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映画「カイジ」レビュー

2009年公開の映画「カイジ」。原作の漫画は1996年頃に読んだ記憶があったが、その感動が蘇った。

あらすじは、特にこれといった取り柄もなく、コンビニのバイト代で日々の生活を送っている30歳前の青年カイジが、ヤミ金融の罠にハマり、借金を返すため、命を張ったギャンブルに巻き込まれていくというもの。

「ざわざわ……」などの擬態語で知っている方もいるかもしれない。

主演の藤原竜也はじめ、香川照之、天海祐希、松山ケンイチ、山本太郎などが脇を固め、当時は今ほど有名でなかった鈴木亮平、吉高由里子、そして原作者の福本伸行も出演しているらしい(顔がわからなかったが)。

今回観て響いたのは、石田のおっさん。

少々ネタバレになるが、人生で負け続け、家族も夜逃げさせるなど、ダメダメで臆病な石田のおっさんが、最後に男を見せる。

人間には、「土壇場で奮い立つ人間」「怖気づく人間」の2種類いる。自分は後者で、もうどうやっても勝てない、生き残れないと悟り、せめてもの希望を、家族のことをカイジに託す。

そして、声もなく、黙って死んでいく。叫び声でカイジに恐怖や動揺を与えないため、ただそれだけのために。臆病でダメダメだった人間が、最期に見せた思いやりと矜持に、胸が熱くなる。

「カイジ」の魅力は、ギャンブル自体のハラハラドキドキもさることながら、このような土壇場で発揮される生々しい人間ドラマが胸を打つ。

興味を持たれた方は、ぜひ。

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