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頭がいい人ほど陥りやすい「確証バイアス」

確証バイアスとは認知バイアスのひとつ。頭の良い人ほどハマりやすい罠です。

認知バイアスとは

認知バイアスとは、人間にある思考や判断の偏りです。わたしたちは、認知バイアスを知らないことで、知らないうちに合理的ではない判断をしたり、記憶を歪めたりしています。しかし「認知バイアス」の知識を獲得すると、こういった人間のバグを回避できるようになります。

この認知バイアスを紹介していくマガジンが、武器になる知識「認知バイアス大全です。


確証バイアス

確証バイアス(confirmation bias)とは何かというと、自分の考えに合致する情報は積極的に受け入れるが、反証になる情報は無視するというもの。「あ、あの人のことだな!」と思い当たることがありそうな話です。自分の都合の良い話ばかりに耳を傾け、都合が悪い事実や意見には知らない顔をする。経営者?ボス?友だち?クリーシェ(よくある話)みたいな愚かな人の傾向に見えます。そんなことないですよ!という話を後でします。その論拠とそれからどうして人は(わたしやあなたも含めて)確証バイアスの影響を受けてしまうのか。

この「自分の考え」というものは、「先入観」であり、「事前の信念」とも言われています。

わたしは、そんなことない!と思う方も含めて次の問題を一緒に解いていきましょう。

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問題:それぞれのカードは片面には数字が書かれ、もう片面は色が塗られている。「カードの片面に偶数が書かれているならば、もう片面は赤い」という仮説を確かめるためにひっくり返す必要があるカードはどれか?

(Life of Riley - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=11190148による)

※ちなみに右端のカードは茶色です。ちょっとわかりにくいですが。

ちなみにわたしは間違えました。残念!この問題の正解率は10%と言われています。ときには4%にも下がります。

正解は、めくるカードは「8」と「茶色」のカードです。

8と赤色のカードを捲っちゃいません?

三田紀房さんの『エンゼルバング』という漫画でもこの問題を取り扱っています。


ところでこの問題は、ウェイソンの選択課題(Wason selection task)と言います。

わたしも含めて(あ、わたしは1枚しかめくらなかったので不正解でした)なぜ間違えやすいのか、なんですが、これが確証バイアスのせいなんです。

茶色のカードをめくりたくないんです

なぜなら、それは「偶数ならば赤い」の反証になるから。茶色をめくってそこに偶数があれば、それは「偶数なら赤い」という仮説が壊れます。これが嫌なんです。わたしたちは、自分の仮説を壊す情報を無意識に遺棄するんです。

さきの漫画『エンゼルバング』がこの確証バイアスとウェイソンの選択課題を扱った部分を抜粋した記事がR25のウェブサイトにアップされています。

こちらのほうがもっとわかりやすいかもしれません。

ではなぜ、わたしたちにはこの確証バイアスの罠にはまりやすい傾向があるのでしょうか?

わたしたち人間の歴史にはエビデンスなんてなかったから

科学と証明、事実、ファクトというものは超超超最近生まれた、開発されたものです。それ以前にわたしたちは新しい信念を信じるか信じないかをどう判断していたのか。

『事実はなぜ人の意見を変えられないのか』の著者、ターリ・シャーロットによれば、

新しい信念が形成されるとき、4つの要因が関わってくるそうです。すなわち、

(1)もともと持っていた信念(先入観であり、事前の信念)
(2)事前の信念に対する確信
(3)新しい証拠
(4)新しい証拠に対する確信

あなたの子どもが外から家に入ってきて、

「そとに宇宙人がいてコマネチしているよ!」

と言ったとします。これが(3)の新しい証拠になります。子どもがそう証言しているのです。ほかの3つを観てみましょう。

(1)もともと持っていた信念:宇宙人はそんな居ない可能性がたかいし、ましてやコマネチなんて人の前でしない

(2)事前の信念に対する確信:わたしの経験からいって、それはまあまあかなり確かなことだ。ビートたけしだって昨今コマネチしないし、仕事でもないので民家のまえでコマネチなんてするはずがない。間違いない。

(3)新しい証拠:こどもの証言

(4)新しい証拠に対する確信:こどもの言っていることとわたしの経験から言える推測でいえば、わたしの経験のほうがずっと信頼できる。

つまり、子どもの嘘だ!(犯人はお前だ!くらいのかんじ)

これが人間の本来の反応であり、システムなんです。これがない状態を想定すると

なに!?宇宙人が!?それもコマネチまで!!?何目的?交流か?情報が『おれたちひょうきん族』で止まっている!?情報の更新が必要か?まずはNASAに連絡か?え、英語はなせないなー。じゃあ警察か!

という反応になってしまいます。これでは困っちゃいますよね。これに近いの正常性バイアスです。風に木の葉が鳴るたびに熊が出たか!?と思っていてはわたしたち、おちおち寝ていられなかったわけです。正常性バイアスについてはこちらに詳しく書きました。


頭のいい人ほど陥りやすい

論拠は2013年のこちらの研究結果。

被験者にデータをつかって是非を分析してもうという内容。データはまったく同じものですが、データの種類をスキンケアの効能と銃の携行の2種類に分けました。データを分析するには分析能力が必要です。

結果は、スキンケアのデータの場合のほうが正解率が高かった、です。

そりゃ銃の規制をしたい気持ちが分析能力を歪めちゃうよねって思いますが、注目すべきは数学に強い分析能力が高い人ほど、銃の規制に関する分析で不正解を多く出したということ

どういうことかというと認知能力が優れているほど、情報を合理化して自分の都合の良い解釈をするようになるということです。

わたしみたいにエビデンスを求めて参照している人間こそ、もっとも確証バイアスに気をつけるべきということにもなります。なぜなら自分の考えに合致するエビデンスを探せば良いのですから

そんなときに便利なのがGoogle!

グーグルは、自分の信念(事前の信念)を支持する情報を探すのに長けているサービスです。なぜなら物事は多面的で、いくらでも自分の信念を支持する情報がこの世にはあり、自分の信念の反証にもなる情報もいっぱいあるのですから。


そんなだったら、だれの考えも変えることなんてできないじゃないか!?

と思っちゃいますが、そうじゃないよとターリ・シャーロットさんは解説してくれています。今回は確証バイアスについてのみ触れることにして、その方法についてはまた別の機会に触れたいと思います。

ターリ・シャーロットさんの本はこちら。

ターリ・シャーロットさんがTEDで語っている動画はこちら。美人。


認知バイアスの一覧

こんな認知バイアス、ざっと236あります。こちらで一覧にしています。


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ひとの理屈通りに動かない特性をつかって社会をより良くしたい「ソーシャルハッカー」。認知バイアス研究家。 わたしのやりたいことは「好奇心を追求し、知識で人生を最高に楽しむこと」。