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ピストン和声 12ピストン「和声リズム」

ピストン和声500ページ超をド頭からコツコツやってみようのシリーズです。
アメリカの音楽教育で最も広く使用されており、音楽理論の理由や背景についても記載された大変読みやすい理論書です。

今日は「和声リズム」についてです。

旋律リズムと和声リズム

リズムは、旋律リズム和声リズムの2つを内包しています。

旋律リズムはいわゆる我々がリズムを論じる時のリズムで、以下の譜面でいうと、最高部での付点4分音符→8分音符×3の動きや、ベースラインでの8分音符が連続しているような動きを指します。
以下の譜面では4声部のリズムの組み合わせになっていると言えます。

一方、和声リズムは和声の変化によるリズムで、以下の譜面でいうと、2部音符→4部音符→2部音符→8分音符→8分音符という感じで進行しています。

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このように、旋律リズムと和声リズムは多くの場合一致しておらず、和声リズムのパターンは時間的にあまり規則的できでないことも多くあります。

和声リズムが規則的な感覚で起こるのは、18世紀と19世紀の音楽の特徴と言えます。

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根音変化の頻度

和声をほとんど、あるいはまったく変えずにフレーズを構成することも可能です。和声変化の感覚が広いと、おおらかで寛いだ印象を与えます。

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これとは正反対に、小節のすべての部分拍で和声が変化することもできます。テンポが速い時には落ち着きのない印象を与えますが、穏やかなテンポであれば豊かな和声変化を印象付けさせることができます。

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たいていのフレーズはもっとバランスの取れた和声リズムで書かれています。

和声進行の強さ

音楽的な状況に応じて変動しますが、和声進行の相対的な強さについて、以下のような傾向があります。

4度または5度の根音進行は3度や6度の進行よりも強い
根音位置の和音は転回形の和音よりも強い
アゴーギクアクセントが強い和音はそれが弱いアクセントよりも強い
強拍に位置する和音は弱拍にある和音よりも強い

非和声和音

縦の音の結合が和音なのか、たまたま和音を形成したのかという解釈は難しいところがあります。この問題はリズムや拍節的な位置を根拠に検討されます。

次の例では、音楽が速いので、見た目の根音変化よりももっと幅広い見方が正しいと考えられます。
例えば、1小節目の4拍目もⅤ(1st)と考えたくなりますが、このドミナントは弱拍におかれ、4小節単位で音楽の切れ目があることから、上声部はトニックに対する複隣音、ベースラインもトニックの構成音であると解釈できます。

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このように、非和声音が同時に動いた時に生じるような3和音的な響き、非和声和音というものが存在します。

次回

次回は「フレーズの和声構造」に関するお話です。


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