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週末アート

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日頃は、デザインについての記事を書いていますが、(あまり記事が読まれない)週末は、アートの話を書いています。アートとデザインは別物ですが、アートがデザインに及ぼす影響は随時あるの… もっと読む
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記事一覧

《週末アート》 ダンテと神曲

《週末アート》マガジンいつもはデザインについて書いていますが、週末はアートの話。 ダンテと神曲ダンテは1200年(13世紀)から1300年代(14世紀)に生きたイタリア都市国家フィレンツェ出身の詩人、哲学者、政治家。しかしフィレンツェは追放されて以来足を踏み入れていない。以降はヴェローナで生涯を過ごしています。 ダンテといえば、ベアトリーチェであり、地獄。地獄の描写は漫画の『ワンピース』の監獄でもなんでもとにかくこの神曲がベースになっています。 それからこの『神曲』とい

《週末アート》 5人の妻、しかし奔放というより真摯な画家、藤田嗣治

《週末アート》マガジンいつもはデザインについて書いていますが、週末はアートの話。 藤田嗣治名前:藤田 嗣治(ふじた つぐはる) 誕生:1886年11月27日(日本、東京府牛込区、現在の東京都新宿区) 死去:1968年1月29日(スイス、チューリヒ) 死没年:81歳 日本生まれのフランスの画家・彫刻家。フランスに帰化後の洗礼名(一部のキリスト教徒が洗礼を受けるときにつけられる名前)はレオナール・ツグハル・フジタ(Léonard Tsugouharu Foujita)。 第

《週末アート》締切を守らなすぎるレオナルド・ダ・ヴィンチ

《週末アート》マガジンいつもはデザインについて書いていますが、週末はアートの話。 レオナルド・ダ・ヴィンチのおもしろいところちょっとした神格化すらされている感のある、盛期ルネサンスの巨匠、レオナルド・ダ・ヴィンチ。しかし彼はかなり人間くさい人物でした。どういうところがそうなのか、以下に箇条書きします。 締切を守らなすぎてキャンセルされることがたびたびあった。 言われた通りのことをしない。 大仕事を任されても実験的なことをしてしまう。 美少年好き。 完璧主義すぎて作

《週末アート》 技術が芸術に昇華した「金継ぎ 」

《週末アート》マガジンいつもはデザインについて書いていますが、週末はアートの話。 金継ぎ「金継ぎ」(きんつぎ)は、陶器などの割れや欠け、ひびなどを修復する日本の伝統的な修復技法です。「金繕い」(きんつくろい)とも呼ばれます。 金継ぎの技法は、割れたり欠けたりしてしまった陶磁器や漆器などを漆(うるし)(の樹液)でつなぎ、修復するものです。漆は、ウルシ科のウルシの木やブラックツリーの木から採れ、乾燥させると人体に無害で非常に強力な硬化作用を持っています。 金継ぎでは傷跡を景

《週末アート》セルライトを描きまくるエリート、ピーテル・パウル・ルーベンス

《週末アート》マガジンいつもはデザインについて書いていますが、週末はアートの話。 ピーテル・パウル・ルーベンス名前:Peter Paul Rubens 生没:1577年6月28日–1640年5月30日(62歳) 生まれた場所:ヴェストファーレン、ジーゲン(現在のドイツ) 死没した場所:スペイン領ネーデルラント、アントウェルペン(現在のベルギー) 運動・動向:バロック 影響を受けた芸術家:ミケランジェロ、ティツィアーノ、カラヴァッジョ、ピーテル・ブリューゲル 影響を与えた芸術

《週末アート》きれいな顔して性欲が強くて政治に長け、才能ありまくりのラファエロ

《週末アート》マガジンいつもはデザインについて書いていますが、週末はアートの話。 ラファエロ・サンティラファエロ・サンティ(Raffaello Santi)。 生没:1483年4月6日 - 1520年4月6日(没37歳) 国:ウルビーノ公国・ウルビーノ 盛期ルネサンスを代表するイタリアの画家、建築家。 ラファエロの作品はその明確さと分かりやすい構成とともに、雄大な人間性を謳う新プラトン主義を美術作品に昇華したとして高く評価されており、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケラン

《週末アート》ソール・ライター —生活の中に霊光の反映の発見—

《週末アート》マガジンいつもはデザインについて書いていますが、週末はアートの話。 ソール・ライター(Saul Leiter)名前:ソール・ライター(Saul Leiter) 生没:1923年12月3日 - 2013年11月26日(没89歳) 誕生国:アメリカ合衆国 死去国:アメリカ合衆国 ソール・ライターは、アメリカの写真家、画家であり、1940年代から1950年代の初期の作品は、ニューヨーク派写真(The New York school of photography)

《週末アート》「サロメ」を描いた裕福な画家、ギュスターヴ・モロー

《週末アート》マガジンいつもはデザインについて書いていますが、週末はアートの話。 ギュスターヴ・モローギュスターヴ・モロー(Gustave Moreau)。 生没:1826年4月6日 - 1898年4月18日 誕生国:フランス王国、パリ 死去国:フランス共和国、パリ フランスの象徴主義の画家。パリに生まれ、パリで亡くなっています。聖書や神話に題材をとった幻想的な作風で知られています。 印象派の画家たち(ドガ、モネ、マネ、カミーユ・ピサロ、メアリー・カサットなど)とほぼ

《週末アート》アバンギャルドからロシア・アバンギャルド

《週末アート》マガジンいつもはデザインについて書いていますが、週末はアートの話。 アバンギャルドアバンギャルド(仏: avant-garde)は、前衛的芸術を通して、社会、政治、経済的革命を実現しようとした動きです。もともとはフランス語で「前衛部隊」を指すことばで、そこから芸術の文脈において「革新的な試み」や「実験的な試み」を指す言葉となりました。 芸術や文学において、アバンギャルド(前衛)という用語は、「芸術のジャンル」「実験的な芸術作品」および「その芸術家」を意味した

《週末アート》ロックな大戦後の3人の具象絵画の画家たち

《週末アート》マガジンいつもはデザインについて書いていますが、週末はアートの話。 具象絵画具象絵画(ぐしょうかいが)は、具体的な対象物を、極端な捨象(「しゃしょう」物事の表象から、一つまたはいくつかの特徴を分けて取り出す抽象を行なう場合に、それ以外の特徴を捨て去ること)なしに具体的に描いた絵画。英語だと“Representation”。 抽象絵画※が成立する20世紀以前は、絵画といえば具象絵画でした。 抽象絵画 抽象絵画(ちゅうしょうかいが)は、具体的な対象を写さない

《週末アート》色塗っているだけじゃない!? マーク・ロスコの絵画

《週末アート》マガジンいつもはデザインについて書いていますが、週末はアートの話。 マーク・ロスコの絵がすごい理由フラットな色彩で大きな画面を埋め尽くす表現方法を「カラーフィールド・ペインティング」(Color Field, Colorfield painting)と言います。カラーフィールド・ペインティングは、1950年代末から1960年代にかけてのアメリカ合衆国を中心とした抽象絵画の一動向です。絵の中に線・形・幾何学的な構成など、何が描かれているか分かるような絵柄を描いた

パウル・クレーという画家

《週末アート》マガジンいつもはデザインについて書いていますが、週末はアートの話。 パウル・クレー名前:パウル・クレー(Paul Klee) 国:スイス 生没:1879年12月18日 - 1940年6月29日 20世紀のスイスの画家、美術理論家。 ワシリー・カンディンスキーたちの「青騎士 (ブラウエ・ライター)」に作品を出品し、バウハウスでも教鞭をとっていました。 青騎士 (ブラウエ・ライター) 青騎士(あおきし、ブラウエ・ライター、ドイツ語: der Blaue Re

サイ・トゥオンブリーの作品が映画『On the Rocks』に出てくる理由

《週末アート》マガジンいつもはデザインについて書いていますが、週末はアートの話。 ソフィア・コッポラの映画『On the Rocks』に出てくるトゥオンブリーの作品ソフィア・コッポラの映画『オン・ザ・ロックス』のなかにこんなシーンとセリフがあります。 しかし、これトゥオンブリーが何か(誰か)しらないとちょっとよくわからないセリフなんです。上記の写真の二人が腰掛けているソファの後ろに掛けられているのがトゥオンブリーの作品。というわけで今回はトゥオンブリーとはどんなアーティス

《週末アート》 エドガー・ドガが印象派で“異色”な理由

《週末アート》マガジンいつもはデザインについて書いていますが、週末はアートの話。 変態ドガ山田五郎さんがYoutubdeでエドガー・ドガがいかに“最先端な”変態だったか、気持ち悪かったかということを解説しています。ドガについては、二つ動画をアップされているのですが、観るとドガを理解するだけでなく、19世紀のパリがどんな状態だったのかもうかがい知ることが出来ます。 ドガの人生エドガー・ドガ(Edgar Degas) 生没:1834–1917 国:パリ、フランス 関連:印象派