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VPoEに求められる責務

この章では、VPoEの責務について整理していきます。

前置き

ここでの定義はあくまで最大公約数としてのVPoEの責務の定義を試みたものであり、自分の主観もゼロではありませんので、当然具体的なシチュエーションによって実際はかなりケースバイケースになるということです。ですので、あくまで雛形として最初に知れるとよいであろう情報をまとめたもの、と考えてください。雛形があるのとないのではそのあとの思考の質もスピードもきっと変わってくると思います。

VPoEの一番の責務

VPoEについてさまざまなところで議論がなされていますが、結局なにをする人なのか?はわりとどこを読んでも明確でなく、これが一番自分自身も困ったことでしたが、その点についてははっきりと一つに絞ってお伝えします。

結論からいえば、VPoEの一番の責務は、Execution です。

ビジョン・アイデアの実現をすすめることであり、ソフトウェア企業でいえば、開発が関わるあらゆる部分の執行・実行に対する責任を担うことです。

正しいロードマップ、正しいチーム、正しいプロセスで、計画どおりのベストなデリバリーを行うこと・行えるようにあらゆる面から支援し維持することです。

そのために開発計画の妥当性を事業・技術・組織などあらゆる面から考えて、判断・修正を行い、その実行を最後まで見届けます。
すばやく状況を把握して、時にはチームに働きかけて、修正・リカバリーをする必要もありますので、全体を見ながらも開発チームへのすばやく正確な判断と、十分な影響力が必要になります。

このハンドブックを書く上でみた複数の意見の中でも多くがExecution = 実行がVPoEの重要な責務だと言及しています。

process / management gods (and goddesses) – totally focused on building and shipping products.
from CTO vs. VP Engineering - Feld Thoughts
VP of Engineeringは現実と鑑みてそのビジョンを実行に移すことを率いる部門のマネージャー
from 役職の謎:CTO vs. VP of Engineering
VP’s of Engineering are essential to making sure the trains run on time.
from Want to Know the Difference Between a CTO and a VP Engineering?
How is a VPE measured?
Execution. Full stop.Everybody is going to be looking at the VPE to make sure he is making the trains run on time.
from “What does a VP of Engineering do, again?” - Raffi Krikorian - Medium
Vice president of engineering is responsibile for the development and delivery of the product
from CTO vs. VP of Engineering

このように、train run / delivery / shipping などなど表現は違えどどれもExecution = 実行責任の重要性について書かれていることがわかります。

CTOとの棲み分けはまた別途となりますが、CTOが技術的な戦略の意思決定をする責任を持つとすると、VPoEはその戦略を確実に・最適に実行する責任を持つと言ってもいいかもしれません。

その実行力を担保していくために、VPoEはそれが可能なプロセス・チーム・組織をつくっていくことが必要になりますが、それは次のVPoEの役割のセクションで詳しく説明していきたいと思います。

コラム:VPoEの一番の責務はピープルマネジメントではないのですか?

これはよく聞く話で、実際にVPoEは組織や人を見る人という認識の方も多いのではないかと思います。

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667字
エンジニアリングマネジメントにおける重要項目を体系的に13のセクションに分けて解説しています。VPoEを目指す方はもちろん、エンジニアリングマネージャー、開発チームをまとめるリーダー、CxOの方に役に立つ内容となっていると思います。 ご購入いただいた方からの記事追加のご希望や、実務のご相談などにもなるべくお応えしたいと思いますので、遠慮なくご相談ください。

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