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ピッコロ大魔王の苦しみに比べたら

ようやく2週間の自主隔離期間に終わりが見えてきた。

思えば帰国すると同時に即レモンと梅干しの写真を見つめながら唾液を摂取することになり、無事陰性が出たにも関わらず自らを幽閉しなければならないこの2週間の感想は「これ意味ないわ」の一言だった。

感染者数がやばいことになっている国から帰国するならまだしも、3ヶ月以上感染者数ゼロが続くタイから帰国し、着陸後すぐに受けた検査も陰性が出ているというのに2週間の隔離はさすがにドM過ぎる。悲しすぎて気持ちよくなってしまいそうだ。

正直、陰性結果が出た瞬間からどこの誰よりも陽性の可能性が低い状況にあるのに「海外から帰国した」というレッテルと世間体のために炊飯器に魔封波されたピッコロのような生活を送ることに多少の憤りはあった。

陰性結果が出た紙を渡してくれた係の人が陽性だった場合くらいしか僕がコロナウィルスを保有しているリスクはないだろうし、その時点からカウントするのなら僕以外の人間全員にも可能性が発生するので政府はもう少し出国先のデータを把握して情報をアップデートして欲しいと思ったりもしたが、先ほど例に上げたピッコロ大魔王は300年も炊飯器に封印されてたのでもっと可哀想である。たかだか2週間の隔離で文句を言ってる僕はあの御方が受けた苦しみに比べるとミジンコレベルの苦しみなので甘んじて受け入れるしかなかった。

300年もの間、暗闇の中でひとり孤独に過ごす時間というのは一体どれほどの苦痛を生み出すのだろう。娯楽は一切なく、話し相手もいない。刑務所と違って刑期が決まっているわけでもないので封印がいつ解けるのかもわからない状況では自我を保っていることすら難しいだろう。そう思うと気が狂わずに現世へと復活を遂げたピッコロ大魔王の精神力には尊敬の念すら覚えてしまう。あの子は偉い!

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