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ピストン和声 10ピストン「4−6の和音」

ピストン和声500ページ超をド頭からコツコツやってみようのシリーズです。
アメリカの音楽教育で最も広く使用されており、音楽理論の理由や背景についても記載された大変読みやすい理論書です。

今日は「4−6の和音」についてです。

4−6の和音とは?

3和音において第5音が最低音になるとき、その3和音は第2転回形となり、バスと上声部との音程が6度と4度になるので、4−6の和音と呼ばれます。

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4度音程が最底部にあり不安定な和音であるとされています。
男声合唱では6の和音が響きが潜りがちなので、代わりに4−6の和音が割と使用されている気がします。

終始の4−6の和音(倚音的)

最も良く使われるパターンは、カデンツにおいて属和音に先行する主和音の4ー6です。これは終始の4−6の和音と呼ばれます。

これは主和音でありながら、バス上の6度と4度が後続の5度と3度の倚音を形成し属和音のような終始感を持つので、トニックとドミナントの両方の性質を持っていると考えられます。
倚音を形成しているためリズム的には強ー弱の関係になります。

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終始の4−6和音のバスは根音位置属和音の根音となるので反復されます。

補助的な4−6和音(隣音的)

3和音の根音が保留され、第3音と第5音が隣音的に2度上行してまたもとに戻ると、補助的な4−6和音が形成されます。これは終始の4−6和音のように倚音的に強調されるものではないので、リズム的には弱くなります。良くある例は、下属音の4−6です。

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経過的な4−6の和音(経過音的)

バスが経過音的に動き、6度音は隣音として進行すると、経過的な4−6和音を形成します。経過音的であるので、リズム的には弱いものになります。

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その他の非和声音4−6の和音

先取音と逸音的な動きの4−6の和音は以下のような形をしています。

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分散型の4−6の和音

バスが分散和音として旋律的に動く過程で、第5音に触れることもあります。この時の第5音は和声的というよりは単に分散和音の1音に過ぎないと考える方が正しいかと思います。

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このような例の1つとして、アルベルティ・バスのような伴奏書法が挙げられます。3和音の構成音を単音で根音ー第5音ー第3音ー第5音のように繰り返して伴奏にします。

次回

次回は「終止定型」に関するお話です。




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