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川崎フロンターレvs横浜Fマリノス  マッチレビュー

今回は2019J1第33節川崎フロンターレvs横浜Fマリノスの試合を分析していきたいと思います。

1.スタメン

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注目ポイント
・お互いのOMFが2ボランチに対して有効なポジションをとれるか

2.試合情報

得点
1-0(前半8分・23仲川)
2-0(後半4分・17エリキ)
3-0(後半24分・17エリキ)
3-1(後半29分・9レアンドロ・ダミアン)
4-1(後半44分・11遠藤)

交代
後半9分(川崎):IN16長谷川↔OUT28脇坂
〔家長がOMF、長谷川がRMFへ〕
後半13分(横浜):IN7大津↔OUT9ジュニオール
後半16分(川崎):IN9レアンドロ・ダミアン↔OUT8阿部
〔4-4-2にシステム変更、レアンドロ・ダミアンがCF〕
後半26分(横浜):IN26渡辺↔OUT7大津
後半34分(川崎):IN20知念↔OUT11小林
後半36分(横浜):IN11遠藤↔OUT28マテウス

3.ハイプレスの代償

開始早々のゴール直後「鬼木監督が田中碧にポジション修正の指示を出しています」と実況された通り、前半はマリノスに田中碧のスペースを狙われることが多かった。
田中碧のDFへの切り替えが遅かった事も一因ではあったが、チームとしてのハイプレスの意識が故に田中碧の周りでフリーになっているマリノスの選手が多く、田中碧がチェックに行く相手を迷っているシーンが頻繁に見受けられた。

前半7分のチャンスシーン

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川崎は非ポゼッションの時には基本的に4-4-2のブロックを形成する。
しかし相手OMFのジュニオールが自由に動きまわるためにCBが捕まえに行けず、どうしても中盤では2対3の数的不利を作らざるを得なくなっていた。
加えて、両SMFが守備が得意とは言い難く相手SBのマークを外してしまいフリーにさせてしまう。

前半8分の失点シーン

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ここでも家長がCBに対してハイプレスを掛けに行った結果、ティーラトンがフリーになってしまい攻撃の起点に。
田中碧のカバーによって空いたジュニオールのマークにCBの意識がいった結果、SBの裏をぶち抜かれてしまい失点。

後半4分の失点シーン

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喜田のマークに田中碧が言った結果、扇原が比較的余裕を持った状態でボールを受けます。
さらに中盤に飛び足してきた松原のマークに阿部が遅れてしまい、華麗なスルーパスを出されて失点してしまいます。

なぜ川崎のハイプレスが嵌らなかったのか?

J1でここ数年牙を剥き続けている川崎のハイプレスがなぜマリノスに嵌らなかったのだろうか?
それは局所的に数的有利をつくられる機会が多かったからだと思う。

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まず、マリノスのGK+CBに対して川崎のCF+OMFがハイプレスに行くシーン。
もちろん最終ラインなのでボールロストしたら即失点につながるゾーンだが、マリノスは3対2の数的有利をしっかり生かしてビルドアップをしてくる。
その結果、川崎のCF+OMFとDMFの距離が遠くなり中盤に大きなスペースが生まれる。

そして次に、マリノスのDMF+OMFに対して川崎のDMFがプレスに行くシーン。
川崎のOMFがハイプレスを狙い高い位置をとる結果ただでさえ3対2の数的有利を作られているうえに、川崎の両SMFが守備が得意じゃないのが裏目に出てマリノスの両SBに攻撃参加をされて4対2の有的有利を作られ中盤を支配されてしまいます。
いくら川崎の2ボランチの能力が高かったとしても、これでは完全にお手上げなのである。

4.SBの役割の多様化

川崎のハイプレスがマリノス相手に機能しなかった他の大きな要因にマリノスのRSB松原の存在があると思う。
グアルディオラ監督の「偽SB」と言われる戦術をきっかけにSBの役割の多様化が顕著になってきているが、この試合でもRSB松原のポジションニングが試合の行方を決定づけたと言っても過言ではないだろう。

様々なスキルが求められ、様々なタイプの選手も現れてきているSBというポジションが、今後どのような新しい役割を担っていくことになるのか非常に楽しみである。

5.総括

横浜Fマリノスが勢いそのままに川崎フロンターレを破ってほぼ優勝を決定づけた試合だったが、ポステコグルー監督が3年間かけてチームに植え付けた戦術が遺憾なく発揮された試合だった。

今はコロナの影響でJリーグが中止になってしまっているが、再開された暁には是非注目してマリノスのサッカーを追っていきたい。

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