんなに楽しいと思ったのは初めてだった。
どこを歩いても、どこも写真に収めたくなるような、初めての体験だった。

さて、写真を撮るには撮ったけど、この写真をどう展示するか。
いつもうまくいってる気がしないのが写真選びだ。
どうにも自分の写真がうまく選べない。そこに苦手意識があった。
今回はどうにかしたいと思った。
仕事で人の写真を選ぶのはすんなりできるのに、なぜ自分の写真は選べないのか。
ちょっとやり方を変えてみることにした。

展示することを主体に考えるんじゃなくて、もっと仕事に近づけるやり方で考えてみることにした。

そこでまず「写真集」を作ることにした。
印刷するかは分からないけど、本を作るように写真を選んでみようと考えた。
仮のページを作ってそこに写真をはめ込んでみた。
展示する空間でイメージするのではなく、平面的なページの流れに沿って写真の流れを組み立てた。
すると意外なほどすんなり写真の連なりがイメージできて、写真がセレクトできた。仕事で培ってきたことが少しは役になったというか、なぜこのやり方に気がつかなかったのか…。

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写真集(計32ページ=表紙・裏表紙込み)
※noteアップ用に見開き2枚ページを調整しました。

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写真集は、せっかく作ったので、印刷して来てくれた人に配った。

実際の展示は写真集に入れた写真の他に何枚か写真をプリントしていって、当日に貼りながら改めてセレクトした。

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「どこまでも13」(2016年)

この次の13回目も前の年と同じく、写真のセレクトは写真集を作るところから始めた。
この年から大きく変わったのは、毎日写真に向きあう習慣を作ったことだ。
写真展の前になっていきなりバタバタと準備を始めるのではなく、日常的に毎日写真を1枚選ぶことにした。
理由は単純で、前よりも更に忙しくなったからだ。
あまりに忙しくて、まとまった時間を作って写真を撮りに行く時間が確保できないし、写真展の前に準備を始めても、バタバタするだけで満足のいく展示はできないだろうと思った。
だったら時間を分散してやっていくしかない。
1日10〜15分でいいから、毎日写真のことを考える時間を作ることにした。
そのために不定期でたまに更新していたブログを毎日更新することにした。

「よし、やるぞ!!」と思ったその日に突然始めた。
2016年1月18日だ。

写真自体は前日映画館で撮った何てことはない1枚だ。
ここから毎日、写真を1枚必ずアップし続けている。
現在まで4年半以上続いている。

アップする写真の質は関係ない。とにかく毎日続けることが重要だと思っている。
ただ、写真をアップするといっても何もテーマがないとつらいので、見た映画の感想を書いて、その映画のイメージから連想されるような色だったり、イメージだったり、自分にしか分からないような結びつけをして写真を選んでいる。

こうして日常の風景を撮って、毎日写真に向きあうようになって、少し自分の写真の雰囲気が変わってきたなと思ったのが、13回目の展示だ。

DM2016年 どこまでも13

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写真集(計32ページ=表紙・裏表紙込み)
※noteアップ用に見開き2枚ページを調整しました。

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「どこまでも14」(2017年)

この年は、もうすぐ完成しちゃいそうなサグラダ・ファミリアを完成前に見たいというのと、ヨーロッパのオタクイベント「バルセロナ・サロン・デル・マンガ」を体験したくて、バルセロナに行ったときの写真を展示した。

帰ってきてから毎日1枚ずつ選んでブログにアップした。短い時間だけど、毎日しっかり写真を見る習慣を作ったことで、写真をセレクトするのがかなり楽になった。ほんと積み重ねって重要だと思う。

そのことであれもこれもというような写真のセレクトの雑多さが減った気がする。
感覚的なことでしかないのだけど、セレクトに雑味がなくなったように思う。
サグラダ・ファミリアもオタクイベントの写真も結局1枚も選んでいない。

DM2017年 どこまでも14

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写真集(計32ページ=表紙・裏表紙込み)
※noteアップ用に見開き2枚ページを調整しました。

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ちなみに、展示用には一枚も選ばなかった「バルセロナ・サロン・デル・マンガ」はこんな感じでした。

「どこまでも15」(2018年)

15回目は、日常で撮りためた写真を展示した。
この年から変わったのは、スマホで撮った写真も使うようになったことだ。

もともと写真展を始めるときにカメラを持ってなっかたので、当初はケータイのカメラで撮った写真を展示しようと思っていた。ただ、当時はあまりにも画素数が低くてA4サイズにも引き延ばせなくて断念した。
それから15年、スマホで撮った写真がA1サイズ(594×841mm)で展示できる時代が来たという驚き。

もともと「どこまでも」=DOCO MADE MO というタイトルは、並べ替えて「DOCOMO MADE=ドコモ・メイド」つまり「ドコモの(ケータイ)で撮った写真」という意味も込めていたので、ようやくそれが実現できたという個人的な達成感があった。DMで使った波の写真もスマホで撮った写真だ。

DM2018年 どこまでも15

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写真集(計32ページ=表紙・裏表紙込み)

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「どこまでも16」(2019年)

16回目、去年の展示。前の年からスマホの写真を使うようになって、ついでに普段使うメインのカメラも超小さいRX0というのに変えた。とにかく小さい。酔っぱらってメインで使っていたRX1というカメラをなくしたからというのもあるけど、カメラを変えると新鮮な気持ちになるし、撮るものも少し変わってくる。この年は、少し物語性のある流れを作ってみようと思って、ある物語をベースに写真をセレクトした。恐らく自分にしかわからないと思うのだけど…。

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さて、これで写真展の振り返りは終了。

17回目の展示は来年に持ち越しです。
毎年恒例の行事がなくなって、なんだか心にぽっかり穴が空いた感じ。

来年は、にぎやかに飲みながら、楽しい写真展ができますように。
本当に心から祈ってます。

写真展「どこまでも」振り返り①

「どこまでも17」開催中止について


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