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【超確信】音楽業界にこれから起こる変化

こんにちわしまさんです。
僕はかれこれ7年以上音楽関係のデザインをしてきました。

僕が音楽のデザインでつくらせていただいてきたもの
CDジャケット
MusicVideo
Webサイト
ライブ演出
エントランス装飾
衣装提供
公式グッズ
ライブポスターフライヤー
Webフライヤー
写真集

これでもかというくらい、音楽に関係するデザインはほぼ全てしてきました。それは僕が“アーティスト”と言う存在を愛しているからです。音楽が好きってのもありますが、それよりも表現活動をしている人とそれに関わる人たち自体が好きでそれに協力したいという思いでここまで一心不乱に音楽のデザインをしてきました。

全ての実績を載せているわけではないのですが、どんなものを作ってきたのか気になる方は僕のHPをご覧ください。

そんなわけで“音楽業界人”とまでは行かないまでも、その近くである意味第三者的な目線で音楽を見てきました。そんな僕の見解から今後音楽業界で無くなっていくものや、逆に新たに出て来るもの、変わらずに残るものなどを書いてみようと思います。

事前にお伝えしておきますがこのnoteで何か特定の職種や団体をどうこう言う意図はありませんのでご了承ください。あくまで僕の独自の見解です。

では書いていきます。内容は以下の通りです。

専属マネージャーは不要になりエージェント化する

はじめに思うことはこれです。僕もこれまでの仕事で様々なマネージャーさんにお世話になってきています。なのでわかるのですが、マネージャーは社会人としても人間としても優秀でなければできない職種です。

アーティストのことを常に気にかけて、人間味ある気遣いを持ちつつ、現場ではとてつもなく機敏に動いたり、アーティストの権利をしっかりと主張しマネタイズしたりと言った自発性や知識を必要とされるからです。

とは言っても全てのマネージャーさんが優秀かと言うとそう言うわけでもなく、中には「なんでいるんだろう?」と言う方もいます。
今はまだそのマネージャーさんの実力を一旦抜きにして、専属マネージャーという立場の方が存在しますし、ある一定の組織内でしかマネージメントをされない人もいます。それはその会社に雇われているからです。

ですが、これからマネージャーはアーティスト自体に直接雇われる(もしくは契約される)ようになり、エージェント化されマネージャー同士自体の競争が激化していきます。
フリーランスの売れっ子マネージャーなんていう方も目立つようになってくるのではないでしょうか。

ライブハウスは配信スタジオ化する

今回のコロナの影響で無観客ライブ配信に切り替えたイベントもたくさんありましたね。それでどうだったかというと、実は生のライブよりも収益率の高いものが多かったのです。(具体的なイベント名などは言えませんが)
これからVRやARが普及していくのと比例して、ライブは場所に依存しないファン参加型のエンターテイメントになっていきます。
5Gの環境が整備されたら、配信ラグが極限まで減るので、全く違う場所にいるアーティスト同士が同一画面で生配信共演したりも当たり前になっていくでしょう。
また、そうなってくるとキズナアイや初音ミクなどの3Dドールが人間と同じステージ上で歌ったり踊ったりもするようになります。
無観客ライブは独自の文化としてコロナ収束後も発展進化していきます。なぜかと言うと、チケット代を支払ってまで音楽を聞くのだから、ファンも当然高音質な音やエンタメ性とライブ感を求めますので、そうしたニーズに答えるには、ツイキャス配信などのような個人で用意できるような配信設備ではない高額設備や技術スタッフを必要とするからです。
そこに来て、ライブハウスの強みは音響設備と演出可能な空間とこれまでのライブ開催経験を持っていることです。ドンピシャにハマりますよね。
客席には人ではなく無数の配信用カメラが並ぶようになるでしょう。
中には、自宅に無観客ライブ配信スタジオを作ってしまう猛者も現れそうですが笑
今後ライブハウスは無観客ライブ配信スタジオとしてオリジナリティを出していくことが求められると思います。

楽曲自体を販売することはなくなる

これはアメリカの音楽業界ではもうすでに常識化しています。なぜ知っているかと言うと、以前にNY在住のアーティストの仕事をした時に教えてもらったからです。
その知見を踏まえてお話しすると、まずCD盤は無くなります。
CDからスマホに曲入れるって超めんどくさい作業じゃないですか。今となってはデータ容量も低くもそこまで高音質ではなかったりしますし。それでもまだ日本でCDが少しは売れるのは、それをコレクションとして欲しがるファン層がいるからだと思います。ですが多くは「曲さえ聞けたらOK」と言うファンです。

楽曲はストック収益を生む資産になる

ではどうなるのかと言うと、楽曲は全てサブスクで配信されるものになります。SpotifyやAppleMusicなどがそれです。
サブスク配信の凄さは、楽曲制作費用とプロモーション費用以外の経費を抑えやすいことです。しかも在庫を抱えなくていい。
対して、盤の場合には、印刷費用、ジャケットデザイン費用、流通手数料、発送の手間など安くない初期費用とランニングコストがかかります。

サブスクの場合には、ユーザーは月額費用を支払い楽曲は聴き放題。アーティストサイドにはその再生数に応じて収益がもたらされます。現時点で音楽配信サブスクの1再生相場は0.2円〜0.8円と超がつくほど高額なのですが、そのうち0.05円などに徐々に下がっていくとは思います。
それでも、あのyoutubeよりもストック収益として実は価値が高いのでは?と僕は思っています。
なぜかと言うと、繰り返し聴かれる、広告収益ではないので発信側も自分の好きなことができるからです。
サブスクを聴いている人なら知ってると思うのですが、実は日本のアーティストですでに有名な方でもまだこのサブスク配信にちゃんと乗り出せていない人もたくさんいます。

事務所やレーベルがそこまで日本だとまだサブスクを重要視できていないのです。でも、これから確実にサブスク配信は楽曲収益の柱になります。身近な実例として、楽曲発表を個人で初めて1年ですでにサブスク月収100万円を超えている僕の友人もいたりします(名前は出せませんが)。当然努力は必要としますが、それほど可能性があると言うことです。
音楽業界人は今からしっかりと仕込んでおいたほうが良いかと思います。

セルフプロモーションができないアーティストは淘汰される

これまでの時代は、アーティストは曲作って、演者としての腕さえ磨いておけばよかったと思います。ですが、それは一昔前の音楽利権が幅を利かせていた時代の話。利権収益が立っているうちは分業が成り立ちやすいので、そうした構造になっていたと言う見方もできます。

ですが、これからは曲を作る・腕を磨くは大前提として必要なスキルとなります。
どうしてかと言うと、アーティストとファンがSNSで直接繋がれてしまうからです。ファンが求めているものが、音楽以外にもアーティストの人間性だったり、発信する情報の質だったりも含まれるようになってきています。
アーティストは常に自分の情報発信をする必要があり、自分よりも影響力のある人とコラボしたりしてファンを獲得していく必要があります。

曲を作る→歌う(音源を作るも含めて)→発信してファンを増やす→収益化する→曲を作る

このループを自分で組めるようにならないといけません。
業界の方ならご存知だと思いますが、これまでもライブ集客のないアーティストはそもそも事務所から声もかかかりませんでしたよね。
事務所から声がかかると喜ぶアーティストもいますが、事務所(他の人)が活動に協力すると言うのはその分経費がかかるということです。なので、それを回収できるレベルにまで達していない人はこれまでも淘汰されていました。

それと同じっちゃ同じことなんですが、それがさらに激化すると言うイメージです。事務所に入るか入らないかも自由に決められる時代ですが、それでも変わらないこととして要するに、はじめに自分で数字を出せないアーティストは淘汰されると言うことです。

業界が大きく二分化する

業界が法人組織と個人プレイヤーとで大きく二分化されます。個人でも組織の売り上げに対抗できるくらいのことができる時代だからです。なので、この一見おかしな相対の図式が成り立つようになります。とは言っても、組織自体(事務所やレーベル)がこれまで培って来たものは貴重です。具体的には、音楽利権の保有、流通ルート、発信ルート、レコーディング設備、ノウハウを持った優秀なスタッフ、人脈や信頼などは今後も重要なファクターとして機能します。そうした中で、業界が上記の両者に二分化されると思います。
また、この両者は敵対すると言う意味ではなく、協力関係を結ぶんでいくようになると思います。そのほうが両者にメリットがあるからです。

事務所でもレーベルでもない“チーム”が乱立し始める

これもわりと確実に言えることです。
例えば、僕も大好きで聞いてるのですが「ヨルシカ」や「ずっと真夜中でいいのに」や「Mili」と言ったアーティストがまさにこれです。彼らのチームが具体的にどう言った連携を取っているのかの内部事情まではわかりませんがああ言った空気感を持っているチームがこれから音楽業界に乱立していくと思います。

具体的には、“同一の世界観を持っている”作曲家、歌い手、エンジニア、デザイナー、映像マン、マネタイザーなどが個人同士でチームを組み、作品発表をしていくと言う形です。
ここで面白いと思うのが、一人が1つのチームに所属するとは限らず、複数のチームに参加すると言うことも起こりえることです。

これまでは、ぶっちゃけ事務所やレーベルの所有している発信ルートこそが最強でしたが、今は必ずしもそうだとは言えない状況にあります。
つまり、“いいモノ”さえできればあとはそれを継続的に自他の個人メディアで発信することでもファンを獲得していけるのです。

また、こうしたチームは個人の集まりであることから、ランニングコストの中に人件費が含まれないこと、設備も自前なので固定費もかからないことなどが法人組織で活動している事務所やレーベルとは違った強みとなります。つまり、完全歩合の分配性を約束しあってるチームの場合、結果が出るまで経費がかからず、走り続けられるのでそれが強みです。

ですが、個人のチームは結束が取りにくい、給料制ではないので怠けやすい、実力主義にならざるを得ない、一部の人に労力が傾きやすい、母体がないので利権や収益分配を管理しにくい。などの弱点もあります。
なので、さらに話を発展させて言うならば、これらの弱点をカバーできるサービスも今後需要に合わせて出てくると思います。

作る人と、それをマネタイズする人がいれば最小チームで最大限の結果を狙えると言う時代だからこそこうしたチームがおそらく乱立してくるでしょう。そして乱立すると言うことは解散していくチームも増えると思います。

楽曲の原盤権規制が緩くなる/もしくは許可が取りやすくなる

これも徐々にそうなっていきそうです。その方が原盤権を管理している会社にとってもメリットがあるからです。逆に厳しすぎる利権で固められている楽曲はどんなにいい曲でも広がりません。
すでに「歌って見た」などの動画はたくさん出ていると思いますが、この煽りを受けてこれからの音楽は、共有資産としての側面を強めていくと思います。

メジャーデビューがしやすくなる

メジャーデビューがしやすくなります。逆説的に聞こえるかもしれませんが、アーティストがメジャーデビューをしなくても食べていくことできるようになるからです。
事務所は数いるアーティストの中から才能を発掘して育てて守って、そのアーティストの活動を通して収益を得ます。ですが、これからの時代のアーティストには事務所に所属せず個人で収益を獲得すると言う選択肢もあります。そうした中で、これまであった「音楽事務所に入りたい」「メジャーデビューしたい」と言うある種の王道に憧れるアーティストが減ると思います。
そうなると、事務所はアーティストにより明確なメリットを提供できなければならない立場になります。

また、そこを目指すアーティストが減ると言うことは、メジャーデビューの競争率が下がると言うことで、つまりそれをしやすくなると言うことです。

メジャーデビューをすることで得る恩恵は今でも変わらずありますし、事務所の必要性もあります。ですが、アーティスト個人視点でいくとメジャーデビュー以外の選択肢も出てきているのでその敷居は下がるでしょう。

アーティストは世界観を生かして音楽以外の活動もするようになる

また、音楽アーティストの基軸が音楽であり続けることは変わりませんが、アーティスト個人に対してではなく、その曲の世界観に対してファンが着くようになると思います。例えばわかりやすいのが、amazarashiとかです。他にもすでにそうした世界観重視のアーティストは出てきてますよね。

世界観の真逆に位置するのが、アイドルです。
アイドルにもそれぞれ世界観がありますが、それが最重要のものではなく、またファンは世界観ではなくて特定の個人に対して付いている場合が多いですよね。アイドル文化は根強いので消えないと思いますが、メインファクターではなくなります。

例えばグッズであれば、アーティスト本人の写真集(もうすでにほとんど売られてないですけど昔はめちゃくちゃありました)などではなく、詩集やトークイベントと言ったような独自の視点に触れられるものの方が需要が出るようになります。

さらに、顔出しを一切せずに匿名性を維持しつつ、楽曲と世界観(ビジュアル演出も含めて)で有名になるアーティストも増えてくるでしょう。
音楽はより宗教感を強めて、思想書や文学書に近いような効力も持ち始めます。

そのため、そのアーティスト持つ独自の世界観やキャラクター性は、楽曲制作や音楽シーンのみならずあらゆる文化活動の場で必要とされるようになります。

特にこれから音楽を始めるよ、と言った若手のアーティストは独自の見解や視点を意識的に情報発信、また楽曲にはストーリ性を持たせて、ファン同士で議論が発生するような多面的な解釈のできる歌詞を入れていくことが効果的かと思います。もちろんそのための日々の情報収集も大切になります。

つまり、ファンも考えて楽曲を聴く人が増えるようになると言うことです。
「このアーティストの曲は全部なんでも好き!」と言ったメンタルで一方的に曲を聞いたり、ファンサービスに喜ぶのではなくて、歌詞の意味やアレンジの違い、アーティストの言動などを考えながら受信するようになるということです。

公式グッズの価値が増す

世界観に対してファンがつくようになるということは、アーティストの公式グッズの価値と重要性が増すということにも繋がります。
パーカーなりなんなりそのグッズを身につけるというのは、その世界観に共感しているという証でもあるし、ファン同士の繋がりのシンボルにもなります。なので、センスが良くて、世界観も一貫しているものの方が嬉しいですよね。

MVやデザインも世界観重視のものになる

さらに付け加えるならば、MVやそのほかの告知関連のデザイン物や、重複しますがグッズデザインも世界観重視のものの需要が増えます。
MVなどは、顔出しをしているアーティストでも本人が出演しない作品も増えていくでしょう。本人が出演することよりもその楽曲の世界観を表現したものを求められる需要が高まります。
また、MVよりもコスパが良くサブスクへの導線としても優秀なリリックビデオもこれからまだまだ出てくると思います。

アーティスト本人が音源制作も行い始める

自ら在宅で楽曲制作、レコーディング、アレンジ、ミックス、マスタリングまでを行うアーティストが増えます。
理由はとても簡単で、すでにそのための設備が個人宅に安価で導入できるようになっているため、また自分で全部をした方がコスパが良く、細かな所にこだわりやすいからです。
ただし、マスタリングとレコーディングだけは高額の機材と、確かな耳を必要とするので、アウトソーシングする人も多くなるでしょう。
そうした意味で、特に個人完結型の音楽活動をしていきたい人にとってDTMは必須のスキルであり、その重要性は年々高まっています。

収益モデルが変わる

ここまで読んでいただいて、感の鋭い方ならわかると思うのですが、音楽全般における収益モデル自体が変わります。
前述したことと重複しますが、ライブハウスは無観客ライブ配信スタジオとしての側面を持つようになったり、楽曲販売(CD)はサブスクによるストック型へ確実に移行しますし、アーティストではなくその世界観にファンがつくようになることで需要も多様化し変化します。

まとめ

つまり、アーティストや、マネージャー、ディレクター、(またクリエイターもさらに)などはそれぞれフリーエージェントとしての活動の場が増えます。それに伴い、個人同士のチームが乱立し始めて競争は激化。
これまで、業界を守ってきて大手レーベルや事務所は、そのままその機能を保持しますが、個人との「対等な契約」を必要とされるようになり、同じ土俵で戦うことになります。
こうした変化の中で生き残っていくためには、何よりも自分で考えて自分で行動できるセルフマネジメント能力が大切になります。
って感じですかね。まとめるの難しい笑

そんなとこですね!読んでいただきありがとうございました。
でわでわ

記事を読んでいただきありがとうございます◎普段はアートディレクター・デザイナーをしています。「つくることは生きること」そんな思いでnoteを更新しています。