ポピュラー和声学「転回形の使い方」
和音の印象を変える転回形と使い方のコツをご紹介します。
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第1転回形とは?
和音の性格を表す3rdがバスにある配置を第1転回形と言います。
バスと根音の間に6度音程が含まれるので、完全5度な基本形とは違った柔らかな感じの響きになります。
男声合唱だとバスの3度がくぐもりやすく(ローインターバルリミットも近くなるので)、和音の色を出す難易度が上がる傾向にあります。
第1転回形の使い方のコツ
大きく分けて2つの使い方があります。
1つは同一の和音が連続する場合のバリエーションを確保するためです。
同じ和音をしばらく続けてメロディを動かしたいときなどに使えます。
もう1つは異なる和音同士の連結をなめらかにするためです。
転回形でなめらかな進行をバスに持たせようとすると、スケールの隣の音しか使用できませんが、転回系を用いることでもっと柔軟に和音をつないでいくことができます。
第2転回形とは?
機能や性格が最も曖昧な5thがバスにある配置を第1転回形と言います。第2転回形のGが「ナチュラル11th」にも感じるので、古典的な機能和声では3種類の用法に使用が限定されます。
経過和音的用法
Ⅰ度の基本形と第1転回形をつなぐために使用します。
第1転回形で滑らかに接続するときと似ていますね。
倚和音的用法
ドミナントを強調するためにⅤ度の前に置きます。
これは第2転回形の独特な用法かと思います。構成音のドとミがあたかも次のGの構成音のシとレの倚音かのように響きます。
刺繍和音的用法
保続音(ペダルポイント)的に、内声のみが動く際に使用します。
これもカデンツなんかに多いですね。
まとめ
転回形によって成分(構成音)が違っても違う印象に聞こえるのが和音の面白いところです。
第2転回は特に多義的な要素が強いので、違和感を感じたらこういう理論に立ち戻ってみると何かヒントがあるかもしれません。
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