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「ブレストして創造的なアイデアを出そう!」は間違い

リチャード・ワイズマン博士が書いた『その科学が成功を決める(原題「:59 SECONDS」)』は、いろいろな思い込みや慣習は、科学的には間違っていることを指摘した本で、上手くまとまっているし、論拠の論文も参考文献としてちゃんと紹介されているので実に実入りの多い本です。日本語翻訳本は、残念ながらKindleにはありませんが、手頃な文庫本で購入できます。

そこで紹介されているブレストの効果について。

ブレスト、いわゆるブレイン・ストーミングは1940年代に広告代理店社長のアレックス・オズボーンが考案したもの。

科学的にはブレストは1人で考えるようり量も質も低くなる

んで、これ科学的にいろいろ検証されたんですが、結果は、ブレストの効果は逆に悪いというものが多かったんです。ケント大での研究(1991)結果では、集団で考えた場合と一人で考えた場合では、アイデアの量も質も1人で考えるほうが上という結果になりました。

原因は「社会的手抜き」

どうしてこうなっちゃうのかというと責任の拡散によるものだと見られています。どうことかというと1人で作業すると成功も失敗もすべて自分ひとりのものですが、集団でやると、成功しても自分の栄光にはならず、失敗しても誰かのせいにできるということです。

アイデアは集団より1人のほうが創造的になる

これは世界的な傾向で、アメリカ、インド、タイ、日本でも同じような傾向があることが証明されています。

どうしたら創造的なアイデアが浮かぶのか?

じゃあ1人になればいいじゃん!ということなんですが、もっと創造的になれる方法があります。それは、散歩、植物をデスクに置く、遊ぶ、横になる、机を手前に引く素振りをする、です。最後の以外はみななかなか魅力的です(笑)。

アイデアが浮かぶ方法1:散歩

これはスタンフォード大の2014年の40人を対象とした小規模な研究ですがアイデア出しのための4グループを比較した結果、出たアイデアの数値がこちら。

室内で座りながら考えた場合=3.5
外で座りながら考えた場合=5.3
室内で歩きながら考えた場合=4.9
外で歩きながら考えた場合=9.3

外に出るまでが大変じゃなかったら、ぜひぜひアイデアを考え出したいときはちゃっちゃと外に出て歩くのが一番です。

論拠の研究はこちら。


アイデアが浮かぶ方法2:デスクに植物を置く

他のブログでも紹介していましたが、テキサスA&M大学の2003年の研究では、オフィスに花や観葉植物を置くことで、良いアイデアを思いつく確率が15%アップしたことがわかりました。こちらの研究です。

オフィスやデスクに植物を置く他のメリットについては、こちらで詳しく説明しています。


アイデアが浮かぶ方法3:遊ぶ

ざっくり書くと論拠となる研究は2006年のアムステル大学でのアプ・ダイクステルホイスとテウン・メウルスによるもの。こちら↓です。

 すごくざっくりまとめると無意識のほうが良いアイデアを出す、ということ。意識が考え出すアイデアはありがちでつまらない。が一方で無意識が考え出すアイデアは独創的で面白い。お題を無意識に一度与えるが、意識のほうは別にそらせてやる。すると無意識がそのお題について継続して考えだしてくれるというもの。

オフロに入っているときや一度寝て起きたときになど、急にアイデアが浮かぶことがありますが、それはこの無意識による仕事だ、というのがアプ・ダイクステルホイスらの考え。実際にお題を出した後に他に意識を逸らせたほうが(別の単純作業をさせた)、良いアイデアが出ました。

なので、アイデアを出したい課題を一度、紙に書き出したら、遊ぶ。数独とかパズルとか。それからまた考え出すと良いアイデアが浮かびやすくなります。(おもしろそう!)


アイデアが浮かぶ方法4:横になる

会社でやると怒られそうですが、上司とこのファクトを事前にシェアしておくと良いでしょう。だからこちらも元になった論文を紹介しておきます。オーストラリア国立大学の2005年の研究です。

研究の内容は、アナグラム問題(アルファベットを並び直して意味のある言葉する)を直立姿勢と横になった姿勢の2グループに解いてもらうというもの。結果は、

横になったグループは問題を解くスピードが10%速く、正解率も高かった

ということになりました。なぜかというと脳にある青斑核(せいはんかく)(英語ではlocus coeruleus)の活動が抑制されるから。?となりますよね。青斑核からはノルアドレナリンとストレスホルモンが分泌されます。これは心拍数と血流量を上げるんですが、その一方で問題解決に必要な創造性や柔軟性を減少させます。立っていると青斑核は活動的になるのですが、横になると抑制されます。なので、横になったほうが良いアイデアが浮かぶんです。釈迦もそれで横になっていたのかもしれません。

これでもうオフィスでもどうどうと横になれますね(笑)。横になれる場所を設置しておきたいところです。

アイデアが浮かぶ方法5:机を手前に引き寄せようとする

2000年のこちらの研究が論拠。

どういうことかというと人は好きなものを引き寄せようとするし、嫌い物を押し跳ねようとします。この行為は逆にも作用します。引き寄せるとその対象を好きになるというものです。

問題を解く際に、机を引き寄せようとするグループとおそうとするグループにわけて創造力テストを行いました。結果は、押した人よりテーブルを手前に引いた人のほうが、かなり得点が高いものとなりました。簡単!

まとめ

•ブレストはやめよう
アイデアを出したかったら……
•散歩
•寝そべる
•植物を置く
•遊ぶ
•机を手前に引くそぶりをする

参考文献

ちなみに英語版だとKindleもAUDIBLE版もあります。


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ひとの理屈通りに動かない特性をつかって社会をより良くしたい「ソーシャルハッカー」。認知バイアス研究家。 わたしのやりたいことは「好奇心を追求し、知識で人生を最高に楽しむこと」。