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ピストン和声 24ピストン「9、11、13の和音」

ピストン和声500ページ超をド頭からコツコツやってみようのシリーズです。
アメリカの音楽教育で最も広く使用されており、音楽理論の理由や背景についても記載された大変読みやすい理論書です。

今日は「9、11、13の和音」についてです。

完全形の属9和音

以下のような完全形の属9和音は、不完全形に比べると使われる機会が少なく、通常第5音を省略することが多いです。

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18世紀、19世紀に完全形が使われる例は以下の3パターンあります。

① 和音自体が解決する前に第9音が解決
第9音が非和声音として扱われ、和声の色彩を鮮明にします。

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② 不協和な構成音を分散によって解決
不協和音の解消とも呼ばれたりします。第9音を倍音的にみなします。

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③ 次の和音へ解決する正規の構成音として使用

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属9和音の配置

属9和音として聞かせるために、第9音が根音より9度上に置く、導音が9音より下にあるといった配置を気をつける必要があります。

1つ目の配置は一般的にトーン・クラスターと呼ばれるもので、あまり9の和音としては認識されません。2つ目は第9音が低く、導音が上に配置されているので避けるべきです。3つ目は第9音は高くなりましたが、導音の下に配置されています。4つ目は配置は問題ありませんが導音がないのでドミナントとして機能しづらくなります。一般的な配置は最後のパターンです。

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転回形でもこの配置に注意が必要です。
第4転回形は第9音を根音の下に配置する必要があるので使われません。

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11の和音と13の和音

11、13のような高いテンションコードは、低い構成音が多く存在し、高い構成音が最上声で目立って聞こえているときに、11、13の和音として認識できます。
15度になると2オクターブになるので3度を積み重ねて和音を作る限界は13までです。

通常は、すべての構成音で使用されるというよりは、右のように省略されて使用されるのが一般的です。
低い構成音が多く存在し、高い構成音が最上声に居るので和音の色合いが残っていることが分かるかと思います。

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属11の和音はたいてい、保続された属音上になるサブドミナントの形で現れます。Popsとかでよく見るドミナントとサブドミナントをあわせたような性格の和音ですね。

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属13の和音が明瞭に示されているのは以下のような例です。
13度音度は解消されて長9音度へ分散下行し、上行して解決します。

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次回

次回は「半音階的な変位和音」に関するお話です。

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