見出し画像

劇場未公開『ホテル・エルロワイヤル』は観ておかないと勿体ない!

ホテルエルロワイヤルポスター画像

製作国:アメリカ 製作年:2018年 監督:ドリュー・ゴダード

概要:1969年、カルフォルニアとネバダの州境に建つホテル「エルロワイヤル」に集う七人の男女。彼らには、それぞれ人には明かせない裏の顔があった。そして、このホテルにも秘密が隠されており、それぞれの事情によって、彼らの人生は想像だにできない方向へ向かっていく。

怪しげなホテルと登場人物達、そして怪しげな半裸のクリス・ヘムズワース…本作のビジュア、ルポスターをSNSで見かけた時から、ずっと気になっていた作品。
「いつ公開されるんだろう…?」なんて考えてたら、気づいたらDVDが発売されてたから驚いた。これだけの豪華キャストで劇場公開スルーだと思うことは一つ。
内容がよほど酷いのか…?
という訳で、確かめる為にも早速観てみた。

結論から先に言うと、本作は面白かった。
一般受けする内容ではないが、142分という長尺が気にならないくらいテンポも良く、展開も先が読めずに凝っている。後述するが、それぞれに共通するテーマで成り立っている部分も良かった。
DVDスルーで埋もれてしまうには惜しいと、筆者は思うので、ここで観ておくべき理由を挙げておきたい。

エルロワイヤルホテル②

【観ておくべき理由① 劇場未公開が信じられないくらいの豪華キャスト】

何度も言うが、本作は、劇場未公開なのが信じられないくらいにキャストが豪華。

まず、本作で神父役を演じるジェフ・ブリッジス、映画を色々見ていれば、この顔を見かけた事はあるだろう。
コーエン兄弟の『ビッグリボウスキ』(1998年)、『トゥルー・グリッド』(2010年)に出演、メジャー作品では『アイアンマン』(2008年)などにも出演している。アニメの吹き替えなども行うなど、今もコンスタントに活躍する実力派俳優だ。

ジェフ・ブリッジス①

そして訳ありのヒッピー風の美女を演じるのは、ダコタ・ジョンソン
ダコタ・ジョンソンといえば、世界的ブームにもなった官能映画『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』(2015年)を思い浮かべる方は多いだろう。
今年にはあの名作ホラーの大胆リメイク『サスペリア』(2019年)の主演を演じたりと、今、乗りに乗っている若手女優だ。

ダコタジョンソン①

そして、謎の男を演じるクリス・ヘムズワース
クリス・ヘムズワースといえば最早、説明不要といっても過言ではないだろう。
マーベルのマイティ・ソーことソー役で世界中の人に知られてる若手俳優。今年は『メンインブラック』の主演を務めるなど、今年は特に活躍が目立つ。
また、クリス・ヘムズワースといえば、端正な顔だけでなく、その筋肉美でも世界中の女性を魅了しているが、本作でもその筋肉は惜しげもなく活かされてるとだけ言っておこう。

クリスヘムズワース①

その外にも歌手を目指し、劇中で素晴らしい歌声も披露するシンシア・エリボや、『ベイビードライバー』にも出演しているジョン・ハムなどが脇を固める。オマケにある人物がチョイ役で、出ているのだが個人的にはかなり驚いた。それが誰かは、その目で確かめてほしい。

グサヴィエドラン

これだけ豪華なキャストの競演を観るだけでも、本作は観る価値が充分にあるとい言えるだろう。

【観ておくべき理由② 監督はあの衝撃ホラー『キャビン』のドリュー・ゴダード】

本作に注目するべき理由の一つが、監督がドリュー・ゴダードであるという事。
名前だけ聞いてピンとこない人も(実は、筆者もそう)『キャビン』と聞けば、ピンとくるのではないだろうか。
ここで、簡単に説明しておくと『キャビン』は2012年に製作されたホラー。
この作品もネタバレ厳禁になってしまうが、観ればあっと驚く仕掛けが、全編に施された異色ホラーで公開当時、かなり話題になったのを筆者も覚えている。

キャビン①

それだけでなく、実はこのドリュー・ゴダード、他にもリドリー・スコット監督の『オデッセイ』(2015年)では脚本を手掛けているなど、物語をつくることには定評のある方。
なぜ、これだけの豪華キャストが集まったかというのも、監督の経歴を知れば納得である。
そして、『キャビン』のあの奇抜かつ意表を突く物語を体験してるからこそ、本作も、きっとただのサスペンスでないことは、観る前から容易に想像できるのだ。

エルロワイヤルホテル③

【観ておくべき理由③ タランティーノ風演出と当時のアメリカの社会背景】


筆者が観て思ったことは、本作はタランティーノ作品を意識した演出で作られているという事だ。
時系列のいじり方や、登場人物毎のパートが絡み合っていくさま、特にあらすじや展開は『ヘイトフルエイト』(2015年)を連想させる。

ヘイトフルエイト①

また当時の社会背景を作品に取り入れてるところも、タランティーノ作品に通じると言えるだろう。
ちなみにドリュー・ゴダード監督は、ここにも面白い仕掛けをしている。
劇中には、いくつも印象的なワードが出てくる。ベトナム、人種差別、諜報活動、カルト宗教…これらの言葉は、登場人物の人生に深く関わってくる事柄を表す。
物語の舞台は1969年。実は、これらのワードは当時のアメリカの社会情勢を表している。
そして、本作の舞台となっているホテル「エルロワイヤル」。
このホテルも実はモデルが存在する。それが「Cal Neva Lodge & Casino」
実はこのホテルのオーナーはフランク・シナトラ、そして親交の深かったロバート・F・ケネディがこのホテルをよく利用していたという曰く付きのホテル。
劇中、とあるアイテムが出てくるが、それの中身が何なのかは最後まで明かされない。しかし、上記の事を思うと、もしかしたら、それは…と思いを巡らすこともできる
本作は、ただの群像劇だけではなく、背景の時代を知る事で、より深く楽しめる仕掛けの施された作品なのだ。

読んでいただきありがとうございます。 参考になりましたら、「良いね」して頂けると励みになります。