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『聖杯サクセション』のデザイナーズノート的なやつ1

この記事は、Board Game Design Advent Calendar 2016 の第18日目の記事として書かれました。

はじめまして、こんにちは!
大気圏内ゲームズshimamuwと申します。
いわゆる同人アナログゲームを今までいくつか作っています。

いつもやろうと思いつつ後回しにしてしまい、結果として何もかもすぐ忘れてしまう僕ですが、今回は初めてゲームの生い立ちや制作の記録のようなものを書いてみようと思います。
ゲームマーケット2016秋に販売した聖杯サクセションというゲームのことです。

聖杯サクセションは短時間で遊べる2人用のカードゲームです。
自分の番にすることは「カードを出す」か「カードを取る」かだけ。というわかりやすさをウリにしています。

そしてこのゲーム、自分としては変わった経緯で制作に至ったなという記憶があり、それを記しておきたいなと思いこの場を借りる次第です。
アナログゲームの制作をされている皆様におかれましては「こういうパターンもあるんだよ」という事例として、何となく読んでください。何となく。

※書き始めたら思いのほか超長文となってしまったので、記事を分けます。
 続きは後日……すいませんです。

発想

聖杯サクセションは、僕らのゲームとしてはかなり安産だったように思います。最初のテストプレイ用モック作成からルールの確定までは最速だったのではないでしょうか。

とはいえ、実作業部分は最速であったとしても、本当の部分での制作の下準備のようなものは、ずっと前から始まっていたのかもしれません。

このゲームの制作の根幹にあたる発端は、おそらく「簡単なルールでジレンマを生むカードゲームが作りたい」という、「作りたい願望」だったと思います。テーマが先かシステムが先か、みたいな話で言うなら「コンセプト」から作った、ということになるのでしょうか。

ただ、このコンセプトは誰もが考えるものだろうし、自分自身も常に考えていたようなものです。それこそ、新しいゲームを作る際に常に一度は発想として頭をもたげるようなものでした。
アイデアでもなんでもなく、それでゲームが完成したわけではありません。

きっかけとなったのはメディチ・カードゲームだったように記憶しています。かのクニツィア氏の3大競りゲームの1つメディチのカードゲーム版です。
ただし、カードゲーム版は競りゲームではなく、坊主めくりにセットコレクションを合わせたようなゲームになっています。

本家メディチと同様、メディチ・カードゲームにも「ラウンドに獲得できるカード枚数に限りがある」という縛りが設けられています。
この縛りがいいなと思い、かつメディチ・カードゲームの単純さに刺激され、常に頭の片隅にあった「コンセプト」でまたゲームを考えてみよう、と思い立ちます。

そうした時に、昔遊んだカードカソンヌというゲームのことを思い出します。ご存知でない方もタイトルからピンとくるかと思いますが、かの名作カルカソンヌのカードゲーム版という位置付けのゲームです。
カルカソンヌのカード版です」と言い切らないのはもちろんワケがありまして、このゲームはカルカソンヌのシステム部分は継承しておらず(メディチメディチ・カードゲームより遥かにかけ離れています!)、世界観(とミープル)のみが共通となったようなゲームです。

あまりに名作すぎるカルカソンヌの陰に隠れ、普段話題にも上がらないし稼働機会も少ないゲームですが、僕はカードカソンヌも好きだったのです。
そして「あれもすごく単純で面白いカードゲームだったぞ」と思い出したのです。

さっそく久々に棚から取り出して遊んでみます。
詳しくは省きますがカードカソンヌでは、手番に手札を場にある幾つかの列のいずれかに並べるか、その列にミープルを並べるかします。
ラウンド終了時、自分のミープルより手前に並んだカードを獲得して点数計算。規定ラウンド終了後、得点の高かった人が勝ち……というようなゲームです。

やっぱり面白い!
ただしカードカソンヌは得点がべらぼうなことになります。
様々な種類のカードを集め、それぞれに異なった得点計算をします。
その結果、2~3人でやろうものなら、1人300~400点とかいってしまうのです。このへんのざっくりした感じが勿体ないな、と感じました。

でもこの「カードを出す」か「ミープルを置く」かだけの単純さと、手札をどういう手順で出していくかの駆け引き、いつまで我慢するかの洗面器感はとても好みだなと再確認しました。

そして同時にメディチ・カードゲームの体験と相まって、制作のインスピレーションを得ます。

制作とテスト

すぐに制作に取りかかり出来上がったゲームが聖杯サクセションの原型となります。
原型とはいえ、最初の試作としては(他のゲームと比べたら)だいぶ現在の製品版に近いルールでした。

カードにはそれぞれ数字と同じ枚数構成になっている5、6、7、8、9のマジョリティカード、単純なプラス/マイナスのカード、5枚のドクロカード、数枚の特殊アクションカード。
ルールは、カードをシャッフルし同枚数ずつ配り、自分の手番になったら「カードを出す」か「カードを取る」かだけ。「カードを取る」は1ラウンドに1回しかできない。
規定ラウンド後、得点計算。ゲーム中、ドクロカードを4枚揃えられたら王の暗殺に成功し、その場で勝利。(フレーバーも現在と近いですが、少し血生臭い感じでした笑。)
製品版をご存じの方はわかるかと思いますが、カード構成以外はほぼ同じルールです。

ただし現在の製品版と決定的に違う箇所がありました。
それは対応プレイ人数です。
最初の試作版では3~4人くらいを想定していました。

さっそく出来上がったモックでテストプレイをしてもらいます。
幸いなことにゲーム制作者の友人も増え、最近では比較的気軽にテストしてもらえる環境があります。
その日も「今週水曜ボドゲで遊ぶついでにテストしてくんない?」という感じで言って、桜遊庵の折口さんとやおよろズ/HJのねいじまさんに遊んでもらったのですが、そこでの評価は今ひとつでした。

なんというか、すごいダメ出しがあったわけではないのですが、
「う~ん……」「なんだか……」「つまらないわけじゃないんだけど……」
というような、反応です。

ゲーム制作者の皆様、デジャヴありますよね!?
そうです。これは失敗作だった時のあの反応です!
感想の語尾がすべて「……」になるやつです!

今2人の顔に浮かんでいるのは、脳内で傑作だったはずのゲームが、外気に触れて劣化し、実際のプレイによってボロボロと崩れ去っていく時のあの表情です。

状況を察知し、素早く試作を片付けた僕は、次の『をかしや』のテストプレイを促すのでした……

(続く!!)

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