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ワインを飲んだら風景が見えた 5 〜アルザスワイン

アルザスワインを飲みました。



ゲヴェルツトラミネールを飲んでみたかったので、代官山のアルザスワインとタルトフランベの専門店「コテ・フー」さんに行きました。
ソムリエ&シェフが一人でやってる小さなお店ですが、薄暗い秘密基地のような雰囲気が素敵でした。ご飯もおいしい。


アルザスは生産量の90%が白。多種多様な白ワイン葡萄の品種があります。
コテ・フーさんはグラスワインが豊富なので、色々飲んでみました↓


葡萄品種・リースリング 
生産者・Albert Mann
畑名・記載なし

代表品種リースリング。
過去何回か飲んだことがありますが、シャルドネやソーヴィニヨンブランに比べるとかなりとろっとして濃厚で、「これ、正解なのか?」と思ったんですが、どうやら正解だったようです。
洋梨、白桃の香り。というか白桃の缶詰の汁みたいな感じ。酸味もしっかりあります。アルザスの中では辛口に分類されるそうですが、とても甘口に感じます。


葡萄品種・ミュスカ
生産者・Albert Boxler
畑名・記載なし

ミュスカはマスカットのことです。マスカットの爽やかな香りがして、果汁をそのまま使ったようなフレッシュ感。シュールリー(澱引きをせずに、澱の上で熟成させる製法)特有の発泡感もあります。ミネラルも感じられて、複雑かつすっきり。
食中酒として一番料理に合ってました。これは、非常に好みです!! 
これの前にリースリングともう一つ飲んでるので、甘いワインに口が慣れてきただけかもしれません。ワインは口のコンディションも大事ですね。


葡萄品種・ピノグリ 
生産者・Schlumberger
畑名・kessler grand cru

甘みは一番少なく、シャルドネにも似た怜悧な印象で、青い草、蜂蜜など、複雑な香りがからみあって、高級感があります。
これも食中酒として非常に好みでした。
肉にも魚にも合いそうな万能感。シンプルに美味しいです。



葡萄品種・ゲヴェルツトラミネール
生産者・Paul Ginglinger
畑名・pfersigberg grand cru

黄桃の香り、ライチ、白い花の香りなど、ものすごく華やかでエレガント。甘みがとても強く感じられますが、甘ったるい感じではなくて、爽やかです。飲む香水。これを飲んだ後にマスクをすると、しばらくお花の匂いが続きます。

ワインはどれも非常に華やかなで甘みが強く、派手な味のワインが多いな〜という印象です。
チーズや鳥の丸焼き、素朴な味付けのステーキなんかに合うので、クリスマスにぴったりです。

アルザスワインの風景

お花のような匂いのワインですが、飲んだ時に広がる風景はカラフルで光溢れるお花畑や果樹園ではなくて、重厚で薄暗い石造りの街です。
グリム童話みたいな、なんとなく怖いイメージ……

そう、ドイツのメルヒェンです。

アルザスはフランスの北部、ドイツとスイスの国境に接した地域です。
アルザスワインはフランスの他の地域のワインと違って、瓶の形が細長く、
ドイツワインと似ています。エチケットのデザインもドイツを感じます。


ドイツとフランスの間で揉まれた歴史

アルザス地方は10~11世紀にゲルマン帝国の中心地として栄え、言語も街並みもドイツ語文化圏に近いです。

鉄鉱石や石炭の産地でもあるので、領土争いの火種となった過去があります。

最初にフランス領になったのは18世紀頃ですが、普仏戦争の敗北により、ドイツに併合されます。
第一次世界大戦後、ドイツが負けたのでアルザスはフランスに戻りますが、第二次世界大戦でナチス軍の侵攻によって、再びアルザスはドイツに占領されます。しかし第二次世界大戦後にドイツが負けたので、やっぱりフランスに戻ります。

しかし国の所属が変わるたびにドイツ人になったりフランス人になったりするわけではなく、アルザスはアルザスなんだろうと思います。

ドイツ征服時代はドイツ国内で消費する安ワインしか製造させてもらえず、かなりクオリティが下がってしまったそうです。

そして第二次世界大戦の混乱期は、ワインどころではないのは世界共通です。


現代になってようやく日本でも品質の高いアルザスワインを飲めるようになったんですね。

ワインに関して(だけ)は、本当に現代生まれでよかったなーと思います。

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