祀亀洞_510

祀亀洞(Shikido_510)と申します。50代半ばでサラリーマン生活に終止符を打ち…

祀亀洞_510

祀亀洞(Shikido_510)と申します。50代半ばでサラリーマン生活に終止符を打ち、大学院で学び直して(M. A. )、いまは月の半分ほど図書館勤めをしながら、歴史や文学に登場する両生類や爬虫類、特に文化的存在としての亀を調べています。

最近の記事

亀歩当棒録014.野鳥のヒナを見つけたら…だけどそこは国内じゃなかった(2002年11月)

 グアム島から船で20分ほど沖合いにあるココス島という丸ごとレジャー施設化された島での出来事です。ダイビングに出かけた妻を見送り,当時1歳8ヶ月の娘と歩いていると,日本じゃ見たことのない鳥のヒナが庭石の上にチョコンと乗っかっているではありませんか。うわぁ~,どうしよう。巣立ち雛かぁ?  普段は「巣立ち雛には手を出さないで」なんてちょっと知ったかぶり風を吹かせているわたしですが,頭の中は真っ白に。異国の島でヒナを拾っちゃってもねぇ。何もできないことはわかりきっているけれど。

    • 亀歩当棒録013.御蔵島山麓にオーム鳴く(2011年10月)

       東海汽船で早朝に御蔵島に着いて,まず島の鎮守の稲根神社に参拝。旅の無事と島内散策のお許しを願う。ん,よし。じゃあそろそろ行きますかぁ― と参道を引き返して歩き出すと,遠くに鳥の影が。何だあれ?  山の斜面,大型の鳥が樹の枝にふんわりと舞い降りた。サイズ的には一瞬カラスかトビかと思ったけれど,やけに鮮やかな黄色と青の羽。  えっ?あれコンゴウインコ!?  ルリコンゴウインコ(瑠璃金剛鸚哥)。動物園などでお馴染みの,南米原産で世界最大級のインコだ。それがなんで伊豆諸島の御

      • 亀歩当棒録012.伊豆大島のヒイミサマ:序(2006年2月)

         伊豆大島の泉津地区をぶらついていたら,なにやらそこだけ雰囲気が異なる空間に出くわしてしまった。目の前には「ヒイミサマの伝説」と書かれた案内板。 ヒイミサマの伝説 往昔 泉津に暴政を行う者があり これに耐えかねて義憤に燃える泉津の若者二十五人が正月二十四日の夜陰に乗じてこれをうち殺し その夜のうちに波治加麻神社の境内の杉の木を切り倒して作った丸木舟に乗って島を脱出した。近くの島に逃れたが後難を恐れて容れられず いずこともなく海上に行方を絶った。毎年正月二十四日の夜はその二十

        • 亀歩当棒録011.かつて小岩に存在した台湾料理の銘店(2010年11月)

           かつて小岩には知る人ぞ知る台湾料理の銘店がありました。お店の名前は揚州飯店。台湾出身のご主人と,いつも明るい奥さまの,たったふたりで切り盛りしている小さなお店でしたが,確かな味で連日客足が途絶えることはありませんでした。  JR小岩駅南口から徒歩で6~7分ほどの場所にあった揚州飯店。ご主人の揚さんは台湾南部のご出身で,1900年代半ばに日本へやってきました。数年間の準備期間を経て小岩で創業。爾来およそ半世紀にわたり街の発展とともに歩んでこられました。主人自ら腕をふるう料理

        亀歩当棒録014.野鳥のヒナを見つけたら…だけどそこは国内じゃなかった(2002年11月)

          亀歩当棒録010.徳島で出会った和菓子の神さま(2013年2月)

           帰宅間近の高速バスの待ち時間。娘たちへの土産を探すために徳島駅前をぶらついていると,いかにも老舗っぽい和菓子屋さんを発見。何か地元ならではのものはないかなぁ…ごめんくださーい。  迎えてくれたのは物腰柔らかい上品な雰囲気の素敵な老婦人だった。  「いらっしゃいませ。どうぞ,奥へどうぞ」  ありがとうございます。わたし,これから東京に帰るんですが,子どもらに土産をと思いまして。  「ああ,そうですか。ごゆっくり選んでって」  穏やかな語り口から発せられる言葉は,わた

          亀歩当棒録010.徳島で出会った和菓子の神さま(2013年2月)

          亀歩当棒録009.沖縄本島でタクシーに乗ったら(2006年10月)

           世界遺産であるセーファーウタキ(斎場御嶽)は沖縄本島最大の聖地とされる。沖縄開闢の神であるアマミキヨは,まず久高島,そしてその次にセーファーウタキ降り立ったといい,御嶽のいちばん奥のウガンジョ(拝所)であるサングーイ(三庫理)には,かつて沖縄で最高位のノロ(神女/祝女)であるキコエオオキミ(聞得大君)しか入ることが許されなかった。  今はもちろん観光OK。自然の造形の妙である三角の岩屋を抜けると,そこからは神の島である久高島の姿を遥拝できる。遠く太陽が昇る方角には神の島・

          亀歩当棒録009.沖縄本島でタクシーに乗ったら(2006年10月)

          亀歩当棒録008.波郷が詠んだ妙見島を歩く(2008年1月)

           江戸川区と浦安市の境を流れる旧江戸川に浮かぶ,南北およそ700m,東西およそ200m,面積8haほどの島。それが妙見島(江戸川区東葛西)。葛西橋通り浦安橋から測道を降りれば即到着の,自分の足で歩いて渡れる島である。東京23区内に島はいくつもあるものの,人工島ではない,自然島は,現在この妙見島くらいだという。コンクリート護岸で囲まれ,まるで要塞のような島内は,ほとんどを企業の工場で占められ,大型ダンプカーがひっきりなしに行き交うため,常に周囲に注意を払っておかなければ危ない…

          亀歩当棒録008.波郷が詠んだ妙見島を歩く(2008年1月)

          亀歩当棒録007.南大東島のお地蔵さん(2009年3月)

           八丈島の痕跡を探しに南大東島に来たんですよ―到着早々,宿の主人にそう切り出したら,  「八丈文化の跡がみたいなら“お地蔵さん”を見なきゃ。あれこそ“ザ・八丈”って感じですよ」 と,すぐさまそんな返事が。ふ~ん,そうですか。そんなもんですか。南大東島のひとからすれば「地蔵信仰=ヤマトンチューの文化=八丈文化」といった連想になるのかな?もちろん八丈島に地蔵はたくさんありますが,わたしの感覚では必ずしも「八丈島=お地蔵さん」というほどではなかったので…ちょっと不思議。  と

          亀歩当棒録007.南大東島のお地蔵さん(2009年3月)

          亀歩当棒録006.与那国島のスーパーレディ(2011年3月)

           「ごめんくださぁーい 」とガラス戸をひけば,カウンターの手前に20代半ばくらいの若者と,それに相対する年配のご婦人の姿が。あっ,この方が!  与那国島旅行の初日。娘(10歳になった記念の父娘ふたり旅だった)を連れて祖納の集落を散策中に,まず探したのが与那国民俗資料館。私邸の一部が展示室になっていて,室内にところ狭しと民具が陳列されている。この資料館の主宰が大正8年(1919年)生まれの池間苗さんだ。  ともかく私の与那国への旅の幸運は,空港のせまい待合室で,  池間苗さ

          亀歩当棒録006.与那国島のスーパーレディ(2011年3月)

          亀歩当棒録005.仁右衛門島の島主夫人と話したこと(2010年5月)

           千葉県最大かつ唯一の有人島で,個人所有の島でもある仁右衛門島(千葉県鴨川市太海浜)。島主である平野家のお屋敷は,観光客のためにその一部が開放されている。渡船で島に渡り,少し歩いて“平野仁右衛門”の表札がかけられた門をくぐると,そこには年代ものの木造家屋が佇んでいた。  手入れの行き届いた庭には観光客相手に屋敷の説明をしている,いかにも品のよい物腰柔らかなご婦人の姿が。もしやと思って声をかけてみる。ひょっとして平野家の方でいらっしゃいますか?  「ええ。わたし,平野仁右衛

          亀歩当棒録005.仁右衛門島の島主夫人と話したこと(2010年5月)

          亀歩当棒録004.三宅島で子どもに叱られた話(1999年7月)

           初めての三宅島は噴火の前年だった。タイドプールの長太郎池で磯遊びをしているうちに,いつのまにか島の子どもたちと一緒になっていた。人見知りせず話しかけてくる幼い女の子を喜ばせてあげようと,ヤドカリを何匹もGETして得意になって「ほら見てごらん」と見せびらかすと,意外にも「ちゃんと元いた場所に返してあげるんだよ」とたしなめられてしまった。小さな子どもが自然や小さな生きものの命を尊ぶ姿勢を身につけているということへの驚きったら。  さらににその女の子はこう続けた。  「悪いこ

          亀歩当棒録004.三宅島で子どもに叱られた話(1999年7月)

          亀歩当棒録003.タキワロを見島に里帰りさせたこと(2015年10月)

           初めて山口県萩諸島の見島を訪れたときに泊まった“I旅館”には,廊下や部屋に数多くの絵が飾ってあった。オーナーの娘さんが描いたものだった。とても素敵で印象的な作品ばかりだったので,夕飯のときに思いきってご本人に話しを伺ってみたら,少なからず共通する縁も見つかって,すっかり話し込んでしまっていた。  そのとき拝見させてもらった彼女の絵本が『タキワロ』(長崎出版,2006)。赤い顔に童の姿をした見島に棲む妖怪で,タキ(島の言葉で「崖」のこと)の上から石礫を落とす悪戯をするとか,

          亀歩当棒録003.タキワロを見島に里帰りさせたこと(2015年10月)

          亀歩当棒録002.頭ヶ島の片隅で(2007年11月)

           新上五島町にある重文指定の教会が見たくて頭ヶ島(かしらがしま)へ出かけたのは,まだ教会がユネスコ世界遺産の暫定リストに入ったばかりの頃だった(正式には2018年6月に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」として世界遺産登録。頭ヶ島教会は「頭ヶ島の集落」景観に包括する扱いで決着した)。頭ヶ島は五島列島最東端の島で,新上五島町の中心部にあたる中通島からわずか海を隔てて東北に位置する,周囲8.2キロ,面積1.88平方キロの小さな島だ。  頭ヶ島教会は西日本では唯一の石造りの

          亀歩当棒録002.頭ヶ島の片隅で(2007年11月)

          亀歩当棒録001.青ヶ島でミコさんにお世話になった話(2008年5月)

           あのとき青ヶ島の宿を“Y荘”に決めたのは,島のミコさんで大正生まれの“K子ばぁ”がご健在だと聞いたから。南部伊豆諸島(八丈島・八丈小島・青ヶ島)には独特の民間信仰があって,青ヶ島にはまだそれが色濃く残っていると。琉球のシャーマンはユタと呼ばれるが,南部伊豆諸島ではそれをずばりミコ(巫女)という。これは誰もがなれるわけではなく,ミコケ(霊媒の素質)を持つ人物が,カミソーゼ(神奏ぜ)という儀礼を経て認められる。かつて青ヶ島の祭祀は神主,ウラベ(卜部),シャニン(舎人)と,さらに

          亀歩当棒録001.青ヶ島でミコさんにお世話になった話(2008年5月)

          ハンドル,なんて読むの?

           自分のハンドルを解説するなんて野暮の極みかもしれないけれど,ときどきリアルにお会いするひとたちもいるので。  もともと「獺祭魚」という言葉があって,そこから一捻りして祀亀洞にしました。祭亀洞でもよかったのですが,サイキドウじゃパソコンのリスタートみたいだし。以前「シキド」と発音された方もいましたが,「シキドー」だと喜んで反応します。  で,獺祭魚・獺祭ですが,カワウソ(獺)が捕らえた魚を並べる姿が,まるで供物を捧げて祭っているようだから…に由来するそうです(本当にそんな

          ハンドル,なんて読むの?

          ABOUT / 關於

          ◇Handle / 網名  shikido_510 / 祀龜洞_510 ◇Address / 住址  Tokyo, Japan / 東京, 日本國 ◇Object of enquiry / 探求对象  Herpetology, Cultural-traditionology, Islands travel  爬行兩棲類学, 日本民俗學, 離島旅遊 ◇SNS usage history / 類SNS使用歷史  2020, May. Start note / 啟動

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