遠い勝ち点 vs町田 0-1

久々の有観客試合

 7/10からプロリーグの観客の入場が条件付きで認められ、敷島にもサポーターが帰ってきた。キャパの50%以下、チャント禁止等々制約は大きいものの、スタジアムで試合が見られることは、1つステップを進んだと言えるだろう。まだまだ先行きは不透明だが、純粋にサッカーを楽しむ日々が帰ってくることを信じ、耐えるしかない。

 再開後も連敗、開幕から見れば3連敗という、最悪と言えるスタートを切ったが、ある種見慣れた戦績と言えなくもない。そんな恒例の悪い流れで迎える今節の相手は町田。長期にわたる相馬体制で行われ、一世を風靡した超圧縮サッカーと決別し、今季から、お馴染みのポポヴィッチが指揮を執る(数年先にはACLというプランを描く経営陣なのに、結局呼んでくるのは前の監督なのかというツッコミはしたくなるが、人のこと言えないので自重)。深津康太や秋元陽太といった対戦することの多いメンバーに加え、安藤瑞季、吉尾海夏といった将来有望の若手もいる。そして、一昨年J2で大きなインパクトを残した平戸太貴が攻撃を組み立てる。ここまでは3分けと未勝利ながら無敗という、何とも言えない滑り出しだが、噛み合えば怖いチームなのは間違いない。

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  群馬は前節大宮戦からノーチェンジ。一定の手応えを感じていたということか。ベンチには今季初めてジャスティンが入った。

 対する町田も、再開後の2試合と同じメンバー。ベンチには、幾度となく得点を決められている中島裕希も控える。どのタイミングで動いてくるかも1つのポイントとなる。

前半

 序盤から慌ただしい展開。5分、CKに内田が合わせるが枠を捉えられず。10分には、吉尾が右サイドからカットインしてミドルを打つも、辛うじて慶紀が反応。それによって与えたCKから水本に決定機が訪れたが、ここも慶紀のファインセーブ。4試合目にして、早くも10点以上慶紀に救われている気がする。この場面はスクランブル的とはいえ、ファーの水本がフリーになってて、セットプレーの守備は相変わらず課題。

 21分、この試合最大のチャンス。相手のパスミスを拾った中山がGKと1対1に。しかし、間合いを詰められてシュート打てず。左で撃ちたいのは分かったし、ボールを持った時の体の角度的に進むコースが限られていた。決めてほしい場面ではあるが、ああいう1 on 1が難しいのも分かる。次のチャンスで挽回することに期待。

後半

 3試合ぶりに無失点で折り返すことに成功。しかし、後半になってもCKからゴールを脅かされる。50分、平戸のインスイングのボールに深津が合わせる。ここも慶紀が反応して何とか防ぐ。
 56分、チャンスがありながら決めきれない町田が動く。安藤に替えて中島。タイプの違うFWを投入し、DFの裏を狙う。68分、その中島が体の回転を利用したシュートを放つが、ここも慶紀がセーブ。

 瀬戸際で防いでいた群馬だったが、75分に均衡を破られる。町田のパスワークに翻弄されボールウォッチャーとなり、最後は高江に仕留められる。直前のプレーで平戸が負傷し、一時的に数的不利となっていたことも影響したかもしれないが、重心が下がりきってしまい、セントラルの2枚ともがペナ内に入ってしまっていては対応は難しい。失点時のフェーズの前に、一瞬ボールを奪いかける場面があり、そこで中に入れず切っていればとも思うが、「たられば」は通用しない。

 失点後、反撃に転じたかったが、守備に追われる時間が続く。ボールを奪う位置も低いので、ブロックを形成された相手を崩すことができまい。ATに七聖が惜しいボレーを放つが、秋元が流石の対応を見せた。

 そのまま時計は進み、4連敗。

雑感

 大きな収穫があったわけではないけど、そこまでの失望もなく。負け癖がついていないことを祈るが、負けても納得の展開。我慢の時間は続く。

 正直、攻撃と守備では守備の方が優先順位が高いと思う。自分たちがボールを持つサッカーをするためにも、守備を構築しなければならない。前からプレスを掛けるタイミングは広大の指示もあり、メリハリがついている。一方で、プレスを掛けた後に奪いきれないのが大きな課題である。せっかく追い込んだのに、上手くいなされて前進を許す場面が散見される。ボールを刈り取るポイントを定めないと、プレスの意味はなくなる。誰が刺しに行くのか、どこで囲むのか、そういった意識の共有が求められる。
 続いていたセットプレーの失点は慶紀の活躍により、防いだ。ゾーンの難しさが如実に表れている。50分の深津のシーンでも、マーカーが高瀬となることでミスマッチが生じ、完全に合わされている。スカウティング、ゾーン・マンツーマンの使い分けなど、引き続き改善が求められる。

 攻撃は、やりたいんだろうなっていう形は朧気ながら見られたが、自陣のビルドアップが覚束ない段階では、理想を実現させるのは難しい。生みの苦しみとして、我慢するしかないのか。にしても、ビルドアップのための選手起用によって、守備の脆弱性という対価が大きすぎるのは気になるところ。
 場面によっては、シンプルに前に付けることも必要ではないだろうか。過去の例を見ても、
 ・GKやDFのフィードで陣地回復する大分
 ・ヨルディバイスのフィードで縦にスイッチを入れる徳島
 ・DFラインの裏を狙い、オルンガとクリスティアーノが回収して攻める柏
など、効果的に縦の長いパスを織り交ぜることで、形勢を変えることも可能となる。勿論、縦一辺倒だけのキック&ラッシュは対策されやすく、昨季最終盤の栃木など、泥臭く勝ち点を拾おうと試みない限り、効果的とは言えない。しかし、縦パスが出なければ、攻撃のスイッチは入らない。CBから長いパスを付けることや、高瀬や平尾のオフェンシブな姿勢を活かすことも鍵となり得るだろう。


 綺麗な4-4-2で、自陣から繋ぐのは理想だが、現実を理解せずに理想だけを追いかけた結果どうなるのか、俺たちは2017年に学んだ(普通なら途中で気づいて修正すると思うんだけど)。どこかで、ロマンとリアルの折衷した戦い方を見出すことを願う。そのためのチャレンジなら失敗しても構わない。

 ここから連戦、かつブロックをしっかり敷く嫌な相手が続くけど、課題解決のための糸口を掴んでほしいところ。

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