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【体験の形式知化】たゆたう光と影

華道の言葉として、影を知り、一筋の光を導き出す、という意味合いで私が理解をしている言葉がある。石原さとみさん、峯田和伸さんのドラマ、高嶺の花でホットワードとして用いられた言葉だ。あまりドラマを見ない私が、ふと見ていて、この言葉だけは覚えておこうと思った。

若い頃の私は仕事が忙しくなると、自分の殻に籠りがちになる傾向があった。周りからはよく、あいつはダークサイドに堕ちたなどと笑いながら言われるくらいに。

殻に籠り、心を閉ざし、デスクに座り一人で考え事をすることをし続けてわかったことは、長考の末にアイデアは生まれるが、その間事業は何も進捗しないということだ。

トートロジーのように、当たり前のことを当たり前に書くが、私が長考している間、事業の進捗は待ってくれない。事業は、私が考えている間にも進んで、次々と課題を生んでいく。

なので仕事を止めてはいけない。周りとのコミュニケーションを止めてはいけない。自分ひとりが悩んで解決出来ることは、この世の中そんなにないのだから。

いま、自分が考えごとをするときは、一定量の連絡類を送信し終わったうえで、携帯はいつでも着信が取れるようにしておき、散歩や好きな喫茶店に行き、五感を使いながら考えるようにしている。スキルとして、先輩から学んだことだが、視覚、味覚、嗅覚等の五感で同時に何かを感じながら、考え事をすると意外と物事は整理できる。ぜひ、一度試してほしい。ただ、資料作成等のアウトプットを行う際は、しっかりデスクに座り、集中して、まとめておいた考えのもと、出来れば短期間で行うことが望ましい。

もし、考えても考えつかない場合、数値で言うと感覚値で大体30%くらい考えたと思うくらいでも答えを見いだせない場合は、逃げたほういい。100%近くだと、取り返しのつかないことになり周りに迷惑がかかる、ただ、全て放り出して逃げると言った意味ではなく、自分一人で考えることから逃げるといった意味だ。

私は今まで一人で抱え続け、周りを頼らなかったことが多かったが、どうしようもなくなり一度だけ逃げたいと言った過去がある。その一言を言うためだけに、銀座1丁目から8丁目まで、泣きながら悩み歩いたほどに。

心から逃げたいと言ったことで私がわかったことは2つ。①逃げても支えてくれる人がおり、それも意外な人であり、また一生涯の恩人が出来ること、②逃げると決めたことで、視界はクリアになり、自分の人生で何をすべきかは、自分自身で決めることができる、とあらためて解ることだ。繰り返しとなるが、この時、全てから逃げてはいけない。ただ、自分一人だけでは、出来なことの多さを自覚することだけは感じて、歯を食いしばって、少しでも前進できるように前だけを向いて欲しい。

私は今まで自己犠牲を払い続けたことを少し後悔している。だから、もし抱えきれないほどの悩みがもしある際は、その想いを真面目に誰かにつたえて、一度自分の思考から逃げ出すことを、手段の一つとして持つことをお勧めする。

もちろん、影なんて知らない人生が、一番幸せだ。ただ、影と相対した際は、向き合い、大切に、自分なりの光を、自分自ら導いていただきたい。影と光が交互にゆらゆらと漂うように、人生は非常に長く、本当に色々とあるものだから。

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鹿(Shika)


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