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「国勢調査のあった年」を振り返って愕然とした話。

国勢調査の封筒がポストに届いた。
5年ごとに行われる国勢調査は、統計法(平成19年法律第53号)により、国民全員が調査項目に回答する義務が定められている。

5年に一度ということは、前回は2015年に実施されたはず。回答そのものをネットで行った記憶はあるが、どんな質問だったのか思い出せないのは、国勢調査への興味がその程度でしかないということだ。

だが今回は違う。なぜならそれは、私が28歳(最初の離婚)以来、世帯主でなくなってから初の国勢調査だからだ。
ちなみに、事実婚の頃は私も世帯主だったので、国勢調査の用紙は2部届いていた。その点でも、今回「そっか、世帯が同じだから一部しか届かないのか」と新鮮な気持ちでこの用紙を受け取った。

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前回の国勢調査があった頃、私は足立区の狭い1DKのマンションで孤独に暮らしていた。
物書きは自宅仕事なので、意識して誰かと会ったりしなければ、平気で1週間くらい引き籠もってしまう。

わずかな外出はスーパーとコンビニだけ。会話するのはレジの人と宅配の人くらい。それだって便宜上必要なことだけで、雑談などできるはずもなく。唯一の日常会話は、週一くらいで電話をしてくる、かまってちゃんな父親だけだった。

さらに5年前、41歳の私は、中目黒で事実婚状態の元ダリンと暮らしていた。
同棲を始めた当初あった「入籍しない」理由は、この頃すでになくなっていた。だが同時に「入籍する」きっかけも失っていた。そのことで父と気まずくなったり、相手の親族とのつきあい方がわからず元ダリンともギクシャクしたりしていた。

事実婚は、第三者(特に考え方の古い親世代)からは理解されにくい。当事者がポリシーを持ってなければ説明も難しい。今思えば、この頃から「いつか終わる」未来は見えていた。

さらにさらに5年前、36歳の私は犬とともに目黒で暮らし、失恋やデートレイプで男性不信に陥ったり、そこから元ダリンが救い出してくれたりと、ジェットコースターみたいな生活を送っていた。
この年は結構な人生の転機だったので、国勢調査があったのかも覚えていない(義務だから提出したはずだが)。

さらにさらにさらに5年前、31歳の国勢調査はハッキリ記憶に残っている。なぜならば、初めて「世帯主」としてこの用紙を受け取り、回答したからだ。
その前の26歳は元夫が世帯主だったし、その前の21歳は(同棲していた男と別れ)実家で厄介になっていたから、父が世帯主だった。国勢調査というものがあることは何となく知っていたが「自分とは無関係なもの」だと思い込んでいた(実際は、世帯主である元夫や父がやっていたはず)。

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国勢調査をきっかけに過去を5年単位で振り返ってみて、つくづく自分は落ち着かない人生だったと呆れてしまう。住居も身分も、毎回異なっているとは。

今から5年後、56歳になる私は、どんな人生を歩んでいるだろう。

現在引っ越しを考えているので住居はおそらく変わっていると思うが、世帯主(旦那)は同じであってほしい。この先もずっと私を飼っていてくれることを、心から願う。

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