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タチバナハジメテキバム

七十二候/橘始黄(タチバナハジメテキバム)

みかんが美味しい季節だ。果物の中では梨が1番好きだが、みかんもその次くらいに好きだ。橘が黄色く色づいてくる時期。太陽の力がどんどん弱くなっていく季節に、青々とした葉を茂らせ、果汁たっぷりの大きな実をつける柑橘類は、それだけでも不思議な霊力があるようだ。みかんが定期的に食べたくなって、買った直後に数個食べる。それで満足していまい、毎回腐ったみかんを製造してしまう。「おれは腐ったみかんじゃないが、腐ったみかんを製造してしまうのだ!」金八先生も不服そうな顔をしている。

田道間守(たじまもり)が垂仁(すいにん)天皇に不老不死の霊薬である「非時香菓」を探すように命を受け、常代の国から苦労の末、持ち帰ったとして『古事記』や『日本書紀』に登場する。そのため田道間守はお菓子や蜜柑の神様として祀られるようになり、タチバナの読みは、タヂマバナ(田道間花)からきているという説もある。

日本古来から食べられてきたミカンを通して過去と繋がる。ビスコを食べるよりもおいしくて強くなれそうな気がしてくる。200年後の人類はビスコを食べて今の私と同じ気持ちになるのだろう。「過去の人が食べていたビスコを食べる事で過去と繋がることができる」と。そんなことを考えながらビスコとみかんを食べる日曜の黄昏時。




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