忍殺TRPGソロリプレイ【ゴールデンフィンガーズ・リトル・ミッション】
◇前置きな◇
ドーモ。しかなです。最近この系統の記事が連続しているので説明は不要かもしれないが念のため……当記事はニンジャスレイヤーTRPGのソロシナリオを遊んだ結果をテキストカラテナイズした、いわゆるリプレイというやつです。要は読み物だ。お気軽にドーゾ。
さて、今回挑戦(実はプレイしたのは去年なのだが、細かいことは気にしないでほしい)するソロシナリオはラブサバイブ=サンの【墜落飛行船へ潜入せよ】だ。
そして挑戦者は新顔。以下のニンジャである。
ニンジャ名:ゴールデンフィンガー
【カラテ】:3
【ニューロン】:1
【ワザマエ】:2
【ジツ】:0
【体力】:3
【精神力】:1
【脚力】:2
【万札】:-10
持ち物など:
・スシ
▶︎テッコ
▶︎生体LAN端子
○電子戦争退役軍人
生い立ちのおかげで二種のサイバネギアを装着。その分基礎ステータスは低いのだが……まあ生き残れば成長の目もあるだろう。
とにかくいってみよう。よろしくおねがいします。
◇オープニングな◇
《メーデー!メーデー!ブッダファック!墜落は免れない!》《ニンジャ!ニンジャが!アイエエエエ!!》《モウダメダー!オムラバンザイ!バンザ……》
ある日のことだ。オムラ・インダストリが管理するメバチ級マグロ・ツェッペリンがなんらかの戦闘行為を行い、撃墜された。それに伴う死者と株価への影響はこの際さておくとしよう。重要なのは、このツェッペリンがいまだ爆発することなく残っていたということだ。
それが何を意味するか? つまり、ツェッペリン内部にまだ宝が残されているということだ……オムラ最新のテックや電子チップ、そしてシャナイ級プロトコルを含む機密情報フロッピー。
ネオサイタマのアウトローたちがこうした宝の山を前にじっとしているなど滅多にない。既に命知らずの連中が我先にと墜落ツェッペリンへと向かっているのだ。……ちょうど今しがた吹き抜けていった、色つきの風のように。
◇本編な◇
周囲には悪臭が充満していた。なにしろ工業地帯に墜落したのだ。化学物質が燃え、毒性の煙となって周囲を覆っているのである。もっとも、そのど真ん中を突っ切っていくこの色つきの風はそんなことなどお構いなしだ。
KABOOM! 前方で爆発! 吹き飛ばされた鉄骨が回転しながら色つきの風へと迫る! ナムアミダブツ!?
【回避】判定(難易度NORMAL)
4d6 → 1, 1, 1, 5 成功
「イヤーッ!」KRAAASH! 色つきの風は真正面から鉄骨と衝突! 凄まじい金属音を響かせながらそれを真横へと弾き飛ばしたのだ!「アバーッ!?」たまたまその横を通過しようとしていたモヒカンアウトローが直撃を受け死亡! ナムアミダブツ!
……そしてニンジャ動体視力を持たぬ読者の皆さまにも、今や色つきの風の正体が見通せるはずだ。そこに立つのはザンシンする小柄な影。浅黄色の袖なしニンジャ装束から覗くのは、金色の腕である。否、テッコだ。金メッキを施された。
ニンジャ装束? 然り、このものはニンジャである。名をゴールデンフィンガーという。
「フフン! 儂もまだまだ衰えておらん……アアーッ!?」
不敵な笑みを浮かべていたそのニンジャは、ふと己のテッコを見て悲鳴を上げた。ナムサン。一部金メッキが剥げているのだ。鉄骨との衝突に耐えられなかったのである。
しばらくワナワナと震えていたゴールデンフィンガーは「い……イヤーッ!」やがて思い出したかのようにスプリント再開! 目指すは眼前に迫る墜落マグロ・ツェッペリンである!
◇◆◇◆◇
「まったく! 金メッキ代も稼がねばならんではないか……!」
プシュー! マグロ・ツェッペリンに取りついたゴールデンフィンガーは、己の金メッキテッコから蒸気を噴き上げた。外壁をこじ開けるつもりなのだ。
【カラテ】判定(難易度HARD)
4d6 → 1, 2, 4, 6 成功
一見無謀とも思える行為。だが……「イヤーッ!」バキッ、メリメリメリ! ゴールデンフィンガーがカラテシャウトを放つと同時、墜落マグロ・ツェッペリン外壁がまるでベニヤめいて折り曲げられ破壊!
「フン! マグロ・ツェッペリンの脆さときたら今も昔も変わらんな……イヤーッ!」
どこか満足げに呟いたゴールデンフィンガーはしめやかにツェッペリン内へエントリー。かつてのイクサ……電子戦争で工作兵として生き延びた記憶をリフレインさせつつ、周囲を探る。ここはどうやら兵器庫か。
「……チョージョー! まだ荒らされておらんか! どれ……」
ゴールデンフィンガーはニンマリと笑い、探索を開始。とはいえあまり時間をかけるわけにもいかぬ。ここに転がる兵器よりは、奥に残されているだろう機密情報のほうがよほど価値がある。目先の小銭に目を奪われ本命を持っていかれては本末転倒だ。
アイテム獲得判定
1d6 → 5
『タツジン・オノミチ工業社製カスタム・チャカガン』
そういうわけでゴールデンフィンガーが選んだのはカスタムメイドと思しきチャカ・ガンだった。これなら持ち運びにも困るまい。
「イヤーッ!」
チャカ・ガンを懐にしまい込み、ゴールデンフィンガーはツェッペリン廊下へと駆け出した!
◆◇◆◇◆
侵入から数分後! ゴールデンフィンガーは慎重に歩みを進めていた。あたりに転がるのはオムラ兵士や同業者……すなわち機密情報狙いのアウトローたちのゴアめいた死骸である。
その程度で怯えはしない。戦争ではもっとひどい有様のものを眺めてきたのだから。しかし、それよりも気になるのは。
「いささか……量が多いのう」
しわがれた声で呟く。迎撃戦か、あるいは同士討ちか? それにしてもこの場に転がる死骸の数は異常だ。もっと他の要因が……
『シ、シシシシ侵入者発見ケンケンケン!』
ナムサン! 突如として天井からぶら下がってきたのはオムラ社のUNIX制御式マシンガン! その乱れた電子音声から暴走しているのは明白! BLATATATA!
【回避】判定(難易度NORMAL)
4d6 → 2, 3, 4, 5 成功
「チィーッ! イィーヤヤヤヤ!」
ゴールデンフィンガーは迷うことなくカラテ迎撃! ひたすらに銃弾を弾き返す! その度に剥がれていく金メッキを、ゴールデンフィンガーは忸怩たる思いで黙殺!
「イヤーッ!」「ピガーッ!」
リロードの隙をつきジャンプパンチで破壊! 荒い息を吐いたニンジャは、悲しげに己のテッコを見やる。無論メッキが剥がれた程度で性能は変わらない。だが、数少ないこだわりではある。
気を取り直したゴールデンフィンガーは再び前進を開始。マシンガンは厄介だが、回避はそこまで難しくない。むしろ、これに怖気ついてカネを逃すことだけは避けたかった。
と、そのときだ。
「う、うう……」
微かな呻き声を捉えたゴールデンフィンガーは、即座に振り向きカラテ警戒! そこにいたのは壁にもたれて蹲る一人のオムラ兵士だった。暴走マシンガンにやられたか、その左脚が赤く染まっている。
こちらを見る目に敵意はない。だが、ゴールデンフィンガーは油断なくオジギを繰り出す。
「ドーモ。ゴールデンフィンガーです。下手な気を起こすでないぞ、オヌシ」
「に、ニンジャ……? 君は……ゴホッ、君はツェッペリンを調べに……?」
咳き込むオムラ兵士は顔を上げ……その目を大きく見開いた!『シ、シシシシ侵入者発見ケンケンケン!』後方より狂った電子音声! 「チィーッ!」ゴールデンフィンガーは振り向くことなく動く!
選択肢B: オムラ兵士を抱えて回避する
【回避】判定(難易度U-HARD)
4d6 → 1, 1, 3, 6 成功!
「イヤーッ!」咄嗟にオムラ兵士を担ぎ上げ、横に飛ぶ! BLATATATA! 一秒後、彼らのいた場所を薙ぎ払う銃火!
「ええい、若いもんが情けない……! イヤーッ!」
装備のためか、見た目よりも重いオムラ兵士を投げ捨てた(「グワーッ!?」)ゴールデンフィンガーは、リロード中のUNX制御式マシンガンに飛びつきテッコで殴りつける!「ピガーッ!」破壊!
ザンシンするその背に、弱々しい呻き声が届いた。
「うう……すまない。しかし、君は……」
「シャラップ」
ゴールデンフィンガーは顔をしかめて振り返る。咄嗟のこととはいえ、接触したのだ。気づかれたのだろう。しわがれた声で警告を送る。
「それ以上余計なことを喋るでない。今の儂は機嫌が悪いぞ」
「そ、そうか……すまない。その……そうだ! こいつを」
差し出されたものを何気なく見やったゴールデンフィンガーは目を丸くする。見間違えでなければそれはこのツェッペリンの認証キーではないか?
『認証キー』獲得な
「君は……その、カネ目当てだろう。ブリッジは強固な電子ロックで守られている。これがなければ開けるのは困難だろうな」
「……ご厚意、痛み入る。しかしよいのか?」
「ハハ……どっちにしろ、俺はケジメか、セプクか……変わらないさ」
オムラ兵士は力なく笑い、痛みに顔を引きつらせてから続ける。
「俺は休んでから脱出するよ。……ありがとう」
ゴールデンフィンガーは眉間にしわを寄せ、重々しく頷く。そうしてからしめやかにブリッジへと向かった。
選択肢A: ブリッジへ進む
◇◆◇◆◇
シューン。認証キーをためらくことなく使用したゴールデンフィンガーは、しめやかにブリッジ内へエントリー。鋭い目つきで周囲を見渡す。中央のシートで事切れているのはこのツェッペリンの艦長か。
ゴールデンフィンガーは足早にその死骸のもとに接近し、シート前のUNIXを操作。そして見つけ出したのは……
【アイテム】判定
1d6 → 3 マイナー・シャガイ級機密情報フロッピー
「……フゥーム」
ゴールデンフィンガーはやや顔を曇らせる。シャガイ級のデータには違いないものの、やや古い。これは売りつけるにもやや値が落ちるか。
「まぁ、ローン返済はできような……ウム……」
自身を納得させるように呟く。が、その目は未練たらしくデッキ内を見渡していた。他に回収できるものがないか値踏みしているのだ。
だが……ブガー! ブガー!
『機密保護のために自爆しますドスエ。3分以内に脱出してくださいドスエ』
「ええい! 老体に鞭打つでないわ!」
セキュリティシステムの起動に、おもわずゴールデンフィンガーは怒鳴り返した。無論、そんなことをしている暇はない! ニンジャは色つきの風となり「イヤーッ!」近くの窓に向けてところどころメッキの剥がれたテッコを叩きつけた! KRAAAASH!
【脚力】判定(難易度HARD)
【精神力】を1使用し自動成功
【精神力】1 → 0
……色つきの風がマグロ・ツェッペリンの目玉から飛び出す。それが工場地帯を脱出した直後……KABOOM! KABOOM! KRA-TOOOOM! ツェッペリンが大爆発! それが周囲のケモタンクに引火し連鎖爆発! 炎に包まれるマグロ・ツェッペリンは、断末魔めいた軋みとともに倒壊していった。
◇リザルトな◇
「グヌヌ……」
とあるカンオケ・ホテルにて。一人の少女が苦しげに唸る。金メッキが施されたテッコに収まるカネは、さほど多くはない。これでもシャガイ級のデータをオムラへと売りつけ、さらにチャカ・ガンをブラックマーケットで売り払った後なのだ。命を張って稼いだカネもローンを払った後ではほとんど残らない。
獲得報酬
マイナー・シャガイ級機密データ:【万札】15
タツジン・オノミチ工業社製カスタム・チャカガン:【万札】3
【万札】:-10 + 18 → 8
払える【万札】がないので【余暇】1日獲得
ニンジャ装束を脱いだゴールデンフィンガーは頭を掻いた。そのバストは平坦である。まだジュニア・ハイスクールに通っていてもおかしくない若さのように見えた。
しかしながら、彼女は実際電子戦争を生き抜いた古いニンジャである。若いうちに工作兵として戦場に駆り出され、若いうちに死に、若いうちにニンジャとなったゴールデンフィンガーの肉体は、もはや老いを忘れたのだ。
だがそれがいいことだとは限らない。なにしろ若いのは見た目だけだ。経歴を売りに出そうとしても、実際にクライアントと会えばまず向けられるのは胡乱な視線である。雇ってくれるような暗黒メガコーポもない。なお悪いことに、ゴールデンフィンガーはニンジャとしてはさほど腕の立つ方ではない。そのためこうして、日々の糧を得るだけで精一杯なのだ。
「いっそ、ソウカイヤに売り込みにでもいくかのぉ……」
わずかに残った万札を胸に、ゴールデンフィンガーは沈痛なため息をついたのだった。
【ゴールデンフィンガーズ・リトル・ミッション】終わり
◇後書きな◇
というわけで、ステータスには不安があったが無事生還。しかしながらローンを払うと手持ちが残らないという有様なのだった。悲しい物語だぜ。
【余暇】1日も今のうちに使い切ってしまおう……と、ゴールデンフィンガーはまたローンを組んでサイバネ手術を行ったようです。
ふわふわローン
【万札】8 → 18
余暇1日目:サイバネ手術
▶︎サイバネアイ 置換
【万札】18 → 8
なので最終的なステータスはこうなる。
ニンジャ名:ゴールデンフィンガー
【カラテ】:3
【ニューロン】:1
【ワザマエ】:2
【ジツ】:0
【体力】:3
【精神力】:1
【脚力】:2
【万札】:-4
持ち物など:
・スシ
▶︎テッコ(【カラテ】判定時ダイス+1個、回避ダイス+1個)
▶︎生体LAN端子(【ニューロン】判定時ダイス+1個、ハッキング時さらに+2個)
▶︎サイバネアイ(【ワザマエ】判定時ダイス+2個)
○電子戦争退役軍人
またローン返済しなければならないので、別のミッションに顔を出すかもしれない。
ではここまで読んでくださった皆様、そして楽しいソロシナリオを提供してくださったラブサバイブ=サン。ありがとうございました! 気が向いたらまたやるよ!
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