『ニュートン2022年5月号』で記事を書きました、とそのリファレンス
『ニュートン2022年5月号』で「合成生物学はここまで来た」を書きました。
合成生物学っていう言葉は聞き慣れないと思いますが、この記事では「ゲノムを人工的に作って思い通りの性質をもつ細胞や組織をつくること」というスタンスで書きました。実際のところ、合成生物学って定義があるようなないような、ちょっとバズワードっぽくなっているのが事実です。
とはいえ、試し読みのところにもあるように、ゲノム編集(特にCRISPR-Cas9)とDNA合成技術が進歩してきた中で、生命科学の基礎研究だけでなく、すでにビジネスとして合成生物学で勝負しているスタートアップ企業が海外に多くあります。そのあたりの現状も含めて書いて、最後には倫理やテロの懸念にも触れました。僕がニュートンで書くとき、毎回最後に難しい問題がやってくるんだよなあ……。
個人的には、近い将来に「ゲノム構築時代がやってくる」という言葉が一番しっくり来ました。
レファレンス紹介です。
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・クレイグ・ベンダーが細菌の一種であるマイコプラズマの全ゲノムDNAである100万塩基対を人工的に合成した論文。
・そこから不要と思われる遺伝子を削っていって、最終的に53.1万塩基、473遺伝子あれば細胞は自己増殖できることを示した論文。
・大腸菌の約400万塩基対の全ゲノムDNAを合成した論文。ニュートンではスペースの都合上書けなかったけど、本来64通りあるコドンが59通りだけになるように改変してあり、非天然アミノ酸を使ったタンパク質翻訳も視野に入れているんだとか。
・GP-writeの進捗。ヒトゲノムDNAの全合成を打ち出したはずが、いつの間にか「ウイルスに感染しないヒト培養細胞」を目指すことに方向転換していた。
・遺伝子改変の蚊を使って蚊を撲滅させる計画。CRISPR-Cas9の遺伝子ドライブではなく遺伝子組換え蚊で屋外実験をしたらうまくいかなかった論文。ただしデータの正確性や解釈に疑義があり、著者内でも修正するかどうか揉めているらしい。
本当はザ・合成生物学っぽいマンモス復活も書いたんだけど、どうしてもスペースが足りなくてお蔵入りになりました。どこかで書きたいなあ(チラッ)。
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