vs熊本 2-3
長らく使用していたホームスタジアムでのラストマッチを勝利で飾ろうと意気込む相手の地力を見せられる形となり敗れた前節。少ないながらゴールに迫った機会を先にモノにできれば別の展開になったかもしれないと思いつつも、そういう試合で試合を動かせるのが順位表で上に位置するチームなのだろう。
今節にも降格が決まる可能性があったが、大分が藤枝に勝利したため、ウチの試合を待たずして降格圏が確定。よっぽどの天変地異のような事態が生じない限りは2025シーズンはJ3で戦うこととなる。
来シーズンのカテゴリが決まったとて、今シーズンの戦いは終わらない。何か少しでも成果を掴むべく迎える今節の相手は熊本。今はどこと戦っても厳しい試合になるが、ここ数年苦手とするチーム。
5年目となった大木政権だが、今シーズンも苦しみながらも少しずつ勝点を積んでいき、残留にある程度の目途が立つ。今節もポイントを積み、40の大台に乗せれば安全圏となりそう。
シーズン序盤は3-4-3を採用していたが、一時期は大崎を頂点に置いた3-4-2-1が多くなっていた。ただ、6月のフリエ戦で5失点を喫した後から中盤2枚を縦関係にした3-3-1-3を基本とする。上村が中盤の底で効いているのはいつも通りだが、夏に加入した唐山が結果に直結する働きを見せている。
ミッドウィークに行われた未消化分の甲府戦では前半4発で試合を早々に決めており、目下3連勝中。前から掴みに行ってエラーを誘発し、一気に仕留めて甲府戦ではゴールを奪った。
WGで幅作り、前線の中央はCFとトップ下がローテーションで必ず片方が浮くなど、守備をする側とすると捕まえにくくて厄介。毎回スペースを自由に走られている。前回はATに佐川の一発で何とか同点に追い付いたが、かなり苦しんだ。大木さんが個々の局面を強調してくるのは間違いないが、ウチも緩いプレーを擦ればすぐに刈り取られて失点に直結する。戦い方どうこう以前に、ボールの運び方・失い方に細心の注意を払う。
メンバー
ウチは前節から1枚変更。酒井→瀬畠。前節は契約上出場できなかった瀬畠がスタメン復帰して3CBの中央に入り、それに伴って小柳が右に。ベンチには和田が戻ってきた。
対する熊本はミッドウィークの甲府戦から1枚変更。唐山→松岡。
前半
熊本のキックオフで始まった試合は立ち上がりから熊本がボールを持つ時間が長く、押し込む展開。
熊本はWGとWBがどちらも大外まで広がって幅を作ることが最初の作業となり、そこからレーンを被らないように動き出してボールを引き出す。その2枚に加えて石川か古長谷のどちらかが必ずボールサイドに流れていくので、一見するとノッキングするのではないかと思うが、距離感を適切に保つことであまり詰まらずに前進する。加えて、1つのパスのテンポが速いので、そこに3人目の動きがあると簡単に突破できてしまう。
それと、後ろ3枚+上原で回す際にウチがプレスを掛けて引っ掛けようとパワーを割いた場面で上原とWBを上手く使って一度深さを作るので、ウチのプレスの矢印が折れる。それとともに、1stプレスを剥がされた後に上述の両サイドをケアしようとすると、中央で石川に簡単に楔を通される。ライン間で漂う石川はただでさえ捕まえにくいし、ウチのCBもCHもサイドの数的不利を解消しなければという状況も相俟って、何本も石川に前を向かれた。
ウチの陣内で熊本がパスを繋ぐ時間が長かったが、ウチも要所は締めて何とか失点しないように対応する。
29分、防戦一方に映っていたウチが先制に成功する。熊本のクリアを回収して櫛引からやり直す。櫛引→勇利也→風間→惇希と繋ぎ、惇希は足裏でボールを動かしながらタイミングを探り、風間に預けて急加速してワンツーで左サイドを進む。ミドルサード深くの左大外で2枚を引き付け、ハーフスペースに走ってきた梨誉に渡すと、梨誉は走ってきた勢いを殺すことなく前に運ぶ。梨誉には上原が付いてきていたが、躱し切る前にグラウンダーのクロスを入れる。そこにDFの背後を取っていた平松が滑り込んで右足で押し込んだ。
組み立てはウチが普段から取り組んでいるであろうものが現れた。惇希と梨誉の動きは効いたし、最後の平松へのピンポイントのクロスも見事。平松もFWとしての矜持。ようやく今シーズン初ゴール。
苦しい展開ながら先制して多少優位に進められるかと思いきや、リードを保った時間は僅か4分だった。33分、瀬畠のクリアを三島が拾い、上原を経由してボールは江崎へ。江崎はノープレッシャーであることを察知して少し前に運んでから上原に戻す。上原は今度は左の松岡へ。松岡のアウトスイングのクロスは瀬畠が頭で弾き返すも、ボールは右サイドの大本へ。大本はフェイクを入れて惇希の飛び込むタイミングを消し、左足でシュート。これが古長谷の背中に当たってコースが変わってしまい、ゴールに吸い込まれる。
シュートそのものはアンラッキーな面もありながらも、そもそも底に至るまで熊本のボールホルダーに対してウチはほとんどチャレンジできていなかった。中を締めようという意識はあったはずだが、じゃあサイドに押し出せていたかと問われれば…。
すぐに同点に追い付いたことで熊本は動揺もなく、これまで通りボールを持つ。面白いように楔が刺せるのでバイタル手前までは造作なく前進できる。そこから先は流石にウチも簡単に突破させないが、着実に押し込まれていく。
43分、熊本がCKから逆転。豊田のグラウンダーのボールを石川がスルーし、その後ろの古長谷が右足で合わせる。ここは小柳が身体を投げ出してブロックしたが、こぼれ球を再び古長谷が右のアウトに掛けてシュート。スクランブルな状態だったが、咄嗟のアイデアでゴールを奪った。
相手の用意してきたスペシャルプレーだったが、ショートCKでやられるのは今シーズン数え切れないほど見てきた。外にいる選手に対して反応する難しさは理解できるが、ボールが入った後に足が動かないのは頭を抱える。唯一反応の速かった小柳が一度は防いだが、二度目はなかった。
ワンチャンスをモノにして先制したものの、またもビハインドで45分を終える。
後半
後半も基本的には熊本がボールを持つ局面が多めだが、ウチも惇希と梨誉が推進力を活かして前進する術を得る。平松で1つボールを落ち着くポイントを作れるのと、梨誉が相変わらずのターンの上手さを見せて前を向けるのが大きかった。
60分、ウチは風間→アマ、平松→河田の2枚替え。
62分、ウチが試合を振り出しに戻す。最終ラインでボールを回し、瀬畠から梨誉に縦パスを入れると、梨誉は左大外に張った惇希へ。するとアマがハーフスペースをそのまま走り抜けていって、外側で受ける。アマは一つ間合いを取りながら内側をスプリントした惇希を選択。惇希は角度にないところから深い切り返し2つで相手を剥がして左足でクロス。これにファーに入ってきたエドがヘディング。田代が手を伸ばして弾き出したものの、こぼれ球を樺山が低く抑えるようにして打ち込んだ。
瀬畠でスイッチを入れ、そこから梨誉も惇希もアマも前を目掛けてのプレー選択ができた。惇希のクロスの質も良いし、エドも走り込んで競り勝った。樺山のシュートも上に飛んでいく可能性があったし、良く腰を回すようにして枠に飛ばした。
失点前から交代の準備をしていた熊本は62分、松岡→竹本で最初のカードを切る。
70分、ウチの決定機。ピッチ中央で瀬畠からパスを受けた仙波が身体を左サイドに開くようにしてボールを持ちながら、身体の向きからは90度右に向かってロングフィード。このボールに惇希が反応し、カットインを匂わせながらも左に押し出してそのまま左足を振り抜く。股を抜くような弾道だったが、田代が足を出して反応して防ぐ。
79分、熊本は大本→藤井、ウチは樺山→北川。
残り時間も少なくなってきたが、ウチはボールを持てず流れが良くないなりに対処している。熊本の狙いとしてべったり深くまで押し込むわけではない分、ウチのラインもズルズル下がらずにキープできていた。次の1点を得るために裏に引っ繰り返すボールでジャブを打つことも多く、どこかで1つ形にしたいという思惑。
86分、上原のFKは際どいコースに飛んだが、コースを重視手ボールスピードがやや緩かった分櫛引が反応して掻き出した。
90+2分、エド→田頭で最後の交代。
その直後、スローインを受けた岩下が右足でクロスを入れると、これが誰にも触れられることなくそのままゴールネットを揺らす。
そもそものスローインがマイボールではないかと抗議し、尚且つ交代によって嫌な間が空いた。加えてスローインのあるサイドの交代。難しい要素は考えれば出てくるが、そんな目に見えないもので考慮できるものは少ない。岩下にアプローチできずにクロスを上げさせたのは結果論としては良くなかったし、櫛引の対応もエラーだという印象は拭えない。試合最終盤の重要な場面でエアポケットに入ったかのように何もできなかった。
結局ATのゴールが決勝点となり、2-3で終了。
雑感
終了間際にやられる試合が今シーズン何度目か数える気もないが、慣れというものは怖いもので、見ている分にはダメージもさほど大きなものではなくなってしまった。
逆転されてから追いつくところまで行ったのは良い部分。ただ、そこから自分たちのコントロールミスで勢いを削いで守勢に回ってしまうのは勿体ない。そう簡単には行かないけど…。
相手の3つのゴールはどれもビューティフルな部類だが、細部でウチが寄せられないとかに起因する。不運で片付けられない。そこを改善できなければ、またおなじような失点を繰り返す。
残りの5試合で何を示すか?
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