アスタリスクとダガー
ビジネスに役立にたたないデザインの話マガジン
欧文のルール
日本人は知らない欧文(主に英語)のルールというものがあります。これは英語の授業でも教えてくれません。それゆえか翻訳者からの原稿にも、このルールに則っていないものがすごく多くあります。
知っておくと何かとアドバンテージになるので少しずつご紹介していきます。ご紹介した欧文のルールはこちらのマガジンにストックしていきます。
アスタリスクとは
(左から書体は、Adobe Garamond、Helvetica Neue、Trajan)アスタリスクは、書体の種類によって本数が変わります。セリフ体では、6本、サンセリフ体では5本。サンセリフ体やセリフ体については、こちらを参照ください。
アスタリスクは、よく注釈でみかけますが、注釈が複数になったときは、*1、*2、*3……と数字を付記して使用されています。が、むかしは数字ではなく、使われる順にマークが変わっていきました。
左から、アスタリスク、ダガー、ダブルダガー、セクション、パラグラフと呼びます。この順番で使っていました。わたしたち日本人はアスタリスク以外は、ほとんど馴染みがないマーク(約物)です。
このアスタリスクですが、星に見えますよね。そんなわけで、このマークは、誕生を意味する記号としても使われます。この記号の誕生は古く、シュメール文明から使われており、少なくとも5,000年以上前から使われていました。
アスタリスクに似た(というかほとんど出自は同じ)ものとして、生命の星(Star of Life)というものがあります。 欧米の救急車に示されていることが多いマークです。
中になんか杖と蛇がいますね。これはアスクレピオスの杖と呼ばれているものです。アスクレピオスとは、ギリシア神話に出てくる名医です。こちらがアスクレピオスさん。
アスクレピオスの杖は、世界保健機関、WHO (World Health Organization)のロゴ・シンボルマークにも入っています。
誕生を意味する「アスタリスク」
話をアスタリスクに戻すとアスタリスクは「誕生」を意味するのでこのように使われます。「ジョセフ・モーリス・ラヴェル、1875年3月7日誕生、1937年12月28日死去」という意味になります。死去のほうに使われている「†」という記号、これを「ダガー(短剣)」と呼びます。
死を意味するダガー
短剣を意味するdaggerの名で呼ばれるこのマークですが、ご覧のようにキリスト教におけるお墓(十字)にも見えます。(影は演出でつけています。)そこで、死去した日を意味したり、死亡している人を示す記号としても使われていました。最近はあまり使われなくなりました。ダガーは、オベリスク(obelisk)とも呼ばれます。オベリスクとは、古代エジプトで作られていた記念碑。欧米にいくと時々見かけます。
入力の仕方
Macでの入力の仕方は以下の通り。
* = shift + :
† = option + t
‡ = option + shift + 7
§ = option + 6
¶ = option + 7
まとめ
日本にマザーズ上場企業に、Sun Asteriskという企業があります。さしずめ「太陽と星」という意味になるのではないでしょうか。企業ビジョンとしては、アスタリスクについては言及せず、「イノベーターという種を照らし、育む存在としての太陽」という意味であることが説明されています。
この企業のロゴが、これです。
ちなみに、アスタリスクを使用したロゴ・マークは他にもあって、アメリカ合衆国のウォルマートのロゴにも含まれています。このロゴは、2008年から使用されています。
タガーを目にすることはあまりありませんが、書物や資料なのでたびたび目にするアスタリスクに、誕生や生命の星という意味が含まれていることを知ると、これを使用したマークやロゴの真意を理解できて、ちょっと楽しくなるかもしれません。かなりマニアックな知識になるため、ビジネスや人生に役立つとはまでは言えないかもですが、わたしはこういう象形文字由来のローマ字が好きで、掘り下げては、いろいろな意味があることや歴史の深さをしって驚くことがあり、それが楽しいです。
こんな知識を調べるのに良い本は、これらの本です。1冊目以外、英語です。
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