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金なし、知識なし、経験なし、から始めるお店探し④ 妻にローンを組ませてみる

こんにちは、ばるじぇのの太い方です。

自己紹介はこちらをどうぞ。
また、前回のお話はこちらです↓

前回は、一目惚れしたお寺を購入しようとしましたが、結果的にNGだった話。

今回は、結婚詐欺みたいなタイトルですが、偶然出会った町家を購入するためにローンを〈妻が〉どのように借りるかの奮闘記です。

当時(2021年11月)のぼくたちのステータス▼

  • ぼく、会社員(東京・人材)31歳

  • 妻、会社員(東京・食品EC)30歳

  • 娘、保育園 2歳

  • 資産: 約1,300万円

  • ぼく、妻ともに正規雇用での飲食未経験

まずは地銀にジャブをうってみる

お寺を購入しよう!と、まずローンの仮審査を出したのは地場の有力銀行である北●銀行さん。

なぜ選んだかというと、再度ファイナンシャルプランナーさんにお話したところ、地銀で借りれるかどうかの温度感を知っておくべきだということ。

しかし、軽い気持ちだったからか、この仮審査は結局ボツで終わりました。

その理由は具体的にはお伝えできないとのことでしたが、ローンの額も4,000万と高額でしたし、何より東京にいる夫婦がなぜ金沢に?という懸念は拭えないものだったのでしょう。

そして、お寺には泣く泣く辞退の連絡をしました。

奇跡的なご縁で出会った町家

同時期。
妻の叔母から、妻にこんなLINEが入りました。

「旦那の旧友が金沢の町家で私設図書館をやってるけど、そこがもう店仕舞いするんだって」

聞けば、妻の叔母の旦那さんと図書館の館長さんは大学同期(40〜50年前)らしく、現在でも交友は続いているとのこと。

何ともタイミングがよく、閉館前に訪問したいとの思いで金沢旅行をされていた叔母夫妻は、ぼくたちが飲食店をやろうとしていることも知っていたため、外観や内観の写真も送ってくれました。

外観
厨房
川の見える客席

送られてきた写真を見るからに、ザ・町家の由緒ある出立ちと、内装も綺麗で、部屋数も多く、館長さんの先代のオーナーが割烹をやっていたということで、厨房機器も残っていました。

何より気に入ったのは川が見える点です。
北陸の冬は曇天、雨、雪、雷と陰鬱極まりないので、豊かな自然が見えることに嬉々としました。

お寺もボツになってしまったので、叔母さんを通してオーナーに急遽連絡することに。

早速、ぼくより仕事の融通がきく妻が、単身で金沢を訪問し、この町家を内覧するアポイントを取ってくれました。

同時に、ローン問題も解決すべく…
町家の助成金も含め、銀行、商工会議所、市役所をまわっての情報収集を依頼しました。

“10LDDKKK” 町家の良し悪し

妻の金沢訪問により、2点の進捗がありました。

  1. 叔母旦那紹介の町家の長所と短所が見えた

  2. 事業計画書を書くべき

まず、今回の町家の長所としては、

  • 土地&上物で1,500万円と安め

  • 厨房機器付き(ガスレンジ、コールドテーブル、シンク、冷蔵庫など)

  • 川が見える

  • 住宅兼店舗でも余りある広さ(10LDDKKK…なんじゃそれ笑)

  • ぼくの実家に近い(車で10分)

そして、短所は、

  • 住宅街かつ高齢化地域である

  • やや入り組んだところにある

  • 冬は超絶寒そう

  • 駐車場がない

  • 自然災害のリスク

といったところでした。

要は、安くて付加価値のある建物だけど、集客するにはネガティブな要素が多い。

とはいえ、ぼくたちの目的は集客ではなく、「なくてもいいけど、あったら嬉しい」程度の空間創りです。

短所を補って余りある長所と捉え、この物件を買おうと決意しました。

そして、もう一点。
銀行、商工会議所、市役所を巡り出した妻の結論は、ローンの再申請&事業計画書の提出で勝負をかけるということです。

戦略に賛同し、いざ再申請。
1回目はNGだった北●銀行に、再チャレンジです。

事業計画書を書いてみる

事業計画書は真剣に取り組みました。

事業のコンセプト、動機、予算案。
動機は書きやすかったのですが、苦労したのはコンセプトと予算案でした。

まず、コンセプト。
ここは単純に「飲食店」だけで伝えるか、「他事業」も加えて伝えるかで悩みました。

他事業とは、その時点で(今も)、空想的なもの。
例えば、私設図書館、場所貸し、農業体験…など思いつきをまだカタチにしていないものです。

単純にやりたいから、という理由もありますが、何せ飲食店だけでは「こいつら未経験のくせに開業なんかできるか」と突っ込まれそうなのを回避したかった、という理由もあります。

なので、複合的な事業である旨を入れてみました。

次いで、予算案。
客単価、回転数、客層なんかを叩き出してみるのですが、まあ今思えば、どれも自分たちを納得させるための数値になっていたと思います。

館長さんは私設図書館&カフェの形態だったので、客層や客数を聞いたりしましたが、結構厳しい数字でした。(その前の割烹は流行ってたらしいですが)

ただ、思考することは楽しかったです(能天気)。

「大学生がバイト帰りに立ち寄ってくれそう」
「子育てに疲れたママさんと子どもを呼び込みたい」
「町内会の会合はウチでやろう」

といった具合に、来てくれるお客さんの顔をイメージすると、「なんとかイケるんじゃね?」と不思議な力が湧いてきました(ほんと能天気)。

ちなみに…一度書き上げた事業計画書を、開業支援のアドバイザーに見せたら「うん、まずは飲食店で修行経験を積んで、何が流行るかをマーケティングして、それからまたご相談に来てください」ということでした(笑)

それが正論だと思います。

飲食店の3年以内生存率はめちゃくちゃ低いらしいですが、「それ見たことか」と言われないよう頑張ります。

再び地銀に赴くも…

2021年も暮れ。
お手製で穴だらけの事業計画書を引っ提げ、
再び北●銀行へ。

ただ、この計画書を見せることはありませんでした。

お話を伺う中で、そもそも地場の銀行とは、「信頼できるお客さんにお金を貸しやすい」とのこと。

その信頼とは、その土地に住み、働き、口座を持つこと、が大きなウェイトを占めるそうな。

確かにぼくたち(主にぼく)のステータスで、お金を貸すリスクは大きいと感じるでしょう。

その上、妻は上記の地銀のローン鉄則にひとつも該当しませんし、ぼくも北●銀行さんの口座には100万円ほどしか定期預金がありませんでした。

だんだん雲行きが怪しくなったので、
「ぼくの父も母も死んだ祖父も御行のヘビーユーザーです!」と謎の捨て台詞を残し、記念受験ならぬ、記念申請をして帰りました。

そして数日後、申請却下のご連絡が来ました。

店舗ではなく住居で申請

いろいろやってみてわかった問題点は、

  1. 地銀は地縁を重視する
    →地縁がないぼくたち

  2. 住宅兼店舗で申請をするには、盤石な事業計画書が必要になる
    →脆弱な計画書しかない

  3. 信用も必要
    →ぼくは金沢行くと無職で信用ゼロ

でした。
なので、打開策として、

  1. 地銀や信金は諦めメガバンクに頼る

  2. 住居のみとして申請する

  3. 妻にローンを組んでもらう
    (フルリモートで働けるため)

としました。

早速、妻の会社のメインバンクである緑色のメガバンクに問い合わせ。対応もスムースで、スイスイ進み、仮申請もすぐに通りました。

居抜き物件でもあるので、住居で申請が通るか心配でしたが、将来店舗になるとしてもその面積が一定数以下であればよいとのこと。

設計士さんに改修図面を引いてもらい、提出。
ちなみに元々ワンオペでやれる範囲を想定していたので、客席数は7席ほど。

本審査は4月ごろにスタートし、何度かやりとりの後、この6月にやっと通りました。ドキドキしました。

で、妻にローンを組んでいただくことになりました。
費用はこんな感じです。

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物件+改修+開業準備=約3,400万円
(ローン2,000万+自己資金1,400万円)
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今後20年、ぼくは妻という事業主のもとで、精一杯働かせていただく所存です。

そして、2023年の春には、金沢に移住できそうです。


ひとまずこの店探しのシリーズも無事終了!
お読みいただきありがとうございました。

【お店探しのシリーズ】

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