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おっさん4人でディズニーシー

これは2018年7月の話。

おっさん4人でディズニーシーに行った。

炎天下、朝から晩まで園内をぐるぐる歩き回り、ついにはディズニーシーを一日で完全制覇!

今日はそんなおっさんたちの、ある真夏の一日をお聞かせしよう。

主な登場人物


おっさん1号:40歳ほど・企画発案者・スタミナ無尽蔵・ディズニー大好き
おっさん2号:30代半ば・ディズニー年間パスポート所有者
おっさん3号:40代半ば・自称初ディズニーシー
おっさん4号(私):28歳・初ディズニーシー


朝早っ!!


ディズニーシーへ向かうおっさんの朝は早い。

おっさん1号が決めた集合時間は舞浜運動公園に7:30。

早い。なぜそんなに、と思うくらい早い。

アトピーが辛くて、長いことひきこもり生活をしているおっさん4号は、この集合時間の早さに納得がいかなかった。

でも世の中ってそういうものらしい。

ディズニーに行く、イコール朝が早い。これはもう常識らしい。

そういえば妹が、「明日ディズニーに行く♪」と言って、早朝にでかけていったことがあった。

おっさん4号はもう20年以上もディズニーに行っていなかったから、そんなことも忘れていた。あぁかわいそうなおっさん4号。

当日おっさん4号は夜も明けきらぬうちに動き出した。ディズニーに行く日の常識を決行する日が来たのだ。午前5時20分にセットしたアラームが、今日のスタートを知らせる合図だ。待っていろよ、ミッキー、ミニー!!

たかまる鼓動、ワクワクで胸がいっぱい!みたいに書いてしまったけど、実際は楽しみ5割、めんどくささ3割、不安2割、と言った感じだった。

不安?なんで不安なんか感じるの?と思われただろう。

今日のディズニーシーがおっさん4号を不安にさせる理由は2つ。

まず事前におっさん1号から与えられた情報が、集合日時と場所だけだったということ。

つまり、おっさん1号以外に、どんな人が何人くるのか、まったく知らされていなかったのだ(まぁこっちから聞かなかっただけなんだけど)。

おっさん4号は、普段の買い物以外に外出するようになってまだ日が浅い。

まったく知らない人たちばかりだったらどうしよう。うまくコミュニケーションがとれるだろうか。

そしておっさん4号が感じるもう一つの不安。

それはアトピーでぐちゃぐちゃのちんちんのこと。

ディズニーシーは広い。きっと、いや絶対かなりの距離を歩くことになるだろう。

遊び疲れて帰る頃、ちんちんはどうなってしまうのだろう。とれちゃったらどうしよう。

そんな不安を抱えながら、でも初めてのディズニーシーを楽しみに思いながら、おっさん4号はディズニーへと向かった。

おっさんがおっさんと合流。1号まさかの……。


電車を乗り継ぎ乗り継ぎ舞浜駅に到着。

駅周辺はディズニーキャラクターがプリントされたTシャツを着た人たちでいっぱいだ。

マイアミビーチから舞浜駅という名前になったんだよ、とか言ってないで、いっそディズニー駅にした方が分かりやすかっただろうに、とか思う。

舞浜駅からの人の流れは大体3つにわかれている。

ディズニーへ行くのにモノレールやバスなど、乗り物に乗る人、徒歩で向かう人、ディズニーと関係なさそうな人、だ。

おっさんたちの集合場所は舞浜運動公園。

おっさん4号は、徒歩でディズニーへ向かう人たちの流れに乗って歩き出した。

この日の最高気温は35度を超える、という予報だ。

まだ午前7時半前で曇り空だけど、歩いていると汗がじとっとでてくる。

歩くとやっぱりちんちんが痛い。

ハンカチで額の汗をおさえながら歩いていると、舞浜運動公園が見えた。

なにやら公園の前をウロウロしているおっさんが1人いる。

見たことがある顔だ。

おっさん2号だった。

おっさん2号と会うのは2回目だ。お互いに「あっもしかして今日……。」という顔になり「おはようございます」と挨拶を交わした。

そこにおっさん3号が合流。

おっさん3号に会うのも2回目だ。「おはようございます」と挨拶をする。

どうやら今日はこの3人に、おっさん1号を加えた4人でディズニーシーへ行くらしい。

そのおっさん1号は、というと、なんと遅刻らしい。交通トラブルに巻き込まれたようだ。

とりあえず3人でディズニーシーへ向かうことになった。

と、ここで3号が「あっ、1号に言われたんだけど…」と言って財布からチケットを出して手渡してくれた。

「メルカリで買うと400円安いんだよ。買って渡してくれって言われてさ」

「あっありがとうございます!」

チケットを受け取り、3号にお金を渡す。

チケットが安く買えるなんて、ありがたい。

きっと安くチケット手に入れる方法なんて他にもいろいろあるんだろうな、と思う。

ちょっと歩くとあっという間にディズニーシーの入り口に着いた。

入り口には人がたくさんいた。

なんかいきなり小学生の作文ぽくなっちゃったけど、ディズニーに行くなら朝は早い、の常識を疑う余地もなく、そこにはたくさんの人がいた。

この人たち、みんな何時に起きたんだろう?

どうでもいいことまで書いていたら、ちょっと長くなってしまった。

まだディズニーシーの中に入っていないのに……。

ちょっと今日はこの辺で、。

つづく、かも。


#2 前に行っちゃいましょう

おっさん2号はディズニーのプロだ。

年間パスポートを持っている。おっさんだけど持っている。

その実力は人でごちゃつく入り口前の広場からいかんなく発揮された。

「前に行っちゃいましょう」

「え?」

「このあたりにいる人たちはただ何となくここにかたまっているだけで、列を作ってません。列が出来てるあたりまで、前に進んじゃいましょう」

おぉさすがプロだ。プロは待ち時間をただボーっとはすごさないのだ。

おっさん2号の言葉に従い前に進んだ。

朝早くディズニーの入り口にたどり着いただけで満足しているディズニー素人たちの間を、縫うようにして前に進んだ。ちょっと秘密の任務を遂行しているような気持ちになる。皆をだしぬき、前に進んでいることがばれてはいけない。

悪いな、ディズニー素人たちよ。こっちにはプロがいるんだ。

初めてディズニーシーに来たKing of 素人の自分を棚に上げて、ちょっと得意な気分になった。

もうこれ以上は進めない、というところまで来た。くだらないスパイごっこもここまでだ。

当たり前だけど、人の密度が高くなる。

むしむしと暑い。ここは地上の満員電車か。

曇り空を割って日も照ってきた。

今日の最高気温は35℃を超えるらしい。

と、ここでおっさん3号が「俺日傘持ってきたからさそ」と言ってカバンから日傘を取り出した。

おっさん3号の影が8角形になる。

いいなぁー、と思う。でもちょっと変な格好だなぁ、とも思う。

おっさん3号は肩ががちっとしていて手も分厚い。夏祭りでやきそばの屋台をやっていそうな人だ。そういう人が「日焼けも気になるし」といった感じで日傘をさしている。

おっさん3号のことをまったく知らない人からしたら、なんかこう、面白怖い感じがするだろうな、と思う。

もしスマホをなくして道に迷っても、おっさん3号には声をかけないだろう。

道を聞くなら、真顔が笑顔みたいなおっさん2号だな、と勝手なことを思った。

ちなみにいっけんいかつそうに見えるおっさん3号の言動は終始優しく、ひきこもりの僕に対して,、「無理しないでね」「それはしょうがないよ」「よくなってよかったね」なんて言ってくれたり、アトラクションを待つ間すこし日傘にいれてくれたりと、”人は見かけじゃないんだ”を体現しているようだった。

ちなみにこれは後にわかることだけど、彼は下ネタを我慢できない。

入園


何時になれば門があくんだろう。

アトピーでひきこもりのやわな肌を、真夏の日差しが焼き始めている。

おっさん1号はまだ来ない。

開園までの待ち時間に3人で何を話していたのか、あまり覚えていない。

おっさん2号の仕事のこととか、おっさん3号が使い始めた新しい薬のことだったっけかな。

世代もバラバラで、ただ皮膚の悩みだけでつながった3人。

いったい何を話したんだっけ。いやな思い出は残っていないから、たぶんまともに何かを話して、少し笑ったりしていたんだろうと思う。

ディズニー側からどんな合図があったかは忘れてしまったけど、気がつくと列が動き始めていた。当日に窓口でチケットを買う人は皆無で、窓口のお姉さんは笑顔を持て余している感じだった。ディズニーのチケットは事前に買う!これもまたディズニーに行くときの常識らしい。販売窓口のお姉さん、誰も来ないのに笑顔でいなきゃいけなくて、ちょっとかわいそうだ。

飛行機に搭乗する時みたいに、チケットのバーコードを機械にピッとやる。

かるい持ち物チェックを受けて、やっと入園した。

目の前にでかい山が見える。すげぇなぁ、これよく作ったなぁ、とさっそく初ディズニーシーに圧倒される。そういえばこれからどうするんだろう。

「プロ、これからどうするんですか?」

とおっさん2号に聞きながら、おっさんたち3人の足はもう動いていた。なぜって、入園した人たちの大半が大きな川の流れのようになって、あるポイントへとむかっているからだ。おっさん3人はその川に流されるようにして歩いた。ディズニーのプロであるおっさん2号の顔は相変わらずニコニコとしている。どうやらこの人の流れに乗っていていいようだ。

「これみんなどこに行くんですか?」

「トイストーリーマニアのファストパスを取りに行くんですよ」

おっさん2号によると、トイストーリーマニアは大人気のアトラクションなので、入園したらまずファストパスをとっておかないといけない、ということだった。そうしないと長時間並んで時間を無駄にするらしい。

そう、これもディズニーに行くときの常識!ディズニーシーに行くときの、と言った方が正確だ。ディズニーシーに入園したら、まずトイストーリーマニアのファストパスを取りに行く!知らなかったら覚えておきましょう。まぁ知らなかったのはディズニーのKing of 素人である僕だけっぽいけど。

おっさん1号登場


「走らないようにしてくださいね」

キャストといわれる従業員たちが、人の流れに注意の声を投げ入れている。

クラシックカーがとまっているあたりまで来た。

このあたりは古いニューヨークの街並みを表現しているらしい。

ここでおっさん2号のスマホにおっさん1号から連絡が入った。

「おっさん1号着いたみたいです。このあたりで待ちましょう」

人の流れが作る川を横に抜けだして、おっさん1号を待つ。

入り口でやったスパイごっこは何だったのか、と思いながら、人の川の流れをみつめる。

と、ゆったりとした川の流れの中を、飛び跳ねるようにしてこっち向かってくる男がいる。

ん?あれは……。

やはりおっさん1号だ。

走らないでくださいって言われてるのに、走ってきた40男。元気だ。

つづく、かも。

#3 紫色のサングラス

おっさんにおっさんが合流しておっさん4人のグループが完成した。

朝から晩までディズニーシーにいて、チラッチラッと来ているお客さん達を観察していたけど、男同士で来ているのはせいぜい学生までだった。

我々おっさんたちは、何万という客がいるこのディズニーシーで、唯一無二のおっさんたちだった。

トイストーリーマニアのファストパスをとるために人ごみに向かって歩く。

人ごみに取り込まれると、みんなしてなんとなくタワーオブテラーを見上げて、それぞれなんとなくタワーオブテラーの写真を撮った。

「俺来たことあったかなぁ…。ん~。」とおっさん3号がつぶやく。

「さすがにあるんじゃないですか?しかしこのスマホカバー使いにくいなぁ。失敗した。」とおっさん2号がぼやいている。

僕は2号と3号のなんでもないやりとりを聞きながら、おっさん1号を見ていた。

行列の先をにらみつけている。

早くすすんでいる列を見極めているようだ(僕にはどれも一緒に見えるけど)。

以前ディズニーで買ったという紫色のサングラスが、おっさん1号の鋭い眼光と共に光っていた。

何を隠そうこのおっさん1号、2号をしのぐほどのディズニー好きだ。

生活が破たんしてしまうほど来てしまいそうだから、年パス(年間パスポート)は買わない、と言っていたから、そのディズニー愛はハンパじゃないんだろう。

おっさん1号のするどい眼光のおかげか。パパッとトイストーリーマニアのファストパスをGETすることができた。

好きな女の前だとさ……。

おっさん1号たっての希望で、ミニーちゃんと写真を撮りに行くことになった。

ミッキーやミニーなど、人気キャラクターと写真を撮るためには特定の場所に行かなきゃいけない。

僕は適当に散歩しているディズニーキャラクターを偶然見つけて、写真を撮るんだろうなぁ、と思っていたけど(これも間違いじゃない)人気キャラクターは特別らしい。

ミニーちゃんと一緒に写真が撮れる場所に行くと、そこにはミッキーと、それからグーフィーの看板も立っていた。それぞれの写真の下に待ち時間が書いてある。

ミッキー30分、ミニー25分、グーフィー15分。

グーフィーとすぐに会えるのは、ここでのあるあるらしい。

「グーフィー……」とおっさん2号がニコニコしながら言っていた。

おっさん1号が看板の前で、誰と写真を撮る?と一応言いながら、体がもうミニーちゃんの列に向かっている。

別に誰と撮ってもいいし、もっというと撮らなくったっていい。

おっさん2号、3号、4号は、なんとなく心が通じ合ったような気がした。

おっさん4人でミニーちゃんの列に並ぶ。

前にいるのは女の子2人組で、その前もそうで、その前もそう。

後ろには確かカップルがいて、その後ろはファミリーだったような気がする。

例によって何を話したのかあまり覚えてない。

覚えているのは、列が進むにつれて口数が少なくなり、緊張していくおっさん1号のそわそわした様子と、前に並んでいる女の子たちを見ておっさん2号が言った「かわいいなぁ」という父親目線なのか、恋人候補目線なのか、はたまた犯罪者目線なのかわからないつぶやき。それからおっさん3号の「あー、来たことあったかなぁ?」という言葉だけだ。

いよいよおっさん4人がミニーちゃんと写真を撮るときが来た。

「やべぇ、緊張する。好きな女の前にいるときとおんなじ感じ。うまいこと話せなくなってさぁ。ふぅ」とおっさん1号。

ミニーちゃん相手になんでそこまで緊張するんだろう。

きっと彼の眼には、ミニーちゃんが人気女優にでも見えるのだろう。

彼と同じアラフォーだと誰だろう。

篠原涼子?宮沢りえ?今NHKの朝ドラに出ている松雪泰子かな?

それならおっさん1号が緊張する理由もよくわかる。

おっさん4人はミニーちゃん(松雪泰子)と1人ずつハグをして、笑顔で写真を撮った。

実際に会う松雪泰子(ミニーちゃん)は、テレビで見るよりもずっと小柄で、誰にでも優しい笑顔を振りまいてくれる、耳の大きな人だった。

彼女のかわいらしさのおかげか、写真を撮り終えた後も、おっさんたちの顔はどこかニコニコとしていた。

スターはやっぱり違うなぁ。

写真を撮り終えたおっさん1号は満足そうに言った。

「いやぁ~、俺が今日のディズニーでやりたかったことの9割9分おわったよ!あとはシンドバッドに乗れれば大満足だ!」

紫色のサングラスが光っていた。

つづく、かも。

#4 自撮りする人の気持ち


あれ?ミニーちゃん(松雪泰子)と写真を撮ったあとは、何をしたんだっけ?

今スマホの写真を見返している。

写真は1号と2号が所々で撮ってくれていて、それを2人からLINEで送ってもらっていた。

2人とも、写真をありがとうございます。あなたたちは優しいおっさんです。

写真を見返していて、あることを思った。

俺こんな顔だったっけ?

表情のことじゃなくって、顔自体のこと。

写真を撮ることに緊張して、顔がこわばっているのかな?もうちょっとなんかこう、いい感じに写ってもいいような気がするんだけど。いい大人の年齢になってしまった、ってのもあるのかもなぁ。

そういえば長いこと写真なんか撮ってなかった。なんてったって、ひきこもってたんだから。

え?何?写真は真実の姿を写すもの、だって?

まぁ、そういうことにしておきましょうか。

やたらめったら自撮りをしている女の子の気持ちが、何となくわかる気がする。

あれは少しでもよく思われたくって、写り方を研究しているんでしょ。

私も……って、僕女の子じゃなかった。おっさんだったは……。

インディジョーンズ


話をディズニーシーに戻そう。

ミニーちゃん(松雪泰子)と写真を撮ったあと、たしかインディジョーンズに乗った。

インディジョーンズには、待ち時間にお客さんを飽きさせない工夫があった。

それは細部まで作りこまれたインディジョーンズの世界観。

床、壁、天井、すべてがしっかりと作りこまれていて、アトラクションの順番がくるまでに、どんどんとインディジョーンズの世界にお客さんを引き込んでいく。

見つけた蜘蛛の巣が、演出なのか、それともただの掃除のしわすれなのか、区別できない。

僕が壁から突きでている遺跡や壁画、天井からぶら下がる植物を見ていると、2号も一緒になってそれを見て「へぇ、こんな風になってたのかぁ」と言った。

「えっ、知らなかったんですか?何度も来ているのに」

「うん、知らなかった。しかしこのスマホカバーは使いにくいんだよなぁ。本当に失敗した」

とまでは言わなかったけど、2号は本当にこの素晴らしい作りこみを知らなかったようだ。きっと女の子ばっかり見ていたんだろう。

誰かが、映画は見たことある?(もちろんインディジョーンズの映画)

とおっさん3号に話を振ると、

「いや、あったかなぁ?グーニーズなら……」

と言った。

グーニーズって!おっさん3号!グーニーズって!おっさん全開だなぁ、もう。

そういえば僕はグーニーズ見たことないな。

真の冒険家


いよいよインディジョーンズのアトラクションが始まる。

目の前の車に乗ればスタートだ。

こんなブログを読んでいるもの好きなあなたは、もう忘れてしまっているかもしれないけど、

おっさん4号である僕のちんちんはアトピーでぐちゃぐちゃだ。汁がでている。

そんな状態でここまで来た。

真の冒険家はインディなんかじゃない。僕だ。

だってほら、インディはほら、映画のさ、ね、そうでしょ。

車に乗り込むときはちんちんが痛い。

乗り込むと安全バーを下ろさないといけないから、足を閉じないといけない。

ちんちんが痛い。

インディジョーンズのアトラクションはアドベンチャー。

ガタガタ揺れて、右に左に大きくゆさぶりをかけられる。

普通に乗っていると揺れるたびにちんちんが痛いので、足を踏ん張って、車と下半身を一体化させる。

次は何がくるんだ!と一番冒険にマジになっていたのが僕だっただろう。

なんてったってこっちはちんちんを守りながら冒険しなきゃいけない。

ただワクワクして乗っている人たちとは、気合のかけ方が違う。

大事なものを守りながらの冒険はあっという間に終わった。

もちろん車から降りるときもちんちんは痛かった。

アトラクションが終わると「Stay Tuned for Adventure アドベンチャーに終わりはない」のメッセージがおっさん4人を迎えた。

おっさん3号が「あっもう終わりなのか、って感じだったね。意外と短かったね」と言った。

僕は「そうですね。あっという間でしたね」と言った。

今日一日というアドベンチャーは終わらないぞ、と思いながら。

つづく、かも。

#5

血を見るような大事件も、胸をくすぐるロマンスもなく、ただだらだらとおっさんたちの一日を書いてしまっている。

ラブもサスペンスもなくってすみません。

あるとしたら”はしゃぐおっさん4人組”っていう、ある種のホラー要素かな。

あぁもうこういうつまらないことを書いてしまっているから、また長くなってしまう。

おっさん1号からのLINE


ディズニーシーに行ったのは約1か月前だから、断片的に残っている記憶もあいまいになっている。出来事の時系列なんて完全に忘れてしまった。

そこで、断片的になっている記憶をそのまま箇条書きにして、一気にディズニーシーでの一日を書き上げてしまおうと思う。

そう思う。

そう思っていた、のだが……。

おっさん1号が、僕が勝手に書いているこのブログを読んだらしい。

そしてこんなLINEが送られてきた。

そしてこのあと、言葉を略していてわかりにくいだろうから、とより詳細なものを送ってくれた。

なんてまめな男だ。

おぼえてるところだけ書いて、さっさと終わらせてしまおうと思っていたけど、せっかくこんなに丁寧な情報をもらったので、しょうがない。ひとつひとつ書いていこうと思う。

でもさすがにこの数なので、ごくごく簡単に。

ジャスミンのフライングカーペット


4人というのは、ディズニーを楽しむうえで実にちょうどいい人数だ。

多くのアトラクションが、2人ずつ乗り込む設計になっているからだ。

このジャスミンのフライングカーペットもそうで、一枚のカーペットに前2人、後ろ2人の計4人で乗り込む。

おっさん4人がこのかわいいカーペットに乗るべきなのかはさておいて、このアトラクションを楽しむカギはお客さんの腕一本にかかっている。

というのも、カーペットの昇降と前後の傾きをお客さんが自分で操作できるからだ。

何度も言うが僕はKing of ディズニー素人。

そんなこと知らない。

アトラクションが始まって、ただボケッとしていたら、後ろに座ったおっさん1号から声をかけられた。

「こっちで操作できるのは前後の傾きだけだ。上下はそっち!」

何のことを言ってんだ?

2秒くらい無言でいたら、隣に座っているおっさん2号が、ニコニコした顔で二人の間にある操作レバーを指差した。

ドラえもんのしっぽみたいなレバーが、膝くらいの高さにあった。

2号は僕にカーペットの操縦権をゆずってくれるようだ。ニコニコしている。

左手でドラえもんのしっぽを上げると、カーペットがすーっと上昇した。

なるほどこういうことか。

僕は調子に乗って、ドラえもんのしっぽをあげきる前に下げ、下げきる前にあげてみた。

内臓がふっ、と冷えるような、ジェットコースターに乗っているような感覚になる。

「ハハハ、うまいうまい!」

おっさん2号が笑う。

「テクニシャン!」

と言ったのは、3号だったっけか。

他のカーペットが優雅に風を楽しむなかで、激しい上下動を繰り返すおっさんカーペット。

いい年になっても、楽しみかたは学生のままだ。

簡単に書こうと思っていたのに、長くなってしまった。

ここからどんどん簡単にしていこうと思う。

なにせ長い一日だから。

ジーニーのカルーセル

初ディズニーシーだ、ということで、アトラクション入り口にいたお姉さんから、3号ともどもステッカーをもらった。

メリーゴーランドなんて何年振りだろう。

「ジーニーは普段子どもにとられて乗れないんだよ。今日はすいてるからラッキー!」

とおっさん1号。

僕とおっさん2号は、なんとなく馬に乗った。

僕もジーニーに乗ればよかったかな。

ちなみにおっさん3号はというと、ちゃっかりジーニーに乗っていた。

スカットル


おっさん2号たっての希望でヤドカリに乗る。

「これに乗ろう!って言っても誰も相手してくれないんだ。一人で乗るわけにもいかないし。ずっと乗りたいって思ってたんだよ。」

なんで大人なのにお子様向けのアトラクションに乗りたくなるんだろう。

朝には少しあった雲が、完全になくなってしまった。順番待ちでヤドカリと一緒に干からびそうになる。暑い。

途中、女性のスカートの中が見えそうになるのをみつけて、2号とキャッキャしたのが、このアトラクションの一番の盛り上がりポイント。

マーメイドラグーンでアリエルのショー


ショーを見終わって、

「胸の貝殻、素肌につけていてほしかったなぁ。武田久美子みたいに。ねぇ」と、おっさん3号。

「はははははっ…(;´д`)」

パイレーツの水かけショー


「アトピーじゃなかったら、もっともっと楽しめるのになぁ」とおっさん3号がしみじみ言った。

そうだよなぁ、と思う。

アトピーじゃなかったら、海賊に煽られるだけ煽られて、頭から水をかぶり、ゲラゲラ笑えていたかもしれない。

でもおっさん3号、僕は十分海賊のショーを楽しんだよ。水に濡れない、大人の楽しみ方ってのもありますし。

ショーが終わって引き上げていく海賊に「おい全然濡れてねぇじゃねぇか!どういうことだ!」と怒られました。マジで。

水がまかれたあとはプールのにおい。

ニューヨークデリでお昼ご飯


みんなしてルーベンホットサンドを食べる。

「ここに来たら絶対これだよ!おいしいのに、みんなあんまり知らないんだよな」と1号と2号。

値段だってバカ高くないし、こりゃいいな、と思っていたら、おっさん1号が突然立ち上がってこう言った。

「ファストパスとってくる!」

えっ!?今!?

スマホのアプリで、アトラクションの待ち時間をチェックしていたらしい。そして今だ、と思ったようだ。

残された3人で顔を見合わせて、「いや1号、本当にすごいな」と気持ちを同じくした。

タートルトーク


映画ファインディング・ニモにでてくるカメのクラッシュ。タートルトークは、彼の話芸を楽しむ、というアトラクションだ。
「俺はカメに指名される席を知っている!」とおっさん2号。

1号と3号は、しっかりとその席を確保した。

「誰か俺に質問あるヤツいるかぁ?なんでもいいぜぇ」

クラッシュの投げかけに、小指から脇腹までを一直線にして手をあげる1号と3号。

でも結局、クラッシュの目にははいらなかったみたいだ。

クラッシュは頭がいいみたいだから、直感で元気なおっさんを避けたんだろう。

「結構あの席の人があたるんだけどなぁ…」と、おっさん2号はちょっとだけ肩をおとしていた。

センターオブジアース


クルマの右側だったけか。

怪獣がよく見えるのは…。

エレクトリックレールウェイ


「みんなに手をふりましょ」とおっさん2号。

手をふるおっさんたちに気がついて、手をふりかえしてくれた人は数えるくらい。

タワーオブテラー


持ってきた水筒の水も、とうに飲み尽くしてしまった。

ここまで炎天下を、歩きっぱなしの動きっぱなし。

エレベーターの順番を待っていたら、なんだか急にしんどくなってきた。

汗が冷えて、頭が少しくらくらする。

タワーオブテラーのなかで、一番青白い顔をしていたのは間違いなく僕だっただろう。

生きて帰れて本当によかった。

ビッグバンドビートの抽選ハズレ


「ここタッチして!」

と言われて画面をタッチする。

「あぁー、ハズレかぁー!」

と1号と2号。

当時は何がハズレたのかわかっていなかったけど、今このブログを書いている段階でやっと何にハズレたのかわかった。

ん~残念でしたね。

バンドね。

海底二万マイル

何も知らない僕は、「これも絶叫系なんですか?」と2号に聞いてしまった。

「これほどの絶叫系はないですよ!」とこたえた2号の声色で察したけれど。何も知らない、ということが少しだけ恥ずかしかった。


「モビリス!」

モビリス・イン・モビリ

覚えました!

マジックランプシアター


「俺に着いてきて!一番前で見よう!」とおっさん1号。

おっさん1号のおかげで、最前列のど真ん中でショーを見ることができた。

ショーを見ながら、白内障の手術を受けて本当によかったと思った。

クリアな視界じゃないと、3D映像は楽しめないもんなぁ。

ちなみにおっさん2号はショーの途中から寝ていた。

レイジングスピリッツ


「手をふりましょ」とおっさん2号。

ふりかえしてくれた人皆無。

トランジットスチーマーライン

「手をふりましょ」とは誰も言わない。

おっさん1号以外みんなちょっと疲れてぐったりしながら、ディズニーシーの景色を楽しんだ。

トイストーリーマニア

朝一番でとったファストパスを使う時がやっと来た。

超人気アトラクション、トイストーリーマニア。

僕の横にはおっさん2号。

なんとなく得点を競うかんじになった。

そういうアトラクションだからしょうがない。

お互い会うのは2回目だけど、試合前の独特な緊張感が2人の間に流れている。

銃に付いた紐を一生懸命に何度も引っ張って、弾を連射する。

練習が終わり、最初のステージが終わって得点を見ると、初挑戦の僕のほうが、おっさん2号より得点が高かった。

おっさん2号、これが結構悔しかったらしい。

「あぁ、ちょっと優雅にうちすぎたなぁ」と、いつものニコニコ顔で、あくまで軽い感じでそう言った。

でも隣に座っているおっさん2号の全身から「クソ~、年パスを持っているこの俺が、King of ディズニー素人に遅れをとるなんて、なんたる屈辱っ」的な空気をガンガン感じる。

『一応書いておくけど、おっさん2号は「ちょっと優雅にうちすぎたなぁ」以降のことは言ってないし、思ってもいないと思う。これは真夏の日差しで頭がおかしくなったおっさん4号の想像だ。おっさん2号はいつも笑顔の、善良な人だ。』

そんなこと言われちゃあ(言ってない)、こっちだって負けたくない。

次のステージから2人の勝負が始まった。

カウントダウンが終わるとともに、おっさん2人が全力で紐を引っ張りまくる。

ひとつのステージが終わるたびに、ふぅー、と2人の力が抜ける。

そしてまた全力で…。

勝負は決した。

おっさん2号は追い上げを見せるも、結局最初のステージでの気の緩みがあだとなり、King of ディズニー素人に敗れたのであった。

ニモのシーライダー

水がかかってきたことに驚いて、隣の中国人と同時に「おっ」と言ってしまった。

アクアトピア


この頃になると、もう日が暮れていた。

順番待ちの時に、ずぶ濡れコースであることに気がつく。

おっさん1号が持っていた大きめのミニーちゃん(松雪泰子)のタオルを借りて、それを盾に乗ったけど、結局ずぶ濡れ。

夕食はカスバでカレー

おっさん3号、ナンを追加注文。

「ナン多い」と言いながら食べる。

ファンタズミック!でおわり。


長かった今日が終わる。

ショーをみながら、子どもの時はディズニー大好きだったなぁ、と思い出した。

ライオンキング、アラジン、飽きることなく、何度もビデオをみかえしていた。

今日はすごく疲れたけど、来てよかったな、と思う。

「学生でもなかなかやらない強行スケジュールだったね」

「疲れました…。」

帰路そんな話ばかりした。

あぁ早く家に帰って、ちんちんがとれてないか確認しなきゃいけない。


列になったキャストと連続でハイタッチをしたり、チュロスやポップコーンを一口もらったり、一番冷たい水が出る水飲み場を教えてもらったり、まだまだ書いていないこともたくさんある。

経験とスマホアプリ、抜群の行動力を駆使してディズニーシーを楽しませてくれたおっさんたちに感謝します。ありがとう。


とりあえずおわり。

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大学卒業以来無職の29歳。 最大のコンプレックスはアトピーであること。

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