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「この世界の片隅に」を推したい

こんにちは。四季です。

劇場アニメ「この世界の片隅に
見よう見ようと思っていて見れずにいた作品。今日、やっと見ることができました。
本当に、めちゃくちゃ良かったです。久々に映画を見て泣いてしまいました。

実は原作漫画を最初に読んだのはかなり昔で、その頃から無人島に一冊持って行くならこの漫画!ってくらい好きな作品だったのですが、最初に映画が公開されたタイミングが丁度受験期と被っていて、見に行けずにいたんですね。
それが2016年だったんですけど、その3年後に泣く泣くカットされていた原作シーンを補完した完全版「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」が公開されまして。でも、そのタイミングも受験生だったんですよね、私……。

で、長い時を経て、アマプラで再びめぐり逢い、やっと見ることができたわけです。やっぱりすごく良い作品でした。私が見たのは、2019年に公開された完全版の方だったのですが、原作をとても忠実に再現していて、製作者の方たちの作品への愛がものすごく伝わってきて良かったです。

今回はネタバレの無い程度に、「この世界の片隅に」の魅力を語りたいと思います。


ジャンルは無い

本作品の舞台は、昭和19年から20年の広島県呉市です。
広島市で生まれ育った主人公の「すず」が、呉市にお嫁に行って、それから2年余りの日常を描いた作品です。

時代が時代なので、背景にはもちろん”戦争”があって、生活様式が現代と違ったり、警報や爆弾といったものも出てきます。でも、いつの時代も人間って変わらないんです。恋をしたり、喧嘩したり、友達と笑い合ったり、家族で団欒したり……。だから、約75年も前が舞台なんですけど、平成生まれの私でも、どこか共感できる所があったり、ほのぼのできたりします。

そして、物語はすずさんの視点でずっと進んでいくのですが、他の登場人物にもそれぞれ人生があって、それが色んな所で顔を出すんですよね。

まるで実在する人間と思うくらい登場人物に人間味があって魅力的で、見ていくとどんどんその世界に飲み込まれていきます。なかなか人間関係も複雑で、見れば見るほど発見があると思います。私はこれが楽しくて、何度も原作漫画を読んでいました。

以上のことからわかっていただけると思いますが、本作品のジャンルは何かと聞かれると、すごく難しいんです。なんといってもこの作品は、ある時代の、世界の片隅に生きたすずさんの人生の切れ端ですから。それを私たちが見させてもらってるだけなんですよね。

人の人生って、たった数文字の単語でジャンル分けできるものじゃないですもんね。


「すずさん」と私

主人公のすずさんは、絵を描くのが好きな、ちょっとボーっとしたどこにでもいる女の子です。おっちょこちょいで、忘れっぽくて、子供っぽい。でも素直で頑張り屋な彼女。

そんな主人公が必死に生きる姿に、きっと多くの人が自己投影し、応援してしまうと思います。私は特に趣味が共通していたりボケッとしていることが多いので、すずさんに自分を重ねて見ていました。

それぐらい入り込める作品ってことです。
そして、見終えると、現実の世界に引き戻されるわけですが、昭和20年の日本で生きる「すずさん」から、ちゃんと令和5年を生きる「私」へ戻って来れるんです。

原作漫画1ページ目に、下のような献辞の文が書かれています。

この世界のあちこちのわたしへ
こうの史代「この世界の片隅に」前編

すずさんは、原作者こうの史代さん自身であり、私たちなんだと思います。とある時代の世界の片隅を生きる「すずさん」の生き様は、この瞬間を頑張って生きている私たちの背中を押してくれます

全ての人に人生があり、物語がある。歴史に残るのは大きなことをした人だけだけど、そうじゃない人でも、その生き様はちゃんと物語になるんだ、そんなことを思わせてくれます。とても前向きな気持ちになれる作品です。



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